呪われた町 / スティーヴン・キング | 音楽見聞録

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モダン・ホラーの旗手と呼ばれていたスティーヴン・キング。

初期の作品「呪われた町」は83年に集英社文庫で発売、その後長らく絶版状態だったらしい。

今回、改訂版が発売されたが、改訂新版と言ってもどうやら永井淳氏が改訳を行っている訳ではなくカバー絵が変わっただけ?
手元の旧版文庫が行方不明なので比較できませんが。
でもなあ~それで上下巻各800円、合計1,600円は高いんじゃない?~集英社さん!

この作品、原題は物語の舞台となる町の俗称「Salem's Lot」です。
古典的な吸血鬼の話なんだけどとてつもなく面白い。初期キングでは最高峰の作品だと思います。

使える手段は分かっているはずなのにそれでも手に汗にぎる展開です。
初期のキングは怖~い。本当に怖い。

人物だけではなく風景や建物など諸々のディテールを書き込み、細かな事象の描写を積み重ねる事でリアルさを演出し、現実感がぐぐっと増したところでいきなり非現実な事件が勃発する。そしてその事件は登場人物の心象など関係なく一切の情状酌量の余地なく畳み掛けて起きます。だから読者に一気にリアルな恐怖が伝わる仕掛け。

とにかく登場人物の背景を描きまくります。それもかなりの複数の登場人物に渡り描写が続きます。

まだ少しこなれていない固い表現や饒舌すぎる部分があちこちに溢れているかもしれませんがやっぱり一気に読んでしまいます。

個人的にキングはデビュー数年後に知り、まあリアルタイムで読んで来た作家の一人です。なのでそれだけ思い入れもあります。

本当に個人的な感想になってしまいますが、今の時点で振り返ってみるとキングは80年代中盤までが絶頂期だったのかなと感じてます。従ってこの頃までの作品には好きなものが多いです。

ざっと発表時代順に紹介してみると・・・

●「キャリー」(1974)ブライアン・デ・パルマ監督の映画でお馴染み。結局は超能力がキーだし、ホラーというよりはやっぱりSFタッチですよね。キングの出発点。
●「呪われた町」(1975)本作。モダンホラー!!
●「シャイニング」(1977)原作とは異なる部分が多いけど映画が有名です。内容的にはホラーなのにSFテイストがある。
●「ハイスクール・パニック」(1977)リチャード・バックマン名義、ちょっと中途半端
●「ザ・スタンド」(1978)→これはもっと後に完全版として発表。・・設定はSF。やや物語が冗長で支離滅裂かも。一気に読んでしまいますがね。
●「ナイト・シフト」(1978)短編集 面白い。
●「デッドゾーン」(1979)SF、非常に名作!切ない。またクリストファー・ウォーケン主演の映画は個人的にはキングの映像作品の中では最高傑作です。
●「死のロングウォーク」(1979)バックマン名義 これも好き。似たようなシチュエーションで作られた真似っこ作品が日本にはいっぱいあります。
●「ファイアスターター」(1980)SF。良い。う~ん、結局この頃まではホラーもあるけどSF的要素が占める割合も多かった、という事でしょうか。ドリュー・バリモア主演で「炎の少女チャーリー」として映画化されましたが原作の方がずっとチャーミングで深い。
●「クージョ」(1981)狂犬病にかかってしまったワン公の視点が最高。また車に閉じ込められる恐怖の描写などとても新しい感じのあるホラーだった。
●「ロードワーク」(1981)バックマン名義 ちょっと中途半端
●「ダークタワー」(1982-シリーズ) ん~実は嫌い。キングのファンタジーテイストはどうしても好かんのです・・・すみません。
●「バトルランナー」(1982)バックマン名義 まあまあ。シュワちゃん主演で同名映画になったが原作とはほとんど違う・・・
●「恐怖の四季」(1982)中編集・刑務所のリタ・ヘイワース、ゴールデンボーイ、スタンドバイミーを含む。2本の映画「ショーシャンクの空に」と「スタンドバイミー」という映画で結果的に有名になったが個人的には本としてはそれほど好きではない。なぜなら別にキングでなくても良いかなという印象が強くあるから。キングのサイド・ビジネスのようなイメージがどうしても抜けないんです。
●「クリスティーン」(1983)怖~い車のお話・・・まあまあ
●「ペット・セマタリー」(1983)これは怖い。本当に怖いぞ!!これまた傑作。
●「痩せゆく男」(1984)バックマン名義 これも怖かったなあ・・・
●「タリスマン」(1984)ピーター・ストラウブとの共作 これねえ。いかん!ファンタジー世界。どうも性に合わない・・・
●「スケルトン・クルー」(1985)短編集 これは良いです。近年の映画「ミスト」の原作「霧」もこの短編集に収録されてますが小説の方が圧倒的に素晴らしい。
●「イット」(1986) この辺りからキングが微妙になってくる。色んな要素が混ざってくる事は良いのか悪いのか。壮大な物語で構成も見事だが物語の導かれる先がなんとも微妙・・・・着地点が違うというか・・・

この後、「ミザリー」(これも映画がヒットしました)、「トミーノッカーズ」、「ダークハーフ」と何となく私にとっては不完全燃焼が続く印象。

中編集の「ランゴリアーズ」「図書館警察」は良かった。

「ニードフルシングス」は長編では久々に面白かった。カタルシスが味わえる割とストレートな作品。
ちょっと変わった作品「ジェラルドのゲーム」(恐怖の形としては微妙に面白く新しい)が続き、「ドロレスクレイボーン」、「ローズマダー」あたりは正直あんまり面白くなかったなあ・・・

この原稿を書いている時点ではまだハードカバーのみの新作「アンダー・ザ・ドーム」ってどうなのかな?ちょっと読みたいシチュエーションではある。

キングは大好きなのでこの先、また楽しませてくれる作品を期待してます。

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