結婚式での音楽利用 | 長坂憲道(作曲家、アコーディオン奏者)
2018年03月10日(土)

結婚式での音楽利用

テーマ:音楽著作権

結婚式でのBGMでは著作権がらみで音楽の利用がうまくいかないことも稀にあるようで、そんな際には必ずと言っても良いほどJASRACのせいだ!という大騒ぎになってしまいますよね。

ネット上で簡単に拡散ができてしまうので、あちこちで頻繁にこういう問題が起きているのか?と思われがちですが、実は滅多に起こらないトラブルであり、騒ぎとなった話題の根源は実はたった一つだけだったりもするのです。

生演奏にしても、市販CDをBGMとした際でも、JASRACと結婚式場の間で「演奏権」にまつわる利用契約は事前にクリアしていますので、基本的には全くトラブルが起こらないのです。

もし問題が起こるとするのであれば

最近ネット上で目にした話題では、「デジタル配信限定」の楽曲を、CD-Rにコピーして結婚式で使おうとした際、式場からCD-Rにコピーされたものは使えないと断られてしまったという話し。

この際にも、ネット上ではJASRACが悪いとか結婚式場が悪いとか、スグに大拡散が始まってしまいますが、このケースではJASRACや結婚式場には一切問題はありません。

  • 式場はコンプライアンス順守、当たり前の対応をしただけ。
  • この対応への不満のやり場をJASRACに向けるのも間違い。
  • アーティスト本人は購入者に対してきちんと説明してあげるべき立場。
  • アーティストが一緒になって愚痴っている場合ではない。
  • プロのアーティスト、そしてモノを売る人の責任を自覚すべき。

デジタル配信されたものを、それをダウンロードしたパソコンやスマートフォン端末に限り「個人で楽しむ範囲」を与えられただけの購入契約ですので、それを作品の権利者による許諾無しに複製することは法律で禁止されています。

ちなみに、ちゃんとやって無い人が多いかも知れませんが、パソコン上で音楽CD-Rを焼く場合には、音楽専用CD-Rを使ってくださいね。

CD-Rの性能そのものはデータ用のCD-Rと何ら変わりませんが、音楽専用CD-Rには私的録音補償金が含まれていますので、音楽のデジタルコピーによる販売機会減少(あるいは消失)での損失を補うために、実演家団体を経て各アーティストに分配されるのです。

ここでも勘違いしてる人が非常に多いのですが、私的録音補償金を管理しているのはJASRACではありません。

僕自身も、作曲家としてのJASRAC信託とは別に、プロの演奏家として「演奏家実演家団体」に所属しています。

いろんなアーティストのレコーディングに参加したり、テレビやラジオで使われる音源のレコーディング、そしてCDの全国販売をして広く知られている演奏家の場合は、作詞・作曲の著作権とは違い、録音に参加した際の演奏に対しても印税を得ることが出来る仕組みがあるのです。

私的録音補償金は演奏家実演家団体を経て演奏者に正しく分配されていることを、私自身もしっかりと確認ができていますので、お金の流れ・行方が分からない、誰かがピンハネしてるかも?なんていう事実は一切ありません。

ですので、皆さんも今後パソコンで音楽CD-Rを焼く際には、ぜひ音楽専用CD-Rをお使いくださいね!

話しを戻します。

JASRACは音楽作品の信託契約により、演奏権などの管理を代行していますが、CDや配信音源などの録音物そのもの管理を行っているわけではありませんので、このようにダウンロード購入した音源を結婚式で使いたい場合は、その曲のアーティスト事務所または所属レコード会社・レーベルに問い合わせて許諾をもらう必要があります。

販売者であるアーティストサイド、レコード会社・レーベルサイドは「配信限定(CD未販売)」とした場合に、このようなリスクがある事は予め百も承知なのですから、ダウンロード購入したユーザーから、このように結婚式のBGM等でCD-Rにコピーをして使っても良いか否か?CD-Rコピーの許諾に応ずるのか否か?という情報は、販売と同時に購入者にも分かりやすいように周知徹底しておくのが、販売者としての重要な責任です。

