キリンのキリコは眠れない | 音楽見聞録

音楽見聞録

単なるリスナーが好きな音楽について勝手きままに書き散らかし。
CDレビュー中心のつもりが、映画や書籍など他の話題も。

かなり昔の記事で書いた記憶があるのですが、、、

みなさんはNHK教育テレビで2006年まで放送していた「なんでもQ」(時期によって「むしむしQ」、「あにまるQ」、「むしまるQ」、「むしまるQゴールド」のサブタイトルあり)という番組、ご存じでしょうか?

一応、体裁は「クイズバラエティ」で対象は保育園児や幼稚園児クラス、、、

なのにこの番組の詰め込まれたような異様なハイ・テンションはいまだ脳裏に深く焼き付いております。

声優、三石琴乃さんの七色(どころではないですね)の声を使った超絶話芸もそうでしたが、何と言っても強烈だったのはその楽曲たち。
番組ではオリジナルの楽曲が流れますが、このクオリティが半端ないのです。

年齢層を一切無視した思い切りハイブロウな楽曲群は気持ち良いを通り越して感動すら覚えます。
歌も演奏も一切妥協はありません。

当初は割とオリジナルな感じの"みんなの歌"寄りの楽曲(これらも秀逸ではありますが)も多かったのですが、段々と洋楽の特定の曲やアーティストへのリスペクトなどの拘りが強く表れるようになってきます。

楽曲は番組を通して全部で70数曲になるようですが、ほぼ全曲フルサイズの音源で所持しています、、、
なお、現在もこれらは入手可能な状態なのです。

つまり、今でも売れるクオリティを保っているとは言えないでしょうか?

このクオリティの高さ。
音楽を好きな人たちがよってたかって作り上げているんだ、ということを感じます。

今回、紹介するのは、その中でも非常に好きな「むしまるQ」時代の1曲、「キリンのキリコは眠れない」です。
(作詞/亜蘭知子、作曲・編曲/西原俊次、歌/塙一郎)

※残念ながらYou Tubeにはこの曲のオリジナル音源は見当たりませんでした、、、残念!

この番組の楽曲は昆虫や動物を題材にしたものがほとんどで、ほぼすべての曲にそれらに関する豆知識的な内容の歌詞が含まれてます。
この曲ではキリンは、「上の前歯がない」、「不眠症:いつ眠っているのかわからない」(笑)「神経質」などの豆知識が身に付きます!
(これは別の曲ですが、「オガサワラチビヒョウタンヒゲナガゾウムシ」という名前が頭に刻み込まれる歌もあります。普通こんな虫の名前なんて覚えられないですよね~笑 楽曲の力はすごいです。)

キリコには洋楽へのリスペクトもあり、「The Lion Sleeps Tonight(ライオンは寝ている)」(The Tokensがヒットさせた1961年版が有名です)のコーラス部分のメロディと「weema-weh」がやや形を変えて出てきます。

まあ、この些細な部分など抜きにしても楽曲の完成度の高さはため息が出るほどです。

雰囲気を変えたサビからいきなり始まる歌い出し、かなり高度なリズムの変化、最後の転調、塙一郎さんの素晴らしい歌。コーラスのライン、楽器編成、と文句のつけようがありません。
この曲は是非フルサイズで聴いて欲しい1曲です。

 

オリジナルが無かったので「玉野むぎ」さんが弾き語りでカバーしたバージョンを貼っておきます。

 

さてこの後、番組の楽曲は更に洋楽に傾倒していきます、、、、

色々と面白い曲はあるのですが極めつけは「ウーパークイーンの宮殿」でしょうか。
まさかお子ちゃま向けの番組にどどんとクリムゾンを持ってくるとは!!

同曲では、太陽と戦慄パートⅡ、21世紀、エピタフ、宮殿などのフレーズが見事に組み合わさり、フリップばりのギターサウンドも登場し、個人的にはもはや笑いを超えてゾクゾクする領域に至ってます。


、、なのにクリムゾンを全く知らなくても聴けるという不思議さ。
何よりも素晴らしいのは楽曲が最早パロディの領域にはないことです。単純に面白がっている訳でもいないし、題材に選んだ楽曲に真面目に対峙している姿勢が原曲への深いリスペクトをも感じさせ、素晴らしいと感じています。

これも是非オリジナルのフルサイズ音源を聴いて欲しいです。

 

<オマケ>

ボス豚(とん)

正にBOSTONのサウンドですわ。最後のクレジット「ノー・シンセサイザーズ・ユーズド」の拘り、、、これもCDでフルサイズを聴いて欲しい、、、