サイコロ計算法 (by M・K) | JOKER.松永暢史のブログ

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前回、前々回のブログで音読について書いたが、v-netの「道場」で、この音読や作文と同時に行っているのが、サイコロ計算である。
既にHP上に動画で紹介されているが、そのやり方を、ごくごく簡単に説明すると、1桁~2桁の数字の書かれた多面体のサイコロ、2~4個を同時に振り、それらの数を足したり掛けたりするというものである。
この計算法の肝は、サイコロで出た数字の足し算、掛け算を、あくまで暗算で行うというところにある。足し算であろうと掛け算であろうと、そしてそれが数桁の計算になろうとも、全て暗算で行う。
そんなことは不可能だ、と思われる方もおられるかもしれないが、現に「道場」に通う小学生諸君は、見事にやってのけている。答えが4、5桁になる計算を、ものの数秒でやってしまう子供もいるから驚きである。はっきり言って、ほとんどの大人はかなわないだろう。

実は私自身、「道場」でこれを始めるまでは、これほどの効果が子供たちに表れるとは、思っていなかった。算数の先生から、中学受験等で、簡単な計算ミスで点を落とす子供が多いと聞いていたので、計算力の基礎である暗算能力を、少しばかり鍛えられれば良い程度に考えていた。ところが、今までのところ、「道場」に通う生徒の中には、私の予想を大きく超えた暗算力を発揮する子供が何人も出てきている。まだまだ子供の頭の柔軟性をみくびっていたというところか。

おそらく、こうした成功の要因の一つには、ノートも筆記用具も一切、使わないというところにあるように思われる。多数の子供と接する中で思うことは、彼らの多くが、ノート等に何かを筆記すること=「お勉強」というイメージを強く持っているということだ。暗算能力に力点を置いたサイコロ計算法では、まずはこうした拒否感が取り除かれる。

そして、大事なことは、この計算法が子供たちの遊び心をくすぐるものであるということだ。これは「道場」に限ってのことかもしれないが、多人数でサイコロ計算をやることで、誰が一番早く正解できるかという、早押しクイズのような競争が生まれる。「道場」での様子を見ていると、完全に遊んでいるのと変わらぬ様子で、誰が一番早く数字を言えるか、ときに大声を上げながら競い合っている。結果として彼らの暗算スピードは、どんどん向上していく。

思うに、どのような教科を教え、そして学ぶにせよ、こうした「遊び心」が大切なのだろう。「遊び」とまで言わなくとも、勉強、そして学問を「楽しむ」ことの重要性といおうか。無理やり勉強机に座らされて、ああしろ、こうしろと言われながら勉強しても、こうした「楽しむ」心は育っていかない。そうした心が育たなければ、勉強や学問、あるいは世の中に対する主体性を育むこともできなくなってしまう。少なくとも少年期においては、子供たちが楽しみながら様々なことを学んでいける環境を整えてやることが大切だろう。

さて、もうすぐ夏休みである。現在、「道場」は月十二回、土曜を中心に定額・自由参加となっているが、子供たちの夏休みには、それこそ勉強以外の「楽しい」計画がいっぱいあることだろう。特に土日を中心に計画をたてているご家庭も多いかと思われる。したがって、現在の参加者の希望なども聞きながら、夏休み用に、多少のスケジュールの変更も考える必要があるかもしれない。残念ながら、7月のスケジュールは決まってしまっているが、もし8月のスケジュールに変更を行うようなら、近いうちにHP上で告知したいと思う。