Mother of Violence / Peter Gabriel | 音楽見聞録

音楽見聞録

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CDレビュー中心のつもりが、映画や書籍など他の話題も。

「Mother of Violence」 by Peter Gabriel


彼女は裸足で通りを歩く
リズムはあるのにビートが掴めない
かかとを鳴らし、つま先を鳴らす
彼女がどこへ行くのか、誰もが知っている

ああ恐れ
そして恐怖
彼女こそが暴力の母

彼女が増殖していく様子を見るだけで、私は緊張する
恐怖
彼女こそが暴力の母

自分にできることは自己防衛しかない
息をするのも苦しくなってきた
信じるということが、どんどん難しくなっていく
何一つ信じられなくなっていく

口は乾き、目は充血し
情報は極小の点に蓄積されている
モカシンの靴で雲を蹴る
テレビディナーにテレビニュース

ああ、、恐れ
恐怖
彼女こそが暴力の母
彼女が増殖していく様子を見るのは、まったく意味がわからない
恐怖、彼女こそが暴力の母
彼女が育っていく様子を見るだけで、私は緊張する

彼女がそこにいるとわかる唯一の方法は
空気の中に漂う、かすかな気配だけ
息をするのも辛くなってきた
何一つ信じられなくなってきた

そしてただ、恐怖だけが

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暴力の原因は外部にあるのではなく、人間の内面にある「恐怖」から生じるのだろう。
ヒトに内在する恐怖があるからこそ、防衛・攻撃・暴力が生まれる。
つまり「恐怖」こそが暴力を産みだす「母」である、、、という意味なのでしょう。


擬人化で抽象概念を表現することはガブリエルの表現手法の一つです。個人の心理と社会的な状況を同時に描く、というのは彼の得意とするところではないでしょうか。

暴力は「原因」ではなく「結果」であるんだ、という認識。
その起点となる「恐怖」は一度生まれ落ちると自分で増え、育ち、広がっていく。

ならば人に恐怖がなければ暴力も消え去るのか?
逆に恐怖が人間に不可避なものであるならば、それが消え去ることは無く、つまりは暴力も消え去ることは無いのか?

曲調は穏やかでピアノとアコギを中心に進みます。

最後の最後に1音だけ発せられる歪んだギターの音

(これロバート・フリップでしょうね)
これが異常に効果的で今まさに暴力を生み出そうとしている「恐怖」そのものを表現しているように思えて仕方ありません。

持続しない、何も解決しない、和音にも繋がらない、

ただ「刺さる」だけの音!
余韻なんて生易しいものではない。


そして感情や疑問は処理されることなく放り出されたまま終わりを迎える。
一音に意味を込めるピーガブのこういうところが好きです。

 

このアルバムも大好きです!

「White Shadow」も堪りません!!