ノーコン克服の手助けに、父一徹から贈られた
大リーグボール養成ギプス右投用
しかし最初からこれに悪戦苦闘する飛雄馬
とにかくまともに歩く事も立つ事も難しいほど
モーレツな負荷が飛雄馬の足腰を襲う
そんな中、僚友の楠木捕手が年末近いのに
いまだ契約更改してないと聞かされた飛雄馬の胸に
一抹の不安がよぎった
「楠木君、まあいろいろ君の希望も考慮して
ほんの気持ちだが、アップしておいたよ」
「はあ、ありがとうございます」
しかし・・・・・
『アップってこんだけ!?
これじゃあただのバイト代じゃん、、、、』
「まあ不満もあるとは思うが、我々も精一杯
譲歩したつもりだよ?
ほとんどブルペン捕手の君にはこれが
限界なんだよ・・・」
『ほとんどブルペン捕手か・・・
まあ戦力外にならなかっただけふありがたいが
これじゃあ実家で農業した方が収入あるぞ。。。』
長嶋監督自ら楠木を説得しだすw
「というわけでですね、若手投手の育成には
君のようなですね、いわゆるひとつの
存在が必要なんですよ、ええっ」
「特にですね、星ですよええっ!
今シーズンはノーコンでも通用しましたが
ネクストイヤーはノーグッドでしょうね、ええ
そこで君には星のいわゆるひとつの面倒を
見てもらいたいんですよ、ハイ」
「ほ・・・星の面倒?」
「昔は、同じ高校の名前忘れましたけどね
星の相手役のキャッチャーがね、いたんです
中日に放出しましたけどね・・・・ええ
その代わりをしてもらいたい」
「あ・・・・伴の事ですか・・・・
一軍でほとんど出場なかった・・・・・
で、来季俺には出番あるんですか?」
「星はですね、あの剛速球ですか?
あれが我が巨人軍には必要ですがノーコンという
制球難がですね・・・・・ズバーンがスコーンなんですよ」
『全然俺の話聞いてないし、、、』
「あの、監督・・・・大変言いにくいんですが
俺って戦力なんですかね?」
「・・・・・・頼むっ、このとーりですっ」
頭を下げる長嶋監督
ミスターと呼ばれた男に頭を下げられては
もはや拒否する事はできない楠木であった
『親父・・・・俺やっぱ野球辞めた方がいいのかな・・・
なんか長嶋監督星の事しかしゃべってなかった
気が、、、、』
「星・・・・あいつの頭の中には野球しかないのかな・・・
まあキャバレーのおねーちゃんやクソ高い外車や
ラジコンなんかにうつつ抜かすやつよりはマシだが・・・・」
『あんなに野球に必死になれるバカもなんかカワイイな・・・
それにあいつが大成したら、育てたの俺だと
自慢できるかも・・・・』
「よーし、こうなりゃやってみるか!
親父、家業の跡継ぎはお預けになりそうだ」
しかし緩い球すらストライクゾーンどころか
とんでもない暴投になる、、、、
「くっ・・・くそぅ、他のやつにバレないように
投げるどころか、これじゃあ逆に目立つぞ、、、、」
「ハアハア・・・100球投げてやっとシートには
当たるようになったぜ(苦笑)」
「チッ、真ん中に行ったのはマグレかよ、、、
あと何百球投げればいいんだっ」
ありがたいんだけどありがた迷惑とも思う飛雄馬
「おいおい、緩い球なのに暴投って
前よりノーコンになってねーか?」
「す・・・すいません
(だってこんなギプス付けて投げてるし、、、)」
楠木にギプスの事がバレないように投げれば
投げるほど全くミットに球が行かない、、、、
「い・・・いえ、そんな事は、、、、、」
やっぱりありがた迷惑に思えて来た
飛雄馬だった
「お前あんだけ足腰鍛える特訓してたのに
なんで前より悪くなってんだよ、、、、
逆に足腰悪くしてるんじゃないのか?」
「お前いい加減にしろよっ
せっかく特訓に付き合ってやってんのに
やる気ねーのかよ」
ついに楠木がキレて飛雄馬に詰め寄る
「やる気ねーんなら俺はもう帰るぜっ
お前を見損なったよ」
「・・・・・すんません」
「事情は言えませんが、俺も本気でやってるんです
今は何も言わず付き合ってください、、、」
「?
おい、今なんか変な音しなかったか・・・・
お前の膝のあたり・・・・」
「き・・・気のせいですよ・・・・
俺には聞こえませんでしたよ」
「あっ、何するんです楠木さんっ
いやらしい事はやめてくださいっ」
「うるさいっ
ちょっとお前ズボン脱いでみろっ」
「一歩も動けんぞこれ、、、、、
お前こんなの付けて投げてたのか」
「お・・・俺には無理だわ、、、、
なんなんだよこれは・・・・こんなの
売ってるのか?」
「親父の手製ですよ・・・
なんか原始的すぎて恥ずかしくて
隠してました、、、」
「お・・・親父さんってあの中日でコーチしてた
怖いおっさんか!?
オズマとか伴育てた・・・なんかスゲーじゃん」
「ええ・・・まあ
楠木さん、この事は他の人には内緒にしてください」
「なんで?
恥ずかしがる事ないじゃん」
「まあどうしてもって言うなら黙ってるけど
こんなの付けてキャンプとかやったら長嶋監督や
コーチが発狂するぜ
戦力外通告されるかもしれん、、、」
「戦力外・・・・・そういえば楠木さん
契約更改がまだだとか・・・・」
「明日にでも球団事務所行ってサインするよ!
惚れ直したぜ星っ」
「楠木さん・・・・」
「長嶋監督からお前の教育係やれと言われた時は
正直ふざけんなとも思ったが気が変わった」
「これから俺とお前は一蓮托生だ!
地獄の底まで付き合ってやるよ」
「楠木さんっ
ありがとうございますっ」
第44話「始動!宿命の星・花形」