KDDI本決算は増益・増配・自社株買いの3点で合格点もやや読み取り難解 | 21世紀投資

KDDI本決算は増益・増配・自社株買いの3点で合格点もやや読み取り難解

やってほしいことはきちんとやってくれました。

あとはまだガバナンス改善は実施中なので、資料が少ないですね。

開示上色んな「利益」が出てきて、何と何を比較すべきか大変なので今回もチャッピーの力を借りる。

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かなり合格点寄りの決算だと思います。
ただし今回いちばん大事なのは、IFRS実績・実力値・調整後予想を混ぜないことです。KDDIは26.3期の実績について、IFRS実績では売上高6兆719億円、営業利益1兆991億円、親会社帰属当期利益7,071億円でした。一方で会社は「実力値」として、架空循環取引の外部流出額と契約コスト減損を除いた営業利益1兆1,643億円、当期利益7,567億円も示しています。さらに27.3期の見通しは**「調整後利益」ベース**で、売上高6兆4,100億円、調整後営業利益1兆2,100億円、調整後当期利益7,310億円、年間配当84円を出しています。つまり、26.3期の着地評価は「IFRS実績」と「実力値」で見て、27.3期予想は「調整後」で見るのが基本です。27.3期予想を26.3期のIFRS実績や実力値とそのまま比べると、良し悪しがブレやすいです。

 

比較のしかたを一言でいうと、こうです。
26.3期の「決算が良かったか」は、まずIFRS実績で見ると営業利益は前年比+1.1%と伸びは小さく、営業利益率も18.6%→18.1%へ低下しています。なので、法定実績だけ見ると“強い増益決算”とは言いにくいです。いっぽう、会社が明示した「実力値」では営業利益+6.0%、当期利益+13.6%で、モバイル・金融・DXの伸びを考えると、本業トレンドはかなり良いと読めます。27.3期の見通しは、会社自身が調整後営業利益1兆1,518億円を26.3期の基準に置いて、27.3期1兆2,100億円(+5.0%)を示しているので、来期見通しの良し悪しは“調整後→調整後”で比べるのがいちばん素直です。これは私の整理ですが、資料の定義に一番忠実です。

 

良い点は、まずあなたが最低限求めていた条件を全部クリアしていることです。27.3期は調整後営業利益+5.0%、調整後当期利益+2.7%、年間配当84円予想で、取締役会では発行済株式総数の5%超の自己株消却と、**3,000億円上限の自己株取得(うち2,500億円上限の公開買付け)**を決議しています。還元面はかなり明確に前進です。特に公開買付けは、資料上、京セラとトヨタ自動車から各1,250億円相当の応募意向を得た前提で設計されており、政策保有株の整理と資本効率改善を同時に進める色合いがあります。

 

次に、中身の成長ドライバーがちゃんと確認できるのも良い点です。モバイル収入は26.3期に2兆54億円で前年比+326億円、AC影響を除けば前年比約+500億円と会社は説明しており、ARPUは4,440円で前年比+100円、スマートフォン稼働数も3,323万契約で+36万契約でした。さらに金融事業の営業利益は432億円、DXは2,639億円まで伸びており、会社は「金融事業、DXともに二桁成長」と整理しています。つまり、今回の良さは“増配・自社株買い”だけではなく、通信本体と成長領域の両方がまだ伸びていることです。

 

さらに27.3期は、新セグメントで見ても全部わりと前向きです。会社は27.3期からセグメントを「テレコムコア」「パーソナルグロース」「ビジネスグロース」などへ組み替えていますが、26.3期の組替後参考値と27.3期予想を比べると、営業利益はテレコムコアが77,652.9百万円→80,500百万円、パーソナルグロースが22,036.9百万円→24,300百万円、ビジネスグロースが7,793.3百万円→9,200百万円です。ざっくり言えば、通信本体は堅実増益、個人向け成長領域は二桁増益、法人グロースはさらに高い伸びという並びです。ここはかなり見やすい良い点です。

 

