オーガスクリューという掘削器具が存在します。

というか、掘削器具にはオーガという名称を含むものが少なくありません。


オーガというと、現代一般人は、たいていの場合、原始人を更に数倍したかのような巨体で、

その肉体の力感を示すために、単純に棍棒などと表現しては、

やや持て余す感がある巨大な武器を握っていることも珍しくないという外見で、

それ相応に直接攻撃力や体力が高い、RPGの定番モンスターを思い浮かべる事でしょう。


こいつはフランス出身の、基地外グリム兄弟よりも早く、民間で伝承されてきた、

おとぎ話や伝説を取りまとめて、童話という形で発表した、恐らく世界最古の童話作家である、

シャルル・ペロー、彼がかき集めた民間のおとぎ話中に登場した食人鬼、即ちオーガが元ネタであります。


この食人鬼が、民間のおとぎ話の段階からオーガという名前であったかどうかは分かりませんが、

少なくとも広く世に広めたという意味合いで、名付け親はペローということで間違いないでしょう。


そして、オーガは世に現れた時から、人間を怯えさせるほどの怪物であったことは確かなようです。



ここまで説明すると、オーガスクリューという名称は、鬼の如き力を発揮して岩盤を掘削する機械、

ということになる訳で、なんていう厨二病真っ最中の熱くて格好いいネーミングだ、

なあんて思いがちな訳なんですが、明日友達に、オーガスクリューってかっけえよな! 

