ライバルたちに秘密を暴かれ、もはや風前の灯の
大リーグボール2号
そんな不安の中でも飛雄馬は、それを吹き払い
オープン戦、日米野球で無双のピッチングを展開
だがその頃伴は、オープン戦にも帯同されずに
一徹コーチから奇っ怪な練習を強いられていた
一徹の弟子になると誓った伴だが、あまりに不可解な
しごきについに我慢の限界を迎えていた
「ほう・・・・中日を辞めたいと言うのか?」
「ああ、わしは野球をしに中日に移籍したんじゃ
野球させてもらえないならここにいる意味がないっっっ」
「伴よ、お前明石キャンプでわしに何と言うた?」
「あ・・・・明石キャンプぅぅぅ~」
「わしが大リーグボール2号を実演した日の事じゃ
よもや忘れたとは言うまいな」
ビシッ
『親父っさん・・・いや星コーチ
完全にわしの負けですっっっ』
『こうなった以上わしはアンタに付いていきますっ
どうか一流のバッターに育ててくださいっっっっ』
「男が一度口にした事を翻すというなら
お前は今日限り男をやめい!
明日から宙太デラックスとでも名乗るがいいわ」
「ま・・・待ってくれ星コーチ
その前にひとつだけ聞かせてくれい」
「サッカーボール打ちや空き地での特訓はバカなわしでも
なんとなく理由はわかる・・・・しかし」
「このビーンボールを避ける特訓だけは意味不明じゃあ!
一体何のためにやるのか、それだけは聞かせてくれい」
「特訓の趣旨だけは答えてやろう・・・・・
スバリ打倒消える魔球の最終段階じゃ
以上」
そんな事が起こってるとはつゆ知らない飛雄馬はこの日も
SFジャイアンツ相手に消える魔球で好投していた
『今は通用している大リーグボール2号・・・・だが
そのうち新たなライバルