魔が差した (3) | アダルトチルドレン時々日記

アダルトチルドレン時々日記

機能不全の家族の中で育ち、その後遺症を人生上に色濃く残し、一般常識とまともな生活を知らず、悲観的なことを言いつつ能天気な性格でふらふら気ままに流転の人生を送っております。魂の病気と共存し狂気と正気を往ったり来たりする日常を徒然なるままに書き綴ります。


 彼は何度となくうちに来た・・・ 私は自分の気持ちを言い出せず、しかし、言いだして関係に終止符を打つかも知れない賭けなど出来るはずもなく・・・彼の気持ちを知りたい自分を制して、彼の口から愛のささやきが欲しい自分を殺して、彼を喜んで迎え入れた。

男をイカせる仕事を何年もやっていると、悲しいかな普通の受け身のsexが出来ない。

ベッドへ誘う時も、あらぬところで勃起させる時も、仕事と同じようにやる。 何が違うかといえば、そこに愛情がこもっているということ。 しかし、心の内側をのぞいてくれなければ分からないこと。


私は愛情があるから精一杯ヤッた。 

神経を研ぎ澄まして、彼の反応と息遣いに細心の注意を注ぎ、責めの手を変えていった。 

仕事以上に仕事をした。彼を捕えられたのは肉体の上の快楽だけで、彼の心を掴めていないという不安は常に私を苦しめた。 彼に飽きられるのが怖かった。 

今となっては、もしかして彼は・・・たっぷりサービスして欲しかっただけだったのではないかとも思えてくるが、その頃の私は彼を肉体の快楽のみで繋ぎとめることだけで精一杯で、何も考えられなかった。


間男はよく風俗を利用する話をした。安いヘルスかDCらしいが、人と関わりを持てないからその方が楽なようだった。今思えば・・・早い話、女なんて性的快楽でよかったのではなかったのか。

「ふ~~ん」と受け流した振りをして聞きながら、私は時間制限なしでタダでやるんだから、それだけで来てるのかも知れないと考えては頭を振った。


間男はうちに来ると大抵決まって、何日か前に女の子から呼び出されて外出したという話をした。

そして最後に必ず 「オレ、女の子好きだから」 という。 何が目的で言ってるのか。私に何を伝えたいのか。私にどういう反応をして欲しいから言っているのか。それとも、ただのデリカシーのない阿呆なのか・・・。

素直に嫉妬に狂って泣き叫ぶ事が出来れば、これほど楽なことはない。 でもこの恋愛に関して、私は最初から自信喪失をしている。 狂いそうになる嫉妬心は、やがて自分を苛むことになる。 

彼が帰った後、放心状態になり・・・泣いた。 誰にも話せない胸の内はやがて叫びとなって精神を崩壊に導いた。 その崩壊は肉体にまでおよんでいった。 


そんな私の事などつゆ知らず、間男は 「お前はドラッグの様だ」 と言って快楽を堪能していった。

私は麻薬の様な存在なのだそうだ。 非日常がそのまま日常にいる様だと・・・


しかし、あまりにも常識を知らず、世間の事に疎い私に、彼は言い続けた。 

私と普通の女の違いを・・・・普通の仕事をしろ。普通の女はこうだと・・・・・・・・・  普通って何???


辛かった・・・・・・今の私ではダメなわけである。


ボロボロになった。 こてんぱんに否定され続けた。


でも彼は私の性的サービスは認める。  いや・・・それだけだったのかも知れない・・・・・・



間男は幼少期から母親が精神病院の常連だったから、母の愛情を知らないとよく言った。

その言葉の裏側に 「僕のお母さんになって」 という気持ちと 「僕を無条件に愛してくれ」 という気持ちを感じた。 私が少しでも甘えることには一切耳を傾けない。

間男は、私だからかも知れないが、愛をささやくことはなく、その代り、愛を奪うことが多かった。

こうして欲しい、これじゃ嫌だ、これはしたくない・・・生きている不満をすべてぶつけてくるようだった。


私は受け止められるものは最大限に受け止めて、与えられるものは与える様、努力はしたつもりだが・・・

私には男を安心させて受け入れるような母性がない。母の様な雰囲気を醸し出すことが出来ない。 

その上、私は愛情表現が下手である。 

ベッドの上でしか愛情を表現できない自分の愚かさを悔やんでいても、どうすることも出来ない。

私が出来る事は、ベッドの上での表現と・・・たまに下手くそな料理を作ることだった。

あとは、彼の望むことなど何も出来なかった。 


彼は言い続けた・・・普通の仕事をしろ・・・普通になれ・・・普通の女はこうだと・・・・・・


私の自信喪失と自己否定はここで完全なものとなった。







これで終わりますと書きましたが・・・・・ごめんなさい。 もうちょっとお付き合いください。

なんだか・・・これを書き終わったら、彼とのつながりが何もなくなってしまう様で・・・

寂しくて・・・・・・少しでもいいから記憶の中ででもいいから彼と会いたくて・・・沢山書きすぎました。

長々有難うございました。

にほんブログ村 その他日記ブログへ にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説へ  ←よろしければこちらもお願いしますm(_ _)m