プラモ狂四郎という漫画がかつて、これも既にその存在が過去形となってしまった雑誌、
コミックボンボンに連載されていた事があります。
まあ、こういう風に味気なく言ってしまうと、マイナーな漫画だと勘違いしてしまう、
そんな貴兄もいらっしゃると思いますので、注釈をしておきますと、集英社における
ドラゴンボールとはいかないまでも、それに次ぐヒット作品群のどれかに相当する、
講談社が生み出した大ヒット漫画の一つ、それがこのプラモ狂四郎です。
コミックボンボンという雑誌が、創刊からたった一年で売り上げ数を3倍に伸ばした陰には、
間違いなく、この漫画の多大な影響があったのですよ。
コミックボンボンという雑誌の黄金期は、人によって、
OHMYコンブ等が連載されていた頃や、NOA、メダロット、サイボーグクロちゃん、
おきらく忍伝ハンゾーやロックマンXの頃など、異なるとは思いますが、
第一次黄金期は、間違いなくこのプラモ狂四郎を中心としていたことは間違いないでしょう。
その内容ですが、自身が作成したプラモデルに搭乗し、操り、戦わせることができるという、
ロボットアニメやプラモデルが好きな連中ならば、誰もが夢見るシミュレーションバトル、
それを使って行われる、個性豊かなモデラー同士の熱い戦い。
狂四郎がその中に身を投じ、最高のモデラーとなるまでを描いた作品です。
この漫画、もちろん最強のモデラーはプラモ狂四郎こと京田四郎君なのですが、
ずっと最強、主人公補正で勝率100%だった訳ではなく、結構敗北をしております。
例えば、第2巻の1話では、タイガー戦車のプラモデルを操るスケールモデラー
(ガンダムやマクロスといった、アニメのプラモデルではなく、戦車や戦闘機など、現実に存在した、
兵器のプラモデルを好んで組むモデラーのことを指す)景山君に、ほぼ敗北同然の引き分けをしていますし、
同じく、2巻のラストでは、ドイツ軍部隊を指揮したスケールモデラー、蔵井に敗れていますし、
4巻の1話では、罠に嵌められはしましたが、ジオン少年隊の操るパーフェクトザクに敗北を喫しています。
この後もちらほら、黒星を受けているんですね。
とはいえ、四郎が未熟な時代は、腕のあるもデラーに不覚を取ることも多かったのですが、
ある程度腕が上がってきた段階では、罠にはめられない限りは負けなかった事を考えると、
主人公補正がかかっていると言えなくもないです。
しかし、そんな補正モードに入りつつあった狂四郎に唯一、正攻法で土をつけたモデラーがいるんですよ。
それが、山根。初期にライバルとして登場し、最終シリーズまで顔を出し続けたキャラの一人です。
実はこの山根、個人的に、この漫画中最高のモデラーの一人ではないかと思っているんですよね。
というのも、四郎は確かに様々で独創的なオリジナルモデルを生み出しました。
パーフェクトガンダム、ヘビーガンダム、コンバットビーグル、レッドウォーリア、それに武者ガンダムですか。
それが必ずしも実践的であったかというと、実はそうではなかったんですよね。
パーフェクトガンダムは、作中でもその実戦的でない部分を欠陥として指摘され、
より進化したヘビーガンダムを生み出す切っ掛けとなっていますし、コンバットビーグルに関しても、
ミサイルの配置に欠陥があったりと……まあ、そういう部分が見受けられました。
狂四郎は、割と外見を優先させる傾向があったんですね。
逆に、山根というモデラーは、最初から一貫して実戦的なプラモデルを生み出してきました。
シミュレーションバトルにおいて、威力を増すために生み出した、糸ハンダで作ったヒートロッド、
ジャンプ力を増すため脚部にスプリングを入れたデザートガンナー、そして、狂四郎を破ったパーフェクトグフ。
↑これがパーフェクトグフだッ!
姿形は、ただの144/1グフでありながら、糸ハンダを更に強化させた、ワイヤーロープのヒートロッド、
左腕のマシンガンは火炎放射器、と威力が増幅された武装、上記画像のように、
考えうる限り追求されつくした可動範囲、それが生み出す機動力、足に入れたスプリングによるジャンプ力、
全ての改造が実践的、プラモシミュレーションのために作ったプラモを生み出した訳ですよ、この男。
狂四郎が、このシミュレーションで使うためのプラモデル作りという発想を得たのは、
ストリームベース(実在の、当時著名だったモデラー集団)の特訓を受けて後、という事を考えると、
全く独自に、この境地にたどり着いた山根というモデラーの凄さが証明されるかと。
まして、彼が破ったのは、そのストリームベースが設計した実践的改造ガンダムである、
フルアーマーガンダム(ガンダム増加ウェポンシステムという)なのだから恐ろしい。
長々語ってきた訳ですけれど、この漫画中最高のモデラーは狂四郎と山根だと思うんですよ。
大人になってみると分かる、この地味な凄さ。何気に、特別編の相棒をこなしていたり、
上記の通り、最終シリーズにも登場、最終シリーズの相手だった暴走CPUが擬似パイロットとして、
山根を採用した辺りから見て、現実的に、狂四郎に対抗しうるモデラーという実力派のキャラ、
という位置づけは間違ってないと思うんですが、どうでしょうかねえ。