もちろん、今後は時代の進行に応じて法律も変えていかなければなりませんが、時代に合わないからといって現行法を非難したり、強引に解釈を曲げさせたりするような行為は法治国家では許されません。

法律がある以上、まずはそれに則ったサービスを検討・提供するのが国民の義務ですからね。

他で例えると、事例がたくさんあるので非常に長くなりますから一言で言いますけど、クルマの自動運転技術が進んで、ハンドルを持たなくてもクルマが勝手に動くようになってきていますが、自動運転だからといって現行では無免許で運転することは許されないってことは理解できますよね?どのような新しいことも技術が先へ進み、実際の運用がしっかりと検証された後に法整備がされるものです。

この状況を変えられないのは、決してJASRACの問題ではありません。

時代に合うように法律を変えていくのは政治の仕事です。

JASRACは現行法の下で、著作者から著作物の利用管理を任され、それを遂行するまでです。

一方で、録音物の権利を保有・管理しているのはレコード会社・レーベルなのです。

なんでもかんでもJASRACのせいにしたようにみえるような発言、特にアーティスト本人は気を付けておかなきゃいけませんよ。

「詳しく知らない」のをイイことに、本人は全くそんな気が無くとも、あるアーティスト1人が軽い気持ちでネット上に愚痴をこぼしただけのことが、1時間後には100件、その1時間後には100×100で1万・・・あっという間に大拡散となります。

気づいたときには、自分で消したくても消せなくなり、大きな恥となって後々まで残りますからね。

今までに何例もそういった恥ずかしい状況を見てきましたので。

この件に関して議論は必要ありません

そこで僕らが発信者に間違いを指摘した際に「だって知らなかったもん」となってしまうのも、これもある程度は仕方ないとも思いますが、そこで必ずJASRACには問題があり、議論が必要だと言い出します。面白いほど必ず。

が、今は議論は一切必要ではなく、アナタに自覚が必要な時です。

今までにも、JASRACに問題がある、議論だと言ってくる人のほぼ100%が問題を正しく指摘できていません。

そもそも正確に知らないだけなのですからね。

今この件では、アナタが知らなかったことに問題があるのですから、問題をすり替えてはいけませんよ。

今もっとも必要なのは決して議論ではなく、アナタ自身が無知であったことを認め、間違った情報を流したことを詫び、今後は当事者としてしっかり勉強をすることです。

なんでもかんでもJASRACのせいにしたり、話題をすり替えて逃げたところでも何も解決しませんので、影響力のあるアーティストなら、今スグにでも誤解を釈明した上で発言を訂正し、そしてその謝罪・訂正発言をファンの皆さんに拡散してもらえるようにお願いしてください。

絶対に開き直ってはいけませんよ。

音楽著作権、どんなアーティストでも他人事じゃないんです。

無関心のままほったらかしにしてると、最終的には自分たちの首を絞めることになります。

まっとうにやろうとしてる僕らが巻き添えを食らうのはまっぴらごめんです。


 

[mixi]JASRACは僕らの町役場

http://mixi.jp/view_community.pl?id=6287023
音楽著作権、JASRACについて、正しく知りたいという人、既に正しくご存知の皆様は、常識人であることの証、コンプライアンスの証として、是非ご参加ください。

 

そもそも僕がこのような話題を取り上げ始めたのは、僕が勤める高校で"DTM表現"という授業を担当していて、その授業の中で「わが教え子たちを犯罪者にしてしまわないために!」というテーマを単元とした授業で、音楽著作権にまつわる常識・非常識を教えるために、こういったネット上での事実誤認情報拡散を訂正するためのネタ集めからです。

知らないままでは本当に恥ずかしいこともありますし、知らないまま犯罪者になってしまっても困りますよね。

これってホント?っていう音楽著作権にまつわる都市伝説、逸話の真偽を確認したい人は、遠慮なくコメントをくださいね。

もちろん、僕自身も真偽を知らないことがありますので、そういう場合はその都度JASRACに問い合わせをしますので。

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