宿敵花形のいる阪神にも勝利し、8連勝をあげた飛雄馬
しかし飛雄馬の表情に笑顔はなく、ヒーローインタビューも拒否
そんな中、飛雄馬と対戦した花形は、大リーグボール3号は
目に見えない白い血にまみれた血染めのボールだと語る
あれは破滅への魔球だと
そして飛雄馬は8連勝の中、日に日に激しくなる
腕の痛みに耐えていた
だが飛雄馬を心配した伴や、川上監督をも拒絶し
投げるのをやめようとはしなかった
最後のバッター衣笠を三振に打ち取り、ついに
9連勝を達成した直後に異変が・・・・
しかし「もう大丈夫です」と
そのままベンチに引き上げる飛雄馬
「星投手見事9連勝ですが、最後のあの仕草・・・・
ちょっと気になりますね、金田さん」
「・・・えっ、ええ・・・まあ星も連投続きなんで
疲れが出たんでしょう」
試合後、ヒロイン拒否の飛雄馬に代わって
川上監督がインタビューを受ける
「ええ、まあ星がよくやってくれましたな・・・」
なんか適当に答える川上監督
「え・・・ええ、まあ星も疲れてますが
本人が投げさせろと言うもんでね・・・・
もはや私にも彼の決意は止められませんよ・・・」
「なあ、最後川上監督妙な事言ってなかったか?」
「え・・・・そうか?」
「もはや星の決意がどうたらこうたら・・・・」
「・・・・・それの何かおかしいのか?」
「バーカ、だからお前は三流記者なんだよ!」
「さ・・・・三流ってなんだよー--っ」
マスコミのインタビューも完全にシャットアウトさせて
ロッカーに引き上げる飛雄馬
「星、アンダースローに転向してから調子ええだぎゃな
しかしよぉ、おめえにちょっと聞きたい事があるだぎゃ」
「おみぁさん、最近トレーナーに体見せないそうだぎゃ?
そりゃあよぉ、どういうわけかな思うて」
「そ・・・それはそのぉ・・・・
近所に安いトレーナー見つけて、あのぉ・・・・」
「ストレートに衰えが出たからよぉ、変化球ばっか
投げとったらこんなになってしまっただぎゃ、、、」
「もう一生腕は真っすぐ伸びんだぎゃ・・・・」
と言ってるが、引退したら伸びるようになったらしいw
「まさかおみゃあさん、その若さでわしの二の舞に
なりゃあせんじゃろな」
「まあ体だけは大事にしろや・・・・それだけ
言いたかったぎゃ」
『金田さん・・・・俺の左腕の事見抜いてる・・・・
し・・・・しかしっ』
『俺はもう後には引けなくなったんですっっっっ
ここまで来たらもう行きつくとこまで
行くしかないんです、、、、』
そしていよいよ伴との対決の日が近づいた
まあ伴というより、一徹親父との対決だが
その対決の前に、どこかへ向かう飛雄馬
たどり着いたのは病院だった
「コニャニャチハ、どうしたのだ?」
この医者、声が初代バカボンのパパだ(笑)
「あ・・・あのぉ・・・痛み止めを射って
もらいたいんです・・・・」
「まあそりゃいいけど、とにかく診察してみなければ
簡単に射つわけにはいかないのだ
危険があぶなーいのだ」
どこが痛いのかと尋ねられ
「は・・・はぁ、左腕がモーレツに、、、、、」
「うぐっっっっ」
ちょっと引っ張られただけで異様に痛がる飛雄馬
「そんなに痛むのか・・・・
これは普通ではないのだ・・・どれどれ」
レントゲンを撮ると言われて異様に拒否反応の飛雄馬
「い・・・いや、ただ痛み止めを射ってもらうだけで
いいんですっ」
「君はウルトラセ〇ンかね?
いや、今のはわかる人しかわからんだろうが・・・・
とにかくレントゲン撮らなければチュウシャは
禁止なのだ」
一方その頃、川崎球場では大洋中日戦が行われ
9回ランナー二塁で代打伴
「入りました逆転ツーランですっっっ
好調伴選手、さすが代打成功率6割の男です」
『さて今日のヒーローインタビューは、9回見事
逆転ツーランで中日を勝利に導いた伴選手ですっ』
『ありがとうございます
ホームランっちゅうのはいつ打っても気持ち
ええもんですな、ガハハハハ』
『さて、次はいよいよ巨人戦ですが
それに向けての意気込みをひとつ』
『まあ与えられた仕事をやるだけですわい』
『巨人戦と言えば、元親友の星投手との対決がありますが
花形、左門選手も打てなかった大リーグボール3号
伴選手は打てる自信はありますか?』
「元親友はやめてください・・・・
星は今でも親友です、誰がなんと言おうと・・・」
「大リーグボール3号は打ちますっ!
親友であればこそ、真のライバルとして本気で打ちに行く
事が礼儀だと思うちょりますっっ」
「伴・・・しかしその対決までに俺の腕がもつかどうか・・・
なんだか診察の結果は暗そうだし、俺も自信がない、、、」
「それで・・・・レントゲンの結果はどうでしたか・・・・
俺の腕・・・・治る見込みはあるんですか?」
「治るのだ!
治る可能性は大いにあるのだ
わしに任せておくのだ」
「可能性って・・・・じゃあ治らない可能性も
あるって事ですか!?」
「君はネガティブに考えすぎなーのだ!
とにかくわしが治ると言ったら治るのだ!!
治して見せるっ、それは保証するのだ」
「言いましたね!
治るというのは、元通り新品の腕になるって事ですよ!
もし嘘だったら先生を訴えますよ」
「一度砕けて粉々になったガラスのコップが・・・・・
元に戻るわけはなー---いのだ!
治ってもつぎはぎだらけなーのだ!!」
「こ・・・・粉々のガラスのコップ・・・・
つぎはぎだらけ・・・・・」
「い・・・いや今のは言い過ぎたのだ
まだヒビが入っただけなのだ
アロンアルファーでくっつければ水は飲めるのだ」
「お、レントゲン写真の用意ができたのだ
一緒に見るのだ」
「結構です・・・」
『今度こそ・・・・ガチの絶望ってやつか・・・
終わっちゃうのか・・・俺、、、、』
『そうだ、俺はたとえどぶの中でも死ぬときは
前のめりときめたんだ!』
『伴よっ、俺は最後まで投げ抜くぞっ
君との勝負に命を賭けるっっっっ』
狂ったように大リーグボール3号の
シャドーピッチングを繰り返す飛雄馬であった・・・
巨人の星(栄光の星編)第175話 「勝利の若獅子」
につづく