JOKER.松永暢史のブログ

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新聞などの報道によれば、文科省は、中教審答申を得て、残業代の代わりに支払われてきた教職調整額を現行の4%から13%に引き上げる案をまとめたと言う。

これは国会で審議採決決定されて後、最終的に政策決定されることになろうが、これが教員退職の増加に対する歯止め政策であることは明らか。

教員平均所得が約650万円だとすると、年間約25万円だった特別給付金が約80万円になることになる。これは微妙な金額で、だったらもう少しやめずに我慢して働くかと言う限界を示した数値とも言える。とりあえず予算としては、全国教員数約10万人×約50万円で、およそ500億円の支出を発生させることになるが、これだけでも財務省が渋る可能性はある。

メデイアはこれしか報道しないが、これはいよいよ多くの教職員が「自己防衛」のために、教育現場を離れざるを得ない方向性にある現状を示したと言える。

少子化社会の言うことを聞かなくなった子どもに対する旧体制的な言うことを聞かせようとする全体教育。その「先兵」に立たされている教師たちこそその矛盾と「限界」を体感的に知る。そしてこれにより真面目な者の多くは、過重労働で「精神疾患」を患う。

問題なのはシステムなのに、それを変えることは捨象し続ける。

そこには「支配」と言うことの、真の意味での「暗闇」が横たわる。

いじめ→学級崩壊→不登校。その次の段階が教職員の退職。これは前線を守る兵士が、戦い続けることに意味を見出せず、次々に投降離脱することを意味している。

メディアは、自民党総裁選に多くの自民党議員が名乗りをあげたことを大きく報道するが、今のところ教育の問題についてまともなことを口にする者は一人もいない。つまり、皆真の未来国家利益を考えない「バカ」である。

みなさんわかるか?選挙権はないが将来を支えることになる世代に、正しい教育、未来社会生活に必要な教育を与えることを、政権の支配継続のために蔑ろにするのである。

万死に値する。

よく文科省も、自民党も、そして公明党も平気だな。彼らだけでなく野党からも教育の現状についてのしっかりした認識の表明も解決策の提案も出ない。

これは何を意味するか。

これからの教育がどのようなことになっていくのかの暗示。

子どもは嫌になって不登校、教師は気が狂って退職。

公教育は限りなく終わりに近い。

これはもう「維持」することに失敗して「崩壊」した後のことを考える段階にあると言える。

そもそも基礎学習の多くは学校外の塾教育などによって補われてきた。そしてその延長線上で受験・進学も決定する。

すでにもうわかっている親は、これまで以上に学校教育を、いや公立教育を利用しなくなる。

その象徴は、最初期から子どもを公立学校に通わせない選択をし始めた外資系企業の従業経験のある者たちだ。

どうして子どもをまるで言う通りに働く「兵隊」にするような教育を国家的イデオロギーが希薄な中で容認できるか。

それを容認できるのは、島国国内的視点で状況がわからない状態であることを認識できない大人たちであろう。

そんなことはこれからの未来社会で必要ない。

愛国心とは、ただ上の言うことを聞くことではない。

このままで行くと、いっそのこと明治学制開始前の寺子屋・藩校、あるいは会読の時代に戻るかの如く、良い教育を求める親たちをターゲットにした私営の教育が中心となって、学校教育は完全に見捨てられることになる。

初めて入学金を取ることを思いついた私学、慶應義塾を始めた福澤諭吉を最高紙幣にしたことが間違いであったことに今更気づいてももう遅いと言うことなのか。

さて、「学校」がなくなった時、子どもたちは何をするか?

その多くは追体験的ではない「情報」の過剰摂取に陥るのではないか。

終わっている。

政治家だけではなく、これに気づかない国民は終わっている。

子どもを未来社会のための「家畜」にすることに加担していることに気づいていない。

もはやオカネで解決される段階にない。

必要なのは新システムを着想する智慧。

それが現れるまでは、システム外での「ゲリラ戦」が続く。