真空のお話 12  | 章ちゃんの雑学

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生活の中から野山に咲いている花や専門の真空技術・ジャズのお話を書きます

真空加熱炉には抵抗加熱・アーク溶解炉・誘導加熱炉・電子ビーム加熱炉などがあり明日

 

抵抗加熱炉は処理する金属により低温の場合はニクロム線などでよいのですがふつうはシースヒーターを使用します

高温の材料にはカーボン・タングステン・モリブデン・カンタルなどが用いられます

ヒータを直接真空槽の中に入れて資料を直接加熱する内熱式方法と石英管などの内部に資料を入れて真空にしヒーターは外側において加熱する外熱式があります

溶解や焼入れ・焼き戻し・焼鈍などに用いられます

 

就職して初めての仕事が”ひげゼンマイの真空焼鈍炉”でした

図面の書き方も学校で習った知識しかないのにいきなり仕様書を見せられ設計しろと言われました

当時腕時計の時を刻んでいたのは”ひげゼンマイ”でこの良し悪しでで腕時計の性能が決まるというぐらい重要な部品です 真空中で焼鈍しゼンマイの均質化を図ったのではと思います

(現在はひげゼンマイの代わりに水晶振動子が使われています)

学校出たばかりのド素人が設計したものが天下の第二精工舎に収められたのは申し訳なく思っています

 

アーク溶解炉は溶かしたい金属を電極にしてルツボとの間にアークを飛ばして金属を溶かす消耗電極方法とタングステンなどの電極と資料との間でアークを飛ばして溶解する非消耗型電極方法があります

 

チタンは鉱石からスポンジ状にして取り出します このスポンジチタンを電極にして真空中でアークを発生させ溶解します 真空中で溶かすので純度の良いチタンが取れます

チタンは昔はジェット飛行機に多く使用されるため戦略物質に指定されなかなか一般には出回りませんでした 日本はチタン製造としても有力な国でした