なんて言ったら失笑されかねないので、とりあえず止めて置いた方がいいです。



なぜなら、オーガスクリューのオーガは食人鬼のことじゃねえからな。


でもまあ、実際現場でオーガ使ってた人も、FFのオーガのことだと思っていたという実例を、

昔穴掘ってる時に見たことがあったからなー、意外と、ピアス穴空けるときに処置を誤ると、

穴から白い糸がうにょ~って出てくる、というのと同じ位、広く認識されている誤情報なのかも。


そもそもオーガスクリューというのは、螺旋状掘削機の部位の事なんですよね。

この掘削機の先端部分がオーガ(ヘッド)でありまして、後ろにくっ付いている、

螺旋状の部分がオーガスクリュー、要するに、

別にフランスの片田舎の食人鬼のことなんぞにはこれっぽちも触れてないのであります。


オーガという単語が掘削機とか孔堀機、大型錐という意味でしてな。

更に、英単語だとauger。食人鬼のオーガは、ogreな訳でしてな。

アゥガアとオーガって感じで発音からして違います。物がオーガだけに、錐と霧みたいなもんですな。



冷静に考えてみれば、電動式オーガとか、油圧式オーガとかそういう器具もあるだけに、

オーガが食人鬼のことを示している訳ではないということは明白なんですが。

仮に食人鬼のことを示しているとしたら、そんなロボット食人鬼とかこわくてちかよれない。

メカザンギエフ並の酷い発想だ。



とにかく私が言いたいのはですね、

スクリューって言葉には色んな意味合いがありまして、

例えば、看守とか監視役、糞ビッチいう意味合いとかね。


関連して、食人鬼のように残虐な監視役だとか、食人鬼のように旺盛な糞ビッチのことだと、

オーガスクリューという単語をそういう風に受け取っている人がいやしないかと、

ちょっと不安でして、善良な胸がモヤモヤしているのであります。


あとそうそう、はんまゆうじろうお父さんを、掘削機のような人だと思われて恐れられている、

と勘違いしている人がいないか等と考えると、もう気が気でなかったりするのであります。

今年を振り返るにはまだ早いとは思うが、既に、今年ほど人生で色々な経験をした一年はない、

と言ってもいいくらい、印象深い出来事がいくつもあった。


といっても、俺の人生は、別に覇王のベヘリットを手にすることがあらかじめ定められていたとか、

十二の使徒を操つることができ、世界を天国のような場所に変えることすら可能な、

一万年に一人しか生まれない男とか、そういう選ばれた人間のものではないので、

別段面白くもなんともない、平坦なものであり、そういう人間にとっての事件と言うのは、

荒波に揉まれた人間からすれば、一笑に附すようなモノである事が往々にしてあり、

まあまだるっこしくない言い方をすると、以下はつまらねえ話になるから読み飛ばしてくれて構わんってことだ。



まーねぇ今年の3月に警察官試験落ちた訳だけど、そのときの日記にも書いたとおり、

試験の類で落っこちたのは初めてだったんですよ、これがね。


いえね、たとえ身の丈に合わない様な無謀な戦いでも、確実に勝利を治めてきたって訳ではなくてですね、

俺は根っからチキンですから、勝算が多分にあると踏んだものにしか挑まないんですよ。

だからこう、別にそれまで受けてきた資格試験や受験と言ったもので落ちたことが無かったというのは、

大して自慢にならない訳です。冗談抜きで、自分はそう思っております。


落ちた感想は……まあ、泣くほど悔しかったわけでも、やっぱりダメだったか、という訳でもなく、

なんともまあ……非常に無感動な感じだった訳だけどさ。上記のように、勝てると踏んで挑んだのに、

惜敗って訳でもない負け方だった訳で、多少はショックであったけれど、すぐに忘れられるものだったからね。



それでもまあ、人生で初めて砂利を噛んだんだわな。


凄い勢いで突っ走ってきた、怖いもの知らずの人間の鼻っ柱に一撃をくれてやったらどうなるか?

