あらためて考えるにプログレ、、プログレッシヴ・ロックとは何だろうか。
これをジャンルととらえるにはあまりにも間口が広いような気もする。
例えばメタル期の轟音を奏でるクリムゾンとアニー・ハズラムが囀るルネッサンスが一緒の括りだとは誰も思わないだろうし。
言葉のとおり、進化してかつ深化するロックが全て前進という意味でのプログレなら更にあまりにも幅広くなる。
但し、狭い意味でなら、それぞれ個人の胸の内に「これぞプログレだべ!!」という冠詞のつく筆頭バンドがいるんですよね、コレが。
しかも、むっちゃ思い入れが強い。いや~ホント面白いことです。
自分も同様で、プログレというフレーズが惹起するそれはまずは「GENESIS」、特に70年代前半のGENESISがそれにあたります。
この頃のGENESISの音楽性は非常に高く、個性的でもあり確立されたものですが、そのためかいわゆる直系のフォロワーがいないように思います。
個性が強すぎるが故に「同じような」バンドを作ることはかなり難しいのだと思う。
これまで「GENESISを想起させる」という歌い文句のついた著名なバンドもいくつか聴いてみたのですが、(THE WATCHやMachiavel(マキャベル)など)ん~どうも、今一つピンとこないものばかりでした。(初期マリリオンもペンドラゴンもGENESISフォロワーとして見なければよいバンドだと思います。)ちょっと違うというか、、、違うかな。
似せ方すら中途半端というか、、、
この狭義の「プログレ」というジャンルを考えた場合でも、今の時代に果たしてそんな活動をしているバンドがいるのか?
・・・・・・・いました・・・・・・・
「Submarine Silence」(サブマリン・サイレンス)というバンド(というよりユニットでしょうか)をご存知でしょうか?
Moongardenというイタリアのバンドのキーボード担当、クリスティアーノ・ロベッシをコアとするユニットで、まず2001年に同名タイトルのアルバムを発表しています。
この作品は全編インストですが完全に70年代前半のGENESISの再現を意識的にもくろんだ作品で、ジャケットも「MUSICAL BOX」「FOX TROT」を描いたポール・ホワイトヘッドが担当するという凝りようです。
・・・で、何を思ったか、このユニットが2013年、実に実に12年振りに発表した作品が今回紹介するアルバム
「There's Something Very Strange In Her Little Room」(2013)です。
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There’s Something Very Strange in Her Little Room
1,540円
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まず、ここでのヴォーカリストは同じピーターでもガブリエルではなく、ハミル(VDGGのVOです。)の方に近い印象を受ける、低音でグイグイくるタイプでちょっとGENESISっぽくはないかも。
しかしながらサウンドはまさしく、70年代前半のGENESISを意識している。
シンフォニックでありながら繊細なアコギのアルペジオが響き、叙情的なメロディが流れる。
敢えて言うなら特に「MUSICAL BOX」「FOX TROT」の2枚の頃に非常に近い手触り、これに加えてもしハケットが「そして三人が、、」以降もバンドに残っていたらこんな雰囲気もあったかも、、、と感じさせる展開も。
また、このアルバムではごく自然にGENESIS愛が再現されているように思う。
特に気負うことなくgood musicが演奏されているという印象。
ソリーナ等のストリングス系のシンセ音が満ちる中、要所要所で極めつけのメロトロンが唸りを上げる。いや、これはたまりません。
メロトロンってなんでこうも神経を刺激するのだろうか?
