本当に、恋愛とは嫌になるのでございます。
わたくしは社内恋愛をしておりました。
社内恋愛はようございますよ。
会いたいなんて思わなくてもすぐそばに相手がいるのでございますから。
それだけに高級感がなくなるとか、ミステリアスな女が演じられないとか、いろいろ恋愛ハウツー本にはかかれて居りました。
そんなものを読む人の気が知れないと言う方もいらっしゃることでございましょう。
ですが、人間誰しも始めての分野に挑むことになりますと、極端に臆病になるものでございます。その際に先人の経験から学ぼうとしてわざわざ本を選ぶのがわたくしの友人の少ないゆえんでございます。
恋愛本やら自己啓発本やらを読むときに気をつけるべきことは鵜呑みにしないことでございます。本は敵だと思い、全てを論破しようと身構えて読むほうがよろしゅうございます。
また話が脱線してしまいましたが、社内恋愛はわたくしのような激しい受身の方にはお勧めでございます。
激しい愛などそこにはなく、何も考えず、なんとなく毎日一緒にいられる。
そして誰かが自分のことを思ってくれているという安易な安心感も得ることができるのでございます。
なかなか快適でございました社内恋愛でございますが、このたび相手が別の会社に移動になりました。
そこから大分われわれの恋愛は変わってきたように思います。
まず、簡単に会えなくなると、寂しいと思うようになりました。
いつも出社前に待ち合わせしておりましたコンビニに一人で行く。彼の姿はどこにもない。
あ、そうか、もういないんだっけ。
そう思ったときじんわりと寂しさが襲ってくるのでございます。
これは由々しき事態でございます。これではわたくしの恐れております演歌のつくしてつくして捨てられて状態になるかもしれません。そのうち会いたいと電話して会えないとなると彼のマンションの前で雨の中、わたし待つわ。いつまでも待つわ。などということをしでかすかもしれないのでございます。おりしも梅雨でございます。雨はいつでも降ることでしょう。シチュエーションはそろっております。
もう自分が恐ろしくてなりません。
なぜこんなに恐ろしいのか分析してみますと、わたくしと彼の間に確固たる絆のようなものが一切なかったためだと思われるのでございます。
彼のことを無条件で信じられるほど彼のことを知りません。
彼と共通の趣味もございません。
彼には愛を感じませんが情は感じるのでございます。
二人の最大公約数でございました、会社がなくなった今、わたくしたちはゆっくりと別れに向かっているような気が致します。
それがなぜか本当に苦しい。楽しかった分苦しむのなら、恋愛なんてしとうございません。
恋愛なんて気軽にするもんじゃございません。
とかいいつつ超受け身なので醜態を演じるほどの度胸もないのが真実でございます。