自身の勢いも手伝って、盛大に後方に吹っ飛ぶだろうし、人間によっては再起不能になるでしょう。


ま、自分は、打算をしつつ恐る恐る走って来た人間ですが、それでも歩くよりは速いスピードで、

調子に乗って進んできた人間ですから、やはり、叩かれたショックで、後方にでんぐり返る位はしたみたいです。


一撃のショックで何か歯車が狂ったのか、その直後から最近まで、

凄い勢いで連敗を重ねておりましてなあ、俺。

人生初のお祈りメールを頂きましたしね、御健勝メールでもいいです。

本日なんて人生初の、内定取り消しという奴を喰らってしまいましてね。


人事担当の方が直接お電話くださいましてね、ま、平たく言いますと、

もっと眼鏡に適う人材が現れたので、内定取り消したいんです、って内容だったんですね。

あー、一応言いますと、凄く丁寧でした、もう怒鳴られる事を覚悟していたような口調。


まあ内定が出たと言っても、まだ労働契約をしたという訳ではなかったのでね、

内定取り消しはありえた訳だがな……。


それ以上に、企業は人を入れて育てるために金や席を使うってことは分かっているからねえ、

見込みがありそうなのを入れたくなる気持ちは凄くよく理解できたからね、こう返した。


「企業というものが、少しでも良い人材を獲得しようとなさるのはごく自然な事だと思いますので、

お取り消しいただいて結構です。それよりも、御丁寧に御連絡いただけたことを、

真にありがたく思います」


正直言うと、今まで生きてきた中で、今日ほど話術におけるアドリブが成功した日は無かったな。

よくこんな台詞が吐けたもんだ、ちょっと皮肉にも聞こえる辺り、脊髄反射台詞にしては上出来だ。

「ご配慮ありがとうございます」って言われて、互いに「失礼します」を合言葉にやり取りを終えたんだが、

ぐふっ……って感じやったわぁ。一世一代の芝居がかった台詞と共に、魂まで抜けたみたいな。


とまあ、今年の私は、人生初の敗北、人生初の大型連敗、人生初の後一歩でサヨナラ負け、

というものを知った訳でしてな、非常に勉強になったという訳ですよ。


んーしかし、凹んでいるかといえば、今はそうでもない。

こんなんでめげる程俺は諦めが良くないのよね。


真性の変態は大抵、しぶといのよ。

自分が生きていると、他人に常識的な許容範囲を逸脱した損害を被らせることが分かっていても、

それでもなお他人の生き血を吸って生き延びようとするのが、真性の変態という生き物の生態だということは、

それはもう様々な書物を紐解けば分かる事であってな。



さてまあ、明日からまた頑張るかねえ。ゼロを手にしたお前は強く、ってそういう歌もあったし。

エグいって言葉ありますよね。

グロスキーとかリョナラーならお世話になる頻度は決して少なくない言葉。


残虐な、残酷な、深刻な、とかそういう意味で用いられるのがほとんどですが、

気味が悪いとか、不快であるとか、奇怪である、そういった意味合いが転じてそうなったもので、

更に根本的な意味を辿ると、渋み、苦味と言った味の感覚を、えぐいと言った訳です。


この辺り、グロテスクという言葉の用いられ方の返還と似た部分があって、興味深い処です。


何故って、グロテスクと言うのはそもそも美術様式のことを指す言葉でして、

奇怪であったり奇妙であったりするが、不思議に人を惹きつけるという特徴があるんですよ。

これが転じて、不快や奇怪であるが、一方で目を離させない引力を持つもの、となり、

最終的には、その魅力と言う要素が取り外され(ていないかもしれないが)、単純に、

気色の悪いもののことを指すようになったわけです。


比べてみると、渋みや苦味というのは、味覚の中では割と敬遠されがちなものでありますが、

しかし、これに対して捨てがたい魅力を感じる事もありますよね。これが転じ、単に不快だ、

気味が悪いという意味となり、最終的には大勢の人間が不快感を感じる、

一般的な意味で言う、グロという意味を示すようにもなった、という訳で、ねえ、似ているでしょう?


まあ、グロというのがどれだけ長く人の歴史の中で禁忌とされてきたかって証明かもしれんが。



しかしこのエグいという単語、実は相当昔から存在しているようです。

調べてみたところ、なんと平安時代、まだ年号が4桁に乗る前から使われていたそうな。

その頃の意味は当然原初の、苦いとか渋いとか、灰汁の味って意味合いだったそうなんですが、

しかし、冷酷だとか残虐だとか言う意味合いの歴史も意外と古く、江戸時代にはあったそうな。

にも関わらず、語源は不明なんですね。


しかし、調べていくうちにどうやら……ということで推測が立ちました。拙いながらも展開してみたいと思います。


このえぐいという言葉、そもそも、関西で使われていた言葉のようです。

全国に流布したのは、1981年に放映された中原理恵主演のCMのせいだとか。


そして、その関西圏で使われていたエグいという言葉のエグというのは、

七草のうちのセリの別名、すなわち、エグから来ているみたいです。

セリというのは御存知のとおり、灰汁の強い植物で、渋みや苦味を抜いた方が美味しく食べられる訳です。

生のセリの味=生のエグの味=渋みや苦味=えぐい味、ということですね。


この方程式が経ったのは、しかもかなり古い時代と推測されます。

というのは、平安時代から、たけのこを食ったらエグかった、と用いられているからです。

たけのこも山菜なので、アク抜きをしないと、渋みや苦味があって、中々食べるのは辛かったりします。


恐らくこれ以前に、セリをアク抜きせずに食って吹いた勇者がいたんでしょう、

そこから恐らく、上記の方程式が成立し、アク抜きしないと食べられないような物体に対して、

エグいといい始めたのではないかと考えられます。


平安時代の文化の中心は京都なので、即ち関西の言葉として脈々と受け継がれてもおかしくないでしょう。


これが受け継がれていくうち、上方歌舞伎で「冷酷な」という意味で用いられ、

様々な意味に転嫁していった……と考えれば、どうです、なんとなくつじつまが合うと思いませんか?


まあ、妄想なんで、明日誰かに披露するなんて真似はやめてくださいませ。

俺は人が恥かくと非常に喜ぶ人間ですが、俺を喜ばせても仕方ないでしょうし。



なお、平安時代くらいの頃から七草の風習は存在するそうだが、

その頃の七草には、セリの名前は無かったんだそうな。

こりゃアレですかねえ、食い物扱いされてなかったということかもしれませんねえ。

エグいという言葉を新造しなければいけない程、衝撃的な味の草だったということかと。