一方で、悪い点というか注意点もあります。
まず、法定実績の見栄えは思ったほど強くないです。IFRS実績の営業利益は+1.1%にとどまり、営業利益率は18.1%へ0.5ポイント低下しています。つまり今回の決算は、「悪い決算ではない」が「何も調整なしで手放しに絶賛できる決算」でもありません。会社が“実力値”や“調整後”を前面に出すのは、裏を返すと法定ベースだけだと成長がやや鈍く見えるからでもあります。

 

次に、比較軸が複雑になったこと自体が弱点です。26.3期の本業評価には「実力値」、27.3期見通しには「調整後利益」が使われており、しかも27.3期からセグメント再編まで入ります。決算短信では調整後利益を「非経常的かつ大規模なコストやポートフォリオ見直しに伴う一時損益を除外したもの」と定義していますが、今回の資料だけでは**“何をどこまで除いたか”の橋渡しが直感的ではありません**。つまり、会社の言い分に沿えば綺麗に見える一方で、投資家が自分で比較しようとすると少し手間がかかる決算です。これはかなり大事な注意点です。

 

もう一つは、27.3期の利益成長は営業段階ほど強くないことです。調整後営業利益は+5.0%ですが、調整後当期利益は+2.7%にとどまります。なので、営業面の伸びがそのまま最終利益まで綺麗に落ちる形ではなく、営業外や税金、金融費用などを含む下の段では少し重さが残ると見ておいた方がいいです。加えて、自己資本比率は30.1%→26.6%へ低下し、有利子負債も4兆4,376億円→5兆3,753億円へ増えています。KDDIとして危険水準とは思いませんが、還元強化と成長投資を進める一方で、財務はやや重くなっているのは押さえておくべきです。

 

そして、3月の件を経た以上、ガバナンスはまだ完全に過去形ではないです。会社はリスク記載で、ビッグローブ・ジー・プランの不適切取引を踏まえた内部統制リスクを引き続き明記しています。今回の説明会資料でも、グループ会社のガバナンス総点検は100%実施済み、課題改善とルール化は6月末完了を目指す、AIによる財務アラートや与信チェック機能を27.3期上期から順次導入するとしています。つまり、対応は前進しているが、評価はこれから運用で示す段階です。

 

私のまとめはこうです。
今回の決算は「内容は良い。特に還元と本業トレンドは合格」。ただし「見せ方はかなり調整後ベース寄り」で、法定実績だけ見るとそこまで派手ではない。
だから、あなたの「合格点」という感触はかなり自然です。そのうえで、次に見るべきなのは
IFRS実績の1.1%増益ではなく、27.3期に調整後営業利益+5.0%を本当に達成できるか
新セグメントでパーソナルグロースとビジネスグロースの伸びが続くか
ガバナンス強化が“資料上の計画”から“運用実績”に変わるか
この3点だと思います。

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最近は毎年京セラとトヨタから自社株TOBを行うことで(当期利益が微増の割に)EPSの向上につながっていると理解しています。まだまだ結構な株数を京セラとトヨタは持っていますが、これくらいの削減ペースを毎年続けるつもりなのか、それともどこかで一気に売り出すなどあるのか、京セラとトヨタの開示しているKDDI株に対する方針から分かることをまとめてみて。

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かなり整理できます。結論からいうと、

京セラは「まだ数年かけて減らす」がかなり明確
トヨタは「減らす方向だが、KDDIはまだ意味があるので当面は一部を残す」
なので、両社とも“いきなり全部を一気に市場で放出”より、“対話しながら段階的に減らす”のが本線です。

 

まず京セラです。これはかなり読みやすいです。京セラは最新のコーポレートガバナンス報告書で、保有株式/純資産比率を2031年3月期までに20%へ下げる新目標を掲げ、その中でKDDI株について、2026年3月期に約2,493億円相当(約1.08億株)を売却済み2027年3月期にも約2,500億円相当を売却予定と明記しています。さらに、2028年3月期以降の売却額は、中期の資金需要と株主還元に見合う水準で決めると説明しています。つまり、少なくとも来期も同程度の削減ペースを続ける意向はほぼ公式で、その先は固定ペースではなく、資本政策次第です。

