「…あれ? おかしいな…。何で…?」
あたり一面砂漠。そこで一人で立つ女性の周りには怪しい薬がたくさん転がっていた。そして、男性の
死体。
「私が望んだ世界は…、こんなんじゃない。これが私の…、本当の…?」
泣きながら笑っている。この状態が10分も続いた。
和室。そこには小さな牢獄があった。中には血まみれの死体が2つほどある。そして、それを座りながら
見つめる女性。
「…、何で…?」
涙を流しながら上を向く。
「!?」
見上げた瞬間。ナイフを持った女性の姿が見えた。あわてて逃げようとするがすでに遅かった。
「やめっ…」
グシャァッ‼ ナイフが急所に刺さった。そこには新たな血が流れる。
「み、や…ま……君。たす…」
言葉を言う終わる前に、女性は意識をなくした。和室には、それを笑いながら見つめるもう一人の女性
の姿があった。
日本でたった一つ。他の県とは違ったシステムを取り入れている県があった。そこは「市」ではなく「地
区」というものを8つに分けていたそれらの地区はA~Hまでの大文字で明記されていた。
そして、A地区にあるとある学校。そこには一人ぼっちの中学2年生がいた。
彼はいつも一人で家に閉じこもり、「ネットゲーム」をしていた。彼には将来も何もない。
学校ではいつも携帯でゲームをしていた。そして、下校の時を待つ。
今日も、ホームルームの途中にも関わらず下を向いて携帯ゲームをしていた。
「最近、地区の住民が行方不明になる事件が多発しているから気をつけるように。では、ホームルーム
はこれで終わり。気をつけて帰るように」
教卓に上に手をのせて、前かがみで喋っていた教師が教室から出て行った。その瞬間から教室の雰
囲気がガラリと変わる。
「今はお前の家に集合な。途中まで一緒に帰ろうぜ」
彼らが背を向けた瞬間、睨みつけながら立ち上がる。
(あんな奴ら。ぼくは大嫌いだ)
彼らのようなものを見るとこう思ってしまう。『宮間 大機(みやまだいき)』。彼はいつもどおりに一人で下
校した。
家に帰ると、彼は自分の部屋にすぐに向かい、バッグを勉強机に置いた。そして勉強机の隣に置かれ
ているデスクトップの電源を入れてベットに転がった。
「…、そろそろいいかな?」
5分。その間ずっとベットに転がっていた。立ち上がると椅子をデスクトップの前に置いて座った。
カタカタ…、パチン。インターネットでとあるサイトを検索しログインした。
それはネットゲーム。彼はそのゲームに莫大なお金を入れている。
(……、僕にはこれしかないんだ。…ん?)
メニュー画面に表示されているメッセージが点滅していた。クリックするとそこには知らないアドレスが明
記されていた。
(…、迷惑設定を…)
しようとしたが、どんな内容かが気になったため文章を読んだ。
「『リアル。こう言えば、あなたもゲーム参加者』…? …、面白そうだし言ってみようかな」
立ち上がると部屋の中央まで移動して、呟くようにして
「リアル」
呟いたはいいが、この後何も起きない。いや、起きるわけがない。
(…、期待した僕が馬鹿だったな)
少し照れながら再び椅子に座り、ゲームの世界へと戻って行った。
翌朝。机の上に置いていた携帯を持って画面を見ると見たことのない項目ができていた。
「『マップ』…? 何だこれ?」
開いてみると、自分の住むA地区の全体マップが表示された。ボタン操作で、拡大、縮小もできる。
「な、何これ…? あれ、これも見たことないな…」
マップの下に『エターナル』という項目がある。早速開いてみると『パワーアップ』という文字の下に半角
英数字がたくさん表示されている。
「……まあいいか」
とりあえず携帯をポケットに入れて1階のキッチンへ向かった。
レトルト食品を手順の通りに調理し終わり、それをテーブルに運んだ。椅子に座ってテレビをつける。
(またこのニュース…)
ニュースの内容。それは1ヶ月前から頻繁におきている『連続強盗事件』。他人の携帯を盗んで逃亡す
るそうだ。
(携帯なんか盗んでどうするんだろう…? どっちにしろ、俺には関係ないよね)
レトルト食品をスプーンですくい、口に入れた。
登校中。携帯に表示されているマップを見ながら、
(しかし、このマップ…、すごい正確だな…まるで上空からこの地区を見ているみたいだ…、…あれ?)
