1975年(昭和50年)、この年から始動した
長嶋巨人はリーグ最下位にあえいでいた
そんな頃、都内の草野球チームに1打席
3万円で代打成功率10割の代打屋が暗躍
その噂を聞いた元中日コーチの星一徹は
もしやその正体は行方をくらました息子
飛雄馬ではないかと勘繰り始める
ここまで代打失敗はなし
成功率10割の代打屋はイヤでも噂になった
1日3万円のバイトは、ヘタなサラリーマンより
高給取りである(笑)
だがこの代打屋の本名は誰も知らない
中には専属で契約したいというチームもあったが
それも断り、いずこへと姿を消した
しかし時には代打屋を断られるケースもあった
「うちは純粋に野球楽しんでるんだよ
勝ち負けはどうでもいいんだ」
「そうか・・・まあそれはそれでいい
って言うかあなたの言ってる事が正しいよね」
また、あまりに噂が広がり過ぎて
相手に警戒される事も・・・・
「監督、あいつですよ例の代打屋
金払って助っ人なんて草野球じゃないですよ・・・
チート過ぎるって、相手に抗議しましょうか」
「うむ・・・いや、それより代打屋なんて無駄だって事を
相手に思い知らせてやろう」
「くそっ、敬遠かよ、、、打席に立った以上
失敗する以外は3万円払う約束だからな。。。。
これじゃあ大損だ」
思いっきりスライディングで相手野手の股間を
蹴り上げる(笑)
しかし草野球でこんなラフプレイしたら
乱闘になって、草野球から出禁くらいそうだが・・・
ちなみにもう亡くなったが俺のおじさんのひとりは
社会人野球でキャッチャーやってたが
こういうスライディングされて両足のアキレス腱切断
野球辞めざるを得なくなってたなあ、、、
「約束通り逆転したぜ
3万円ちょーだい」
「あ・・・・ああ」
しかしさすがに相手チームも審判に抗議
「あんなの野球じゃないっ、反則だ」
「あんたタイカップって選手知ってるか?」
「タイカップ?
メジャーリーガーのタイカップか?」
「その殺人的スライディングはしばしばチームを
勝利に導いた
彼は野球に対して、勝つ事に対してそこまで真剣だった」
「そーだそーだ、タイカップだよー--っ」
「別に殺人スライディングは反則じゃねーし」
抗議した相手監督に野次が飛ぶ
「あ・・・・あのなあキミ・・・これはプロ野球じゃなく
草野球だよ?
遊びでやってるのにあんなメチャクチャなプレーされたら
怖くて野球なんかできないよ」
「悪いが俺の野球は常にガチだ
草野球とはいえ、一生懸命真剣に
命がけでやるのが信念なんだ
それに金貰ってやってるからな」
「専務、ご依頼通り例の代打屋を調査
してまいりました」
「うん、無理言ってすまなかったね」
「あれっ?
お義父さんも来ていたんだな・・・・
あの人の勘も相変わらずだ」
「なんならその方も調べましょうか?」
「いや、その必要はないよ
代打屋の調査も終わっていい」
「知りたい事は全てわかったからね」
言うまでもないがこの男は元阪神タイガースの
花形満だ
今は現役を退いて花形モータースの専務をしている
「間違いない・・・・飛雄馬君だ
しかし草野球の代打屋やってるなんて・・・・
生活が苦しいのかな?」
「かつての最大のライバルがこんなに
落ちぶれるのは悲しいもんだ・・・・」
「しかも今は義理の弟だからな・・・・
こんなになってる事は、妻の明子には秘密だな」
『飛雄馬よ・・・・代打屋なんてヤクザな仕事を
しおって・・・金に困ってるなら土方が一番だ
それとも何か他に考えでもあるのか?』
『さすがのわしでもきゃつの考え方がわからんっ
まさか一生代打屋で生活というわけにもいくまい・・・』
「あ・・・明子」
ちなみに和服は花形というより、梶原一騎センセイの
趣味らしいw
「何ゆえにわしを捜す?
同居の話は断ったはずじゃ」
「今日はその話じゃないわ・・・・飛雄馬の事よ」
「ああ・・・まあどこかで生きておるんじゃろう
全くしょうがないやつだな・・・」
「お父さん、私あなたの娘よ
何か知ってるのね、飛雄馬の事」
『ギクッ』
「な・・・何を言うのだ明子
わしは年金でしがなく生きてるクソジジイだぞ
毎日朝起きて飯食って散歩して銭湯に行く事だけが
楽しみの・・・・」
「ウソね
その顔は何かを知ってるわ」
「最近ね・・・花形もなんだかおかしいの
きっと飛雄馬の事調べてるんだわ
私にはわかるの」
「・・・・妙なとこだけわしに似とるな
して、飛雄馬の事は何かわかったのか」
「飛雄馬の事に関しては私はいつも除け者
私昔みたいな世間知らずじゃないわ
泣いたりわめいたりしないから飛雄馬の事
知ってるなら教えてちょーだい」
『長嶋巨人、ここまで1点リードしていましたが
この回ついに追いつかれてしまいました、、、』
『やはりリリーフが新浦の使い回しですからな』
『新浦、相変わらず四球でランナーをためて
迎えるバッターは・・・・』
「うむ、左門のやつ結婚してからは
更に家族のために必死にやってるな・・・・」
「家族・・・・・・」
『左門打ったーーーーーーっ
長嶋巨人を地獄に叩き落す
スリーラーーーーーン』
「ちっ、新浦じゃダメなんだよ、、、、、
また負けかよ、チクショーめ」
「・・・・・・・」
『得点は7-4、終盤のこの点差はもはや致命的
どこまで続くぬかるみぞっ
あっ長嶋監督出てきました、どうやら新浦交代のようです』
「打たれてから代えても遅いわ・・・」
「あっ、例の代打屋だ」
「あいつ歩かせてもとんでもないラフプレイする
らしいな・・・あいつ使うならもう二度と試合しないと
抗議でもしてやろうか」
「ふふっ、抗議なぞせんでもあの代打屋を打ち取る
秘策をお教えしますぞ」
「なっ・・・なんだって、マジっスか!?」
「あの代打屋に関してはちと詳しいもんでしてな
あんなヤクザと違って、わしの攻略法は無料ですが
どうしますかな?」