「わしはどうしても星君の大リーグボール3号を
打ちたかっ」そう熱望する左門
緩いスイングでしか当たらない大リーグボール3号を
打つには、かつて花形が1号を打ち砕いた
鉄球と鉄バットの特訓しかない
自分の築いた城と妹弟たちの生活を破壊覚悟で
その特訓に挑んだ左門だったが
今度は別当監督に特訓を禁止されてしまう
しかしその中から左門はスピン打法を編み出し飛雄馬に挑戦
だが健闘も虚しく、大リーグボール3号の前に敗れ去った
今回は巨人の星栄光の星編第177話
「正捕手への道吉原物語」の解説です
残り6話にして、最後の名選手列伝となりますw
そこには吉原正喜(まさよし)の名前が
それは巨人軍創成期の正捕手だ
ちなみにガルべスの肘うちのとばっちりを受けて
流血したこの人とは別人
今や旅館住まいの一徹コーチ
『吉原正喜か・・・・懐かしい名前だ』
「こんな夢を見るようになるとは
わしもいよいよ本格的に老いぼれたかな・・・」
「そうか、夕べ寝る前に柄にもなく昔のアルバムなぞ
見ておったからか・・・・」
アルバムにタイトル付けるのは当時流行っていたらしいw
「うへへへへ、言われていた事とはいえ
スタメン発表にわしの名前が・・・・」
伴、これは勿論プロ入り初のスタメンだ
「コラ伴っ、何をにやけておるっ
さっさと守備につかんかバカモノっっっっ」
「このスタメンは、わしが水原監督に直訴して決まったのだ
無様な結果でわしの顔をつぶすなよ」
「わ・・・わかっとりますわいっ
スタメンマスクである以上、全力を尽くすのみっ」
「おやっ、中日のスタメン捕手は木俣ではなく伴ですねえ」
「まあ代打で結果を出しとりますからな
そろそろスタメンで起用してもおかしくはないですよ」
「いやぁ、それにしても必要以上のハリキリぶりの伴
かつての巨人の正捕手、吉原を思い出しますなあ」
「いいぞー星ぃぃぃぃ・・・・野」
まあ星野さんの方が年上なんだけどね
『見ちょれよー星ぃ
お前が大リーグボール3号で大ブレイクするなら
わしは和製ベーブルースとして、バットでも守備でも
天下を取っちゃるっっっっ』
「ふほほほ、なかなかやるじゃないか伴
本当に昔の吉原を見るようだわい」
「水原さん、実は昨日その吉原の夢を見ましたよ」
「ん?君、吉原と一緒にプレーした事あったっけ??」
「いえ、吉原と一緒だったのは、ビルマの戦線で
同じ連隊にいたときでした・・・・
吉原はインパール作戦で戦死しましたが、、、」
「そうか・・・吉原が巨人に入って来たのは
昭和13年の春だったな・・・」
「去年熊本工業で惜しくも準優勝に終わったバッテリーの
川上と吉原や」
「特に吉原は、捕手が手薄なうちのチームの正捕手好捕や
みんなよろしゅう鍛えてやってくれや」
「ところで吉原、お前の自慢できる長所ってなんや?
肩か、バッティングか??」
「長所っスか・・・・そうですねえ
まあしいて言えば足ですかね」
「そらおもろそうやな、ほなら
わが軍の俊足三羽ガラス、呉、平山、白石と
100m競争してもらおうか」
「それでひとりでもお前が抜けたらたいしたもんや」
「・・・・・・・・」
「よっしゃ、呉と平山と、白石!
この俊足捕手の相手したれや」
「はいっ」
「待ってください監督、我々は陸上の選手じゃなく
野球選手ですよ
100mで競争しても意味がありません
やるんならダイヤモンド1周競争でお願いしますよ」
「ふっ、小生意気な若僧やが理屈はおうとる
おもろいやっちゃな」
というわけで4人でダイヤモンド一周競争
一枠吉原正喜、二枠和製ギャグニイ白石敏男
三枠人間機関車呉昌征、四枠塀際の魔術師平山菊二
まあぶっちゃけダイヤモンド一周だと
内側の一枠吉原が絶対有利なのだが・・・・
「吉原くーん、凄い俊足じゃん!
少なくとも亀よりは全然早いよ~」
笑いものにされてしまう。。。。
「うん?
ええけど、何べんやっても勝てるとは思えんが・・・」
ところが吉原、まだ諦めない
「監督っ、3位じゃ納得いきませんっ
もう一度・・・・もう一度やらせてくださいっ」
「こ・・・・こいつ、ただの生意気な若僧と
ちがうぞ・・・・」
「くっ、しょうがない・・・・新人にああ言われて
断っちゃあ我々の面目が立たないぜ、、、」
「お・・・おいっ、どっちが勝ったんだ?」
「い・・・いや、それが・・・全然わからんっっっ」
『うむむむ、こいつは大物になるぞ・・・・』
ちなみに吉原、キャッチャーでは30盗塁以上を2回記録
これはいまだにプロ野球界では2人しかいない
もう一人は元大洋の荒川昇治という選手だ
「あれは伝説になったよ」
「ええ、私も聞いた事があります」
真実かどうかは不明
「とにかくあの根性は並みじゃなかったよ
伴がどこまで吉原に迫れるか・・・・」
しかし伴、思いっきりフェンスに激突
この時の球場のフェンスにラバーなど貼っておらず
だいたいはコンクリートの壁だった
「これは・・・吉原の再来だっっっっ」
ってかなんで中日の監督とコーチが
自チームの選手と、元巨人の選手をダブらせるんだ?
そんなもんっ」
後編に続く