教育再生「実現」会議からの提言 | JOKER.松永暢史のブログ

JOKER.松永暢史のブログ

教育相談、執筆・講演依頼は松永暢史公式サイトよりお願いします。

政府の教育再生実行会議が4•4•4制への導入を提言するそうだ。また、就学年齢を5歳に引き下げる案も出されている。これはまたしても、筆者が『この国をダメにした学校教育』で「冗談」で提案したことなので、いささか驚きを禁じ得ない。
しかし、実はこれは提案だけに終わるはずの絵に描いた餅なのである。
4•4•4制については可能かもしれないが、私立の学校などとの調整に手間取って、いつも通り、それが実現する頃には新しい問題が出て来ていることだろう。大切なのは迅速にこれが実行に移せるかだ。
就学年齢の引き下げも正しい選択だと思われるが、不登校者が増えている実情で、義務化することは難しいと思う。それに何と言っても予算の問題である。文科省は、35人学級にする予算を財務省に求めて一蹴されている。それは人件費がかさむからだ。もし5歳以下の子供の面倒を見ようとすれば、当然教師対生徒の比率は低くなり、多くの教師を雇用する必要が出る。100万人の子供に、5人当たり一人の教師を付けるとして、20万人の雇用が必要である。この人たちに年間400万円支給するとすると、人件費だけで、およそ8千億円の予算が必要なことになる。しかもこんなことをしても政治家も経済界も全然儲からない。オリンピックの建設に回す方が優先されるに決まっている。もし8000億円あったら、公教育が崩壊しないようにすることにお金を使おうとするべきで、それは現場を助けることに他ならない。
明治維新以後の日本を支えたのは、藩校や寺子屋で学んだ者たちだった。第二次世界大戦で戦った者たちは明治以降の教育で育てられた者たちだった。今世の中はさらに大きく変わろうとしている。アメリカの状態、中国の状態、イスラム圏の問題、どれをとってもいずれダイナミックな展開が来ることを予想しないのは私だけだろうか。TPP、グローバリゼーション、新しい情報環境、新しい経済システム、そして環境問題。私たちを取り囲む諸問題を正しく知るために私たちの子供たちは懸命に学ばなければならない。小中公教育はその基を与えるはずのものである。そして、それは別に学校で学ばなくともかまわないことでもあるはずだ。ネットで検索した方がよほど早く済むことかもしれない。
で、わが教育再生実現会議は、生徒の自主学習時間確保のため、そして政府のための人件費の節減のために、学校を月火木金の週4日制にし、しかも必須科目は午前で終了で、午後はスポーツ、芸術、自由研究(帰宅したいものは下校して良い)ことにする、時間とお金の同時節約案を「冗談」で提言する。