上級共学高人気(by Joker) | JOKER.松永暢史のブログ

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V-netがあるところはJR中央線西荻駅前であるが、この地域は都の西部にあたり、最近は大学付属校が次々と中高一貫共学化して人気を誇っている。早稲田実業、法大付属、明大付属、中大付属、日大第二、ICU、などがこれらの学校にあたる。さらにこの地域には、西、国立、立川、武蔵、八王子東、国分寺と言った進学重点都立高も多い。
私立にしろ公立にしろトップ校の偏差値は70を越えるが、これらの共学校はおおむね68ぐらいに収まる。つまり、偏差値が70をちょっと切るくらいの共学校に一般の人気が集まることになるが、その理由の一つには、このレベルにある学校は校則がきつくないということがありそうだ。偏差値70と言うと、全体の上から2,275%を指すから、このレベルの学校だと上位3%以内の力があるということになろうか。1クラス33人中とすると、この中でトップということになる。
いくら公立中学低迷といえども、上位3%には実力のあるものしか入れない。複数教科に渡り勉強ができるものには、しっかりしているということが条件になる。しっかりしているとは、字を的確に速く書き、漢字英単語計算などの基礎的学習を確実にこなし、日本語了解能力があるということであるが、こういった生徒たちは、約束や時間を守り、適確な言葉で話し、宿題や提出物を確実にこなし、足りない分を自分の机でするものたちであることが多い。また、日常行動でも常識的で下らない問題を起こすことが少ないものたちであることがほとんどである。このためこうした生徒の通う高校ではむしろ校則をゆるくして生徒の自主性を重んじた方が学校の雰囲気が良くなることが多い。特に共学校ではその傾向が強くなる。学校の監視より生徒同士の「監視」が働きやすいのである。
私が通っていた都立西には校則というものがなかった。しかし、何と言ってもコワいのは同級女子の目で、彼女たちに軽蔑されるようなことが発覚すると、極めて居心地が悪くなるのである。しかし、何はともあれ自由であるので、学校生活は極めて楽しい。おかげで高校1年から酒とタバコと麻雀を覚え、深夜酔っぱらって井の頭公園で大青春論をぶちかましていると、そこへお巡りさんがやって来て、「キミたち高校生だろう。こんな時間に外で何をしておるのだ。」と呼びかけるので、急いでタバコを隠して、「明日の世界史の発表の打ち合わせです。」と誤摩化すと、「どこの高校だ」と言うので、別に校則のない学校にチクられてもかまわないので素直に高校名を口にすると、「ほう西高か、キミたちは夜遅くこんなところで遊んでないで家で一生懸命勉強していなけりゃいけないんじゃないのか。それに煙草は健康に悪いからやめろ。」と言われて無事無罪放免になった覚えがある。こんなことはあれから30年後の今では考えられないことかもしれないが、今でも上級校には若者が最も求める「自由」があるだろう。
豊かで危機感のない世の中。この世の中で若者に勉強のモチベーションを与えるのが、うるさい規則を離れた「自由」を得ることだというのは面白い。これらの学校へ見学に行くと、何と言っても生徒が楽しそうなことが目につく。おまけにお金はかかるが私立は設備も良いところが多い。優秀な生徒の間で力をつけて東大合格も可能である。てなわけで、結果的にみんなが行きたくなるので偏差値が高くなるという構造なのである。
このおかげで、ついに今春、名門男子校桐朋の高校入試で「定員割れ」が起こった。これは定員の3倍の合格者を出して入学者を集め切れなかったことを意味する。私は桐朋が男子校でありながら相変わらず試験が記述重視なので、この勉強をしたものが他の学校に受かりやすく、これより上の学校と共学校を希望する者の「滑り止め」になってしまったのがその原因と見ている。最近では開成を蹴って共学の西を選んだ例も耳にしている。
この一方で、生徒たちの間で可愛い子が多いと有名な日大二は、今年度学校説明会で、来年度よりマークをやめて記述にすることを発表している。長年この仕事をしていると、日大系の試験の上手さに舌を巻くことが多いが、これは明らかに自由でお洒落な学校が好きで、しかも記述力の高い女子が合格しやすいようにする戦術であろう。つまり、お金がある良いご家庭の子女を集めようというのであろう。
以上、新しいブログを始めるにあたって長々と書いてしまったが、V-netでは、早慶付属校はもちろん、これらの学校のほとんどに合格させた実績があり、入試問題各科別の対処ができる教師が揃っていることを職員を代表してお伝えしたい。