The Beatles 50周年記念エディション / The Beatles | 音楽見聞録

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巷で山のように発売されるリマスター音源のCD

 

あまりCDが売れないであろう現代、過去のヒット名盤を手を変え品を変え売ろうとするメーカー側の思惑も透けて見えて、余計に白けるため、個人的にはあまり興味がないジャンルではあります。
どうせちょっと音が良くなるだけだろうし、、、などと考え、この手のアルバムでは購入に至るものはほとんどありませんでした。

買い替えしてたらキリ無いですもん。


・・・そんな中、ビートルズの、それも一番好きなアルバムで、リピート回数も間違いなく一番多いであろう彼らのアルバム「The Beatles」いわゆる「ホワイトアルバム」が50周年記念盤として発売されました。

勿論、数えたことなんてないからわかりませんが、もしかしたら人生で一番繰り返し聴いているアルバムかもしれません。

 

単なる「リマスター」ではなく「リミックス」盤として発売される、となると興味津々です。
しかし、発表後50年経過してのアルバムの新たなステレオ・ミックス!!なんて普通無いですよね。さすがはビートルズ。

とは言っても、どこまで変わるのものか、と言う思いもあり、なんとなく購入するのが延び延びになっていました。

でもね、気にはなっていたんですよ。

で、ようやく3枚組を購入(色々なバージョンが出てますが、本編2枚+イーシャ・デモ・トラック入りの無難な3枚組をチョイス)

 

1曲目のBack in the USSRが流れてきた瞬間・・・・おおおお???と身を起こす。

それから、すっかり聞き入ってしまいました。


とにかくまずは各楽器の分離感が素晴らしいのです。マスター・テープから一つ一つの楽器の音を取り出して、丁寧にノイズを除去してから元あった場所へ戻した、そんな印象。

一部には「ビートルズはモノラルだぜ」とのたまう、固まった音を崇拝する方々もいるが、それは単なる個人の嗜好でしかなく、ビートルズの普遍的な聴き方とは思いません。

このステレオ感溢れる作品は素晴らしい選択肢のうちの一つでしょう。

(※フィルスペクター・プロデュースのアルバム「Let it Be」を評価しない奴もわからん。この件に関しては当事者のポールでさえも間違っている!わかってないなあ、ビートルズを・・・)

 

ホワイトアルバムはそれこそ何十年も聴きこんで来たアルバムだけに余計にオリジナルと異なる部分が鮮明に聴こえます。
特にアコギの弦の音、ストリングスのしなやかな音とか、アコースティック系の音の瑞々しさが半端ではありません。
ヴォーカルやコーラスも非常にクリア。音のエッジが立っている印象です。

今回のリミックス作業はオリジナルの4トラックもしくは8トラックのセッション・テープから(このアルバム作成途中で初めて8トラックレコーダーが導入されたはず)直接行われたものとのこと。

今回はプロデューサーや多くのエンジニア以外にも音源修復のプロも加わってのプロジェクトだったようです。
プロデューサーのジャイルズ・マーティンは「ビートルズがスタジオで奏でていたそのままのサウンドを届けること」を心掛けリミックスを行ったと語っています。
元々ホワイトアルバムはコンプレッションとリミッティングがメインと言える音作りがされたアルバムである、との説明も。

それぞれの楽器の立ち上がり、分離も素晴らしいし、更に興味深いのが、今回のメインであるリミックス作業です。

マスターテープには録音されていたが完全に聴こえなかった音(意図的に消されていた音)が敢えて戻されている箇所があります。
例えば、「Happiness Is A Warm Gun」の冒頭のベースのフィル・インが実はオリジナルより半小節分も早く始まっています。

今までオミットされていた音。

あ~ショックで新鮮です!

また、ミックスの関係でこれまでほとんど聞こえなかった音が聞こえている箇所も多くあります。

例えば「While My Guitar Gently Weeps」の左チャンネルから聴こえるE・クラプトンが弾く、歌バッグのギターとか。

その代わりこの曲ではポールのベース音が小さく抑えられています。

 

逆に「Dear Prudence」ではブリッジに入る前のベースの一音が消されています。(イントロのアルペジオもむちゃ綺麗!)

で、フェイドアウトではなくギターアルペジオの最後の一音まで聴こえる。

 

つまりミックスで音の構成を意図的に変えているわけです。

 

続く 「Glass Onion」は生き生きとしたベースの音、バックにかぶさるストリングスが思い切り前面に配置。
非常に新鮮な音です。A面冒頭の3曲だけでもまるで新しいアルバムを聴くかのような思いです。


まさか今のこの時代になって、十分に承知しているはずのビートルズの音源にこんなにもワクワクさせられるとは思いませんでした。
今となっては絶対に叶わない、リアルタイムでビートルズのニューアルバムを聴く、極論で言えばそんな体験を彷彿させるような作品ではないかとまで感じてます。

 

いやいや~音楽はファッションなんかじゃない。やはり音そのものありき、なのですね。

レコーディング・グループとなったリボルバー以降のビートルズは正に「音楽」です。


このアルバムは、ほぼ全曲のべースをコピーしているのですが、今回のリミックスでこれまではよく聴こえなかった部分や、輪郭がはっきりしたり、音が大きくなったことで聴こえてきた細部が明確になった曲もあり、もう、部分的にはコピーし直しです。。。

聴こえていたのに消されたパートはさておき(そこはやはり演奏すべきなのでしょう・・・)、これまで聴こえていなかった音とか、良く聴こえず明確でなかった箇所について補完できる曲があります。

 

ひや~面倒だけど、嬉しい体験です。

イーシャ・デモについては、まあデモはデモなんでおまけとして聴く分には良いかもしれません。曲の原型が見えます。

 

素晴らしい盤をありがとう!です。次は「アビーロード」も同様のリミックスが出るのでしょうか?