 

京セラの現在地もかなり具体的です。2025年のKDDI自己株TOBでは、京セラは670,192,000株(16.85%)のうち108,058,400株を売却しました。さらに今日のKDDI開示では、2026年5月12日時点で562,133,600株(14.77%)を保有しており、今回のTOBで53,763,400株を応募予定、全部買われた前提では**508,370,200株、13.74%**が残る計算です。つまり、京セラはまだかなり大きく残すが、明確に売却モードに入っていると見てよいです。

 

しかも京セラは、今回の残りについて**「具体的な売却時期や手法は未定」としつつ、KDDIが市場株価への影響に配慮した手法での売却を希望**しているのに対し、将来市場売却する場合の手法はKDDIの意向を尊重すると回答しています。なので、開示から読む限りでは、どこかで一気に市場にぶつける形の大量売りは、少なくとも会社間のコミュニケーション上は本線ではありません。将来の追加売却は、次回以降の自己株TOB、ブロック的な処理、あるいは慎重な市場売却のような形が自然です。

 

次にトヨタです。こちらは京セラほど「KDDI株を毎年いくら売る」とは書いていません。ただ、方向性はかなり見えます。トヨタの最新コーポレートガバナンス報告書では、意味がある場合を除いて政策保有株は持たない個別銘柄を毎年取締役会で見直す意味が薄れたら発行体との対話と同意を経て売却を進めるという方針です。実際、トヨタが戦略保有する会社数は2015年3月末の200社(上場80社含む)から、2025年3月末には115社(上場34社含む)に減少しています。KDDI株についても、トヨタの2025年3月末20-Fでは、9,593億円相当で、依然として主要な戦略保有株の筆頭級です。

 

トヨタのKDDI株の減らし方は、ここ数年かなりはっきりしています。KDDIは2023年に約2,500億円分のTOBをトヨタ向けに組み、2024年はトヨタが49,800,000株の応募意向を示し、KDDIは実際に49,910,248株・1,944.5億円を公開買付けで取得しました。2025年もトヨタは43,346,300株を応募し、KDDIが43,223,300株を取得、これでトヨタの議決権比率は10%未満になりました。そして今日のKDDI開示では、2026年5月12日時点で363,365,900株(9.54%)を保有し、今回さらに53,763,400株を応募予定、全部買われた前提では309,602,500株、8.37%を残す形です。KDDI自身も、トヨタは2023年、2024年、2025年の各TOB後も追加削減を検討し続けたと説明しています。

 

ただし、トヨタは京セラほど“継続売却モード一色”ではありません。今日のKDDI開示では、トヨタは今回応募する分を除く309,602,500株(8.37%)について、現時点では所有を継続する旨をKDDIに回答しています。さらにKDDIとトヨタは、2020年の業務資本提携に基づく通信技術・コネクティッドカー技術の研究開発を引き続き推進することを確認したとあります。なので、トヨタは「政策保有は減らす」が原則でも、KDDIはまだ“意味がある保有先”として残している、という読みがいちばん自然です。

 

なので、問いにそのまま答えると、

京セラ
来期もほぼ同規模の売却を続ける意向が公式にある。ただし2028年3月期以降は固定ペースではなく、資金需要と株主還元を見て決める。一気売りより段階売却の可能性が高い。

トヨタ
一般方針としては政策保有株を減らすが、KDDIについては現時点で残りは継続保有。ここ数年は毎年のように一部をTOBで減らしてきたので、“必要に応じて段階的に減らす”パターンは十分ありうる。ただ、どこかで一気に全部を手放すことを示す開示は今のところ見当たりません。

私の読みを一言でいうと、
**京セラは「まだ売る」、トヨタは「まだ持つけど少しずつ減らす余地あり」**です。
だから、KDDI株主として見るなら、京セラは今後もTOB候補の供給源、トヨタは“急いで全部売る相手”ではなく、提携を残しつつ必要時に少しずつ整理する相手と考えるのがいちばん近そうです。