気になったところを拡大してよく見る。人が動いているのが見えるのだ。
(ま、まさかリアルタイムで…?)
自分の現在地を表示させ拡大させる。マップをよく見てから周囲を見る。全く同じ光景がマップからでも
見える。
(な、何で…、もしかして、昨日の…? だとすると、ゲームが…? まさかな)
携帯を閉じてバッグにしまう。ため息をついて再び足を動かし始めた。
教室。授業中はいつもノートに落書きをしていた。
(マップ、エターナル…、何なんだろう?)
しばらく考え込んでいると、北の方向から視線を感じた。睨みつけるようにしてみると、自分の前の席に
座っている女がこちらを顔を傾けニッコリと笑ってきた。
(なっ…っ!?)
相手が前を向いた後もしばらく見ていると彼女は筆箱から四角いキューブを取り出して遊び始めた。他
の生徒が問題を解いている途中。担任の教師は見て回っていた。そしてタイミング良くそれを見て、
「瓜島(うりしま)…、お前問題はどうしたんだ?」
あきれた顔で言う教師に対して彼女は、
「問題が解き終わったので頭の体操をしているんです。前に先生が頭の体操になるものは持ってきても
いいと言っていたので」
キューブをガチャガチャと色があうようにやりながら答える。教師はため息をついて見周りを再開した。
(瓜島 マイカ。成績が優秀で、学校中の憧れの的。…、この差は何なんだろう。今の自分が残念に思
えてくる…)
自分のノートを見てため息をついた。
放課後。一人下駄箱へ向かっている大機。しかし、
(…誰かに後をつけられている気がする。…、マップを見ればわかるかも?)
携帯を開いて自分の現在位置を表示させた。少し操作すれば建物の中まで見れることに大機は驚い
ていた。
(中まで見れるのか。一体どうすれば中まで見れるんだかね)
自分から後ろの方向が見えるようにマップを表示させると、やはりつけられていた。しかし、
(うっ、瓜島 マイカッ!? じょっ、冗談だろォっ‼)
心の中で叫ぶと走って下駄箱まで向かった。
靴をはいて、外に出た彼は急いで自宅へ向かった。
(な、何で今日はこんなに…ッ。最悪だぁ…)
少し涙を流しながらも大機は走っている。マップを先程から見ているが、まだつけられている。後ろを振
り返れば、隠れもせずに一直線に走ってくる瓜島 マイカの姿が見えた。
(つ、ついたっ‼ 速く入ろう…‼)
自宅の敷地内に入り、急いでドアを開けて入る。
ガチャリッ
(鍵は閉めたし…、これで安心だよな…?)
