今回は,食育には欠かせない,塩分の摂取について考察する。
受験を終えた教え子と寿司を食べていて気づいたことがある(今までに,かなりの回数をこなしたので,実験とみた場合のサンプル数は,まず間違いなく十分であろう^^)。
醤油をたっぷりとつけると,実に美味い。逆に,醤油をつけないと,実に不味い。
本能が美味い不味いを判断しているのだから,私は,その判断を強く支持する。
さて,醤油を通して塩分を多く摂取していると,次第にのどが渇いてくる。
どうしてか?
のどの渇きを癒すために,利尿作用のある緑茶を摂取することにより,人体は過度の塩分を排泄したいのではないか?
すると,排泄さえきちんと行われるのであれば,塩分を過度に控える必要はあるまい。むしろ,健康維持のために,塩分はきちんと摂取すべきであると思う。
そこで,塩分に関する筆者の見解を支える根拠を,前回の拙稿にて用いた『ガンが逃げ出す生き方』(安保徹・石原結實 講談社)126ページ~127ページから引用してみる。
安保 真理といえば,「塩分が体に悪い」というのが通説になっていますが,これもまたおかしな話なんですね。塩分を制限すると体温が下がるのですが,私は塩分を制限すること自体がガン発生の原因じゃないかと疑っているんです。
石原 10年ほど前になりますが,アメリカのアルダーマンという学者が20万7797人の生活調査をして,その結果を「ランセット」という世界で一番権威のあるイギリスの医学誌に発表したことがありました。調査した人たちの1日の塩分摂取量は2~13グラムの間に収まっていたので,アルダーマンは摂取量によって四つのグループに分け,さらに詳しく調べました。すると,塩分摂取量の一番少ないグループの人は脳卒中や心筋梗塞などになりやすく,最も短命だったのに対して,塩分をたくさん摂るグループは病気知らずで,一番長命だったのです。つまり,塩分と病気の関係は,巷間いわれているほど関係ないということです。
安保 だいたい,世界で一番たくさんの塩分を摂っている日本人の平均寿命が世界一なんですからね。(以下,略)
「あなたがたは,地の塩である」という言葉を残した哲人は,人体における塩分の重要性を熟知していたように思える。
ただ,もしそうだとすると,どうやって知り得たのだろうか?
演習1 上記の説があるにもかかわらず,日本で,(特に高血圧の治療目的で)塩分摂取を控えることを推奨する説を提唱する医師や栄養士が少なからず存在する理由とは,どのようなものだと考えられるか?