華麗なるヒコーキ野郎 | 音楽見聞録

音楽見聞録

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華麗なるヒコーキ野郎/ロバート・レッドフォード
¥1,800
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華麗なるヒコーキ野郎
1975年作品
出演: ロバート・レッドフォード、ボー・スベンソン、スーザン・サランドン
監督: ジョージ・ロイ・ヒル


 第一次世界大戦終結後、行き場の無くなったヒコーキ乗りたち。それでも「ヒコーキ」を捨てる事のできない男達は命がけで旅回りの曲芸飛行に道を見いだすしかなかった。ロクな衣食住もない状況の中、過去の栄光にしがみつき夢をおいかけているだけ、と見られがちな彼らであるが、実は決して虚構の世界などに生きている訳ではない。


 この映画はそんな時代に生きて散っていった熱い魂を持つヒコーキ乗りたちのお話。個人的には見事な「男」の映画だと思っている。ノスタルジックではあるけれど人間の持つ熱い思いが変わらないという事を教えてくれる。


 ロバート・レッドフォード演じる主人公のウオルド・ペッパーは遅れてきたヒコーキ乗り。
自身の自慢話の中では先の大戦でドイツの撃墜王と渡りあった話しを披露するが、おそらく戦争に参加していたとしても単なるルーキーで、戦績なんてロクに残っちゃ居ないはずだろう。

 遅れてきてしまったが故に自分の情熱をぶつける対象がどこにもないもどかしさが良く伝わる。


 彼が仲間の死などを乗り越え、やがて自慢話のドイツ軍名パイロットの撃墜王ケスラーと映画撮影の上とは言え、一戦交えることになる。このシーンが映画のクライマックスに使われている。

 ケスラーにとってももはや名声は過去のもので今や彼でさえ映画のスタント・パイロットの座に甘んじている。


 撮影が進む中、二人はいつしか本気で戦闘をはじめる。ウオルドの思いがケスナーに飛び火したのか二人はいつしか熱い思いを蘇らせ戦い続ける。しかしこの激しい戦いの中、交わされる言葉は一切なし。お互いの胸に去来する思いを一にし、厳しい戦いは続く。やがてお互いに交わす最後の敬礼に万感の思いが込められる。名シーンだな~。


 満足げな笑みを浮かべて雲の間に消えていくウオルド。たまりませんね~


 ほどなく彼も恐らく航空機事故によるだろう原因で死を迎えることが写真で暗示される。それはあいもかわらぬつまらない曲芸飛行の最中だったのかもしれない。しかし、あの瞬間に感じた彼自身の栄光は消え去ることはない。誰が認めてくれなくとも、あの瞬間が消え去ることはない。


 ヘンリー・マンシーニの音楽も良い。映画冒頭でテーマ・マーチが流れる中、主人公ウオルドの人間性が描かれていくのだがこれがまたお見事!
 ごく短い時間の中でウオルドのヒコーキへの情熱、空への熱いあこがれの気持ちとそれを大切にする心情や個性が見事に描かれている。だれる事のない良い映画だと思います。