ピンポーン。インターホンの音がした。そして、
「宮間君ーっ。ちょっと話したいことがあるんだけど?」
出たら殺される。誰もが普通ならこう思うだろうが、
(は、話すだけなら…)
鍵を開けてドアを開けた。前には瓜島 マイカが後ろに手を組んで立っていた。
「こんにちは。さっきはごめんなさい。でも急いで伝えないとあなたが危ないから…」
「お、俺が危ない…? ど、どうしてさ…?」
マイカはポケットから携帯を取り出して大機に見せた。
「こ、これ…」
自分の携帯にあるマップと同じものがそこには表示されていた。
「やっぱりそうなのね。やっぱりあなたも参加者なのね」
「さ、参加者…? い、一体何の…?」
「今は説明している暇はないの。今すぐ逃げたほうがいい状況だから」
携帯をこちらに見せながら操作をする。画面に表示されるマップが西側にずれて拡大した。
「こ、これがどうしたのさ…?」
「ここを見て」
彼女が指をさしたのは近くに植えてある木。そこにはニット帽を深くかぶり、マスクをしてナイフを持つ不
審者と思われる男性の姿があった。
「こいつもマップ所有者。エネミー2よ」
「え、エネミー…?」
「とにかく狙われてるから逃げるのよ」
携帯をしまうと、大機の右手を握った。
(えっ…)
そして、
自宅の敷地内から猛スピードで飛び出して今は使われなくなったビルがある東の方向へ向かった。
「今は使われていないビルの屋上に逃げるわよ。あそこなら多少時間を稼げるはずだから」
「じ、時間は稼げてもどうせ死ぬんだろぉっ‼?」
走りながら泣く大機。マイカは後ろを見て微笑んだ。
「大丈夫よ。あいつは私が『殺す』から」
「こ、殺すって…、それじゃあやってることは一緒じゃないかッ‼」
「これはゲームよ。生き残るのは2人まで。このままじゃ最初の脱落者は私たちよ」
再び前を見るとスピードを上げて走る。
(さ、さっきから何を言ってるんだ…? ゲームとか、エネミーとか…、やっぱり昨日のあれが駄目だった
のかな…)
おそらくこの事態を招いてしまった原因は大機地震にある。機能のあのメッセージ。あれを開いてなけ
れればこんなことにはならなかった。涙がたまっている両目を左手でこすりながら思っていた。
「そろそろつくわ。エレベーターに乗って屋上まで行くわよ」
突然の出来事に宮間 大機はついていけてなかった。体も、心も。
屋上。そこは広々として風が気持ちいい場所だった。しかし、今はその風にあたっている暇はない。二
人の死のカウントダウンはすでに始まっていた。
「こ、こんなところに来てどうするんだよッ!? 今日初めて喋った人と共倒れなんて俺はゴメッ」
「そうね。でも、まだ死ぬときまったわけではないわ。…あなたの持つ『エターナル』。それなら簡単にエ
ネミー3をゲームオーバーにできる」
大機は携帯をポケットから取り出して、エターナルを表示させる。
「…、『パワーアップ』…」
「これを使って」
マイカが屋上の入り口に立っている大機に近づいてあるものを手渡しする。
「弾…?」
それから少し時間がたって。例の不審者が屋上に来た。周りを見渡して2人を探し始める。
(チャンスは…一度! マイカが合図を出したら…、これを相手に投げつける…)
大機はもう一度、マイカが先程言っていた言葉を思い出す。
「マップが保存されてる携帯を壊せばいい。もちろん、急所を狙ってもいいわ」
柵の向こう側に隠れながらマイカの合図を待つ。そして、
ガンッ‼ 力強い音がなった。それと同時に大機は立ち上がり、弾を投げた。すると、
ビュンッ‼ 手で投げたとは思えないほどの力と速さを持った弾はそのまま相手の頭を直撃した。
「あ…」
大機はエネミー2をただ見ていた。相手は頭に手を当てようとするがその前に倒れてしまった。マイカも柵を乗り越えエネミー2を見る。
「…、そろそろかな」
マイカが死体を見ながら言った。すると、
グルンッ、この音がなると同時にエネミー3は流れた血と一緒に一瞬にして消えてしまった。
「こんだけ?」
何かに期待していたマイカは背伸びをする。大機は何が起こったのか全く分からずにいた。とりあえず、
柵を乗り越えエネミー2が立っていた場所まで移動した。
「ほ、本当に跡形もなく消えた…。こ、こんなことって…」
「これがこのサバイバルゲームなの」
微笑みながら言った。大機は冷や汗をかきながらマイカを見た。
「サバイバル…、ゲーム…?」
