Rain by The Beatles
というタイトルですが、ビートルズの話は全く出てきません、すみません。
(画期的な曲だと思います。ポールのベースラインも素晴らしいし、リンゴのドラミングも最高峰な雰囲気です。)
天気予報を見て思うことがあります。
降水量 50mm、風速 20m/s、中心気圧 980hPa と報道されて具体的に状況や対策をイメージできる人はどれだけいるのでしょうか?
一般のユーザーが本当に知りたいのは、通勤できるのか?店を開けるべきなのか?
電車は通常どおり動くのか?イベントは開催しても大丈夫なのか?屋外作業を行うのは危険なのか?、、、ではないでしょうか。
同じ雨が降ったとしても、農家、建設業、小売店、鉄道会社、一般の会社通勤者ではそれぞれ受ける影響が全く異なると思います。
日本の気象機関は比較的客観的と言える、雨、風、気温、波浪に関する情報を予報して、それらがそれぞれの立場に及ぼす影響評価は利用者の側に全面的に 委ねているのが現状では、と思います。
しかしねえ、、、これでは利用者にとっては情報の価値が低いと思えて仕方ないのです。
同じようなことを考えている方も多いようで、実際に近年は議論されているようです。
海外では「Impact-Based Forecast(影響ベース予報)」という考え方が広がっているとのこと。
その根本的な発想は、「雨が50mm降ります」ではなく、「市街地の移動に支障が出る可能性があります」を伝えることにあります。
利用者目線ではこちらの情報の方が圧倒的に分かりやすいです。
「気象現象などどうでもよくて人への影響こそ重要」という考え方自体は極論ですが、意思決定支援という観点から考えればかなり重要なことでは?と思います。
利用者にとっては風速何mという情報よりも、電車は動くのかい?の方が重要でしょう。
利用者視点で見ると、「雨が何ミリ降るか」より「通常通り行動できるか」の方がよほど価値の高い情報になります。
例えば、台風についても知りたいのは、中心気圧はいくつか?ではなく、自分の職場で普通に仕事や移動ができそうか?今日の夜の約束はキャンセルした方が良いのか?ですよね。
これが現在の天気予報に対して感じる違和感の正体だろうと思います。
但し、仮に影響ベース予報にシフトする場合に何より重要なのは「外れることを許容する文化」を持つことだと思います。
例えば、「明日は屋外イベント中止推奨」と発表して、結果、晴れた場合、日本では「外した!!」という批判が非常に強くなりますよね、、、こわっ、、、
影響ベース予報は被害を避けるための「意思決定支援」なので、ある程度の空振りは避けられません。
この点は米国の方が比較的受け入れられているようです。
世界的にも「現象予報」から「影響予報」へという流れはあるようです。
イギリスMet Office(英国気象庁)ではかなり以前から、気象現象と影響を組み合わせた警報システムが採用されています。
例えば、「雨はそれほど多くない、しかし通勤混乱の可能性が高い」場合は警戒レベルを上げます。つまり降水量よりも社会がどれだけ影響を受けるかの方を重視して伝えています。
EUでは防災機関と気象機関が連携し、洪水リスク、停電リスク、交通障害リスクを前面に出す場合が増加しているようです。
特にドイツやオランダでは、2021年の大洪水以降、「雨量」ではなく「住民が取るべき行動」を重視する方向が強まっています。
オーストラリアも比較的影響ベース寄りです。
利用者が知りたいのは最高気温42℃というデータそのものではなく、「熱中症で危険」です。
そのため、「火災危険度」「健康被害リスク」「道路利用リスク」などがよく使われているようです。
こう見ていくと日本は依然として現象中心の要素が強いように感じます。
例えば、降水量や風速などの現象情報が予報の中心にあり、防災情報についても利用者自身が解釈して行動に結び付けなくてはならない場面が少なくありません。
日本は気象庁の役割をかなり明確に区切っており、気象庁は「天気を予報する」のであって「店を閉めろ」とは言いませんよね。
最終的にその判断は自治体、鉄道会社、学校、企業そして個人が行うという考え方です。
これは責任分界としてはとてもきれいです。
しかしながらそれぞれの利用者から見ると、結局、自分で判断しろと言われていることになります。
世界の流れは、「人に代わって決める」ではなく、「人が決められるように影響情報を提供する」方向に進んでいます。日本はその部分がまだ弱めのようなので、今後変わっていくことを期待します。
日本でも近頃は様々な警報やアラートが整備されており、必ずしも現象予報だけに留まっているわけではないでしょう。
しかしながら利用者目線で見ると、「大雨警報」、「土砂災害警戒情報」、「線状降水帯発生情報」など類似した名称の情報が数多く存在し、それぞれに対してどのような行動を取るべきなのかは必ずしも直感的には理解できません。
結果として、「情報は増えているが、さて、では具体的に自分は何をすればよいのか、、、分からない」という状況に陥りがちです。
影響ベース予報の本質は情報量を増やすことではなく、「その情報を受けて利用者は何を判断すればよいのか」であり、仮に今後、影響情報を出すなら、利用者が十分に理解できる形で出さなければあまり意味がないと思います。
日本では最近、個人向け防災情報は充実している一方で、日常の意思決定支援がまだ十分とは言えないように感じます。
線状降水帯発生情報や土砂災害警戒情報では「命を守る行動を」と呼び掛けられます。
これは防災情報としては分かりやすいでしょう。
しかし多くの人が日頃知りたいのは、明日の通勤はどうなるのか、店は開けるべきなのか、運動会やイベントは実施できるのか、といったもっと手前の判断ではないでしょうか。
日本ではこのレベルの情報提供がまだ弱いように感じます。
今後は気象現象そのものだけでなく、それが生活や行動にどのような影響を及ぼすのかを、より分かりやすく伝える方向へ発展していくことを期待したいところです。
、、、とつまらない事をつらつら書いてしまいました。