数学学習法(by Paul) | JOKER.松永暢史のブログ

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 今回は,簡単に実行でき,しかも,高い効果が期待できる数学学習法を提案する。

 現行の教育課程においては,中学校2年生在籍時,平面図形分野において,証明を学習する。
 数に限りがあるが,筆者が見てきた生徒の様子から判断すると,この分野の学習が上手くいけば,それ以後の数学の学習が極めて容易になる。
 その指導方法は至って単純で,取り組む問題ごとに,以下を用いればよいだけだ。

 「次の命題の真偽を述べよ。また,真なら証明し,偽なら反例を一つ挙げよ」

 どの数学者も確実に使ってきた基本的手法に過ぎないが,幾何的分野以外でも,常に,「これは正しいか」と問うことは,数学の力を飛躍的に伸ばすものと確信する。
 確かに,仮定,結論,証明という基本的な流れを指導することは不可欠である。
 が,常に結論が与えられている問題ばかりを演習することは,数学の学力を培うという観点からも,学生生活を終えてからの人生における判断力を養うという観点からも,不適切であると思う。
 従って,指導者は,教科書や参考書に記載されている問題であっても,真偽及びその判断の根拠を問う形に適宜変えて,生徒に繰り返し提示せねばなるまい。
 更に,理想を言えば,高校入試においても,この形式の問題を一問でもよいから,毎年必ず出題し,分析力,表現力を精査すべきである。
 昨今,学力低下が社会問題となっている現状に対して,既に古典の重要性を支持した拙稿にて繰り返し述べたことと同じであるが,今回は,古典数学をより深く学ぶことを対応策として強く提案したい。
 例えば,ピタゴラスの重要性は,三平方の定理に留まらない。
 彼は,「菜食かつ少食」と,健康を維持し,かつ,アタマをよくするための食生活にまで,人間の本質を喝破した極めて鋭い助言をしてくれるではないか?
 古典,数学,体育の重要性を積極的に支持する文科省が,その検定済教科書に,ピタゴラスの定理を記載しても,真偽を判定する問題や,ピタゴラスの少食主義,菜食主義といった,少なくとも筆者には指導要領とは全く矛盾しないとしか思えない内容を記載しないということは,文科省の指導要領を何度読んでもその理由がまったくわからず,不思議極まりない。
 もし,ピタゴラスが文科省の指導要領を読んだとしたら,彼は,学力向上に関して,どのような意見を述べるであろうか?

 演習1 真偽を見分ける力を養うための古典を挙げ,その力を養うための方法をより具体的にまとめよ。