かと言って、メロトロンが鳴っていれば何でも良いというものではなく(例えば個人的にはアネクドテンはあまり好きではないです、、、)自分の場合、そこに美しいメロディ+叙情性+αが無ければ事足りないのです。
この作品、単なるオマージュ、真似事、エピゴーネンではなく「プログレ・アルバム」として十分に屹立しているところが素晴らしいのです。
GENESISという括りを外しても一向に価値は衰えないように思います。
イタリアのユニットであるものの、歌は英語だし、PFMなどに見られるような厚いベールに包まれた、布一枚向こう側にいるようなイタリア独特の手触りが全くしない。
まるっきり音使いが英国です。なぜ?ここは不思議。全体的にもUKサウンドとしての仕上がりぶりを感じます。
物語は少女レベッカを中心に据えた幻想的な展開・・・・のようだが、インナー・スリーブの英語歌詞がもう小さくて妙な読みづらい字体のため、ほとんど判読出来ません!!ああ、痛切に歌詞の内容が知りたいです!彼女の小さな奇妙な部屋で展開する人形たちとの物語。
知りたい。
でも、詳細はわからずとも如何にも英国的な香りに満ちていますよね。
そうです、プログレにはこの物語の部分も非常に重要な要素の一つなのです。
ジャケットも物語の一部を構成するような出来栄え。
不協和音とコーラスが満ちた怪しげな短いイントロからアルバムはスタートします。子どもたちの「ハ~イ」という声のあと始まるレベッカのテーマではリリカルなソロ・ピアノが奏でられる。そしてこのテーマ旋律がアルバム全体を貫く通奏低音となってあちこちで顔を出す。また、本編すべての曲は切れ目なく続いて行きます。
パートdの「Childs At Play」はこのアルバムでは唯一ともいえる陽性な感じを受ける楽曲。
6/8で心地よいテンポの楽曲が進むなか、気持ち良く伸びやかなギターが歌い始める。
そして展開部では、中央でアコギがつま弾かれ、右からは深~いエコーに包まれたフルートが聴こえ、そして左からはメロトロンの分厚い音の壁が被さってくる。そしてメロディは美しく優しい。
く~こりゃ王道です。プログレ好きには堪らない。
そしてエンディングの盛り上がりを決定づけるパートmの「Aftersong」もかなりの名曲かと。
短い歌の後、ゆったり繰り返すリズムの上を叙情に満ち、美しいサスティーンを効かせたギターの旋律が踊る。このギターがもう抜群です。
泣きのメロディ。そしてなにより決して速弾きはしません。速弾きに逃げない姿勢ってわかる人にはわかるのかと思います。。。
やがてこれまた美しいアコギとシンセのアンサンブルへと繋ぐ・・・
ここでのサウンドは、ちょっとだけPINK FLOYDをも想起させるものがあります。
つまりはアルバム全編を通して腰の入ったプログレ魂を感じる、手離しで素晴らしい、と賛辞を送りたいアルバムなのです。
何よりも2010年代にもなって、こういうサウンド・プロダクション、よくぞやってくれました、という感じ。
初期GENESISファンはもちろんのこと、Camelなどちょっとリリカルな部分があるバンドが好きな人にもお勧めできる現代のプログレと呼べる1枚です。
youtubeに「Aftersong」があったので貼っておきます。・・・ん~ちょっと音は汚いけど曲は素晴らしい。
私のイメージする直球のシンフォニックなプログレです。
VOはどこかハミルっぽい歌い方ですね。(ただ、全編通じて歌の部分はそれほど多くないのです、、、)この曲の後にホントのエンディングが続きます。
Aftersong by Submarine Silence
ちなみに、このユニットは2016年に3枚目となるアルバム「JOURNEY THROUGH MINE」を発表しています。
これがまたなかなかに素晴らしいのですが、、、それは次回で。
しかし、音楽ブログってあまり人気ないんですかね、、、
オマケ。上でハミルの話をしたのでVDGGの名曲「House With No Door」もお届けします。
極めて美しい。情感が爆発するヴォーカルの訴求力。ハミルにしか歌えませんな、こりゃ。間奏のディヴッド・ジャクソンのフルート&サックスも見事に嵌ってます。曲が消え入るときに鳴っているヒュー・バントンのオルガンの神聖な響き。忘れがたい名曲です。