「そう。2人だけが生き残れるサバイバルゲーム。私たち以外のエネミーを『殺して』勝者になろう?」
「何で…、簡単に『殺す』とか言えるのさ…?」
大機は脅えていた。これからの事にも、『瓜島 マイカ』にも。
その日の夜。大機はベットに寝転びながら改めて『マップ』と『エターナル』を確認する。
「…、サバイバルゲーム。生き残りをかけた…、お互いを殺しあう…」
ため息をついて起き上った時。
ピピッ。携帯にメールが入った。確認すると、アドレスは先日の妙なメッセージのものと一緒だった。
「…、『本日、このサバイバルゲームについて改めてルール説明をさせていただくべく、説明の場を作ら
せていただきました。場所は『空間24 大聖堂』。お待ちしております』…? 一体どうしろ…、」
言葉が途切れた。次に瞬きした時には全く違う風景に変わっていた。周りを見渡すと、中央の謎の物体
を囲うようにそれぞれの足場が作られていた。
「ほう、君がエネミー1か」
声が聞こえたほうを振り向くと、シルエットに包まれた人がいた。おそらく成人男性だ。
「エネミー1。丁度、お前の話をしていたところだ」
中央の謎の物体から声が聞こえる。大機は声がです、ただ驚きながら周りを見ることしかできなかっ
た。
「それでは、全員揃ったところで話をしよう。自己紹介が遅れたな。ゲーム支配人の『リアル』だ。それ
では、早速ルールの説明といこうか」
一度言葉をきり、説明を始めた。
「このゲームは2人だけが生き残れる『サバイバルゲーム』だ。ルールは特にない。互いの持つマップと
エターナルをうまく使い、相手を殺せ。質問等が有るやつは…、む! ではエネミー10(エネミーテン)」
大機が周りを見ると、一人手をあげている人物がいた。
「マップについてなのだが、これは何の意味がある?」
「このマップは、リアルタイムで自分の住む地区を見ることができる。なお、エネミーが地区に侵入した
場合、左下に赤い点が表示される」
「相手の地区に侵入すると、その地区に住むエネミーに監視されることになるのか」
「うまくやらなければならないな」
他の参加者が言う。
「マップの説明をしたならば、『エターナル』についても説明しよう。エターナルはそれぞれ違った力を持つ。参加者10人にあわせ、10個のエターナルを作りそれをランダムに送った」
「マップとエターナルをうまく使って、勝利すると。でも、殺されたらどうするんだよ?」
大機がリアルに聞いた。リアルはこの県の全体地図を出した。
「これを見ろ。エネミー3の住んでいた地区Bがなくなっているだろう?」
遠くから見ても分かるぐらい、そこだけえぐられてしまったかのようになっている。
「殺された場合は、エネミーと持っているマップの地区をこのゲームがないこの世界と全く同じ環境の別
次元へと移動させる。そして、…、来たようだな」
マップが光り出したと思ったら、えぐられてなくなっていた地区Bがそこにはあった。
「入れ替えた次元のものをこちらへ移動させる。説明は以上なる」
大機は何が起こったかさっぱりだった。頭の中がゴチャゴチャしているようで気持ちが悪かった。
「では、最後まで生き残った2名は、願いをなんでも叶えてやろう! 死ぬか、生きるか、どちらかの道は
必ず通るであろう。 では、お開きだ」
次に瞬きした時には、自室にいた。周りを見渡して、時刻を確認する。時間は10分ほどすぎていた。
(…、感覚的には5分。一体…?)
その晩、大機は寝れずにずっと携帯を見ていた。
(マップ。自分の命のようなもの…・破壊されれば地区ごと別次元へ飛ばされる。…、明日からどうすれ
ばいいんだよぉ…)
自室のベットに寝転びながら涙を流していた。大機は不安でしょうがなかった。
あとがき
皆様、大変長らくお待たせいたしました。いよいよ、
「エネミー」の第1話の公開です! 「Custom Computer」の終了からとても長い時間があいてしまいま
した。中には「疾走乙」とか思っていた方もいたのではないでしょうか? するとでも思ったの?
で、ストーリとか展開がどっかのアニメに似ているとか突っ込まない方針でお願いします。これを作成し
ていた時は影響されまくってたんですよ(笑)
それで、次の更新なのですが未定です。次いつ更新できるかは分かりませんが気長に待ってもらえるとうれしいです。
では、また次回お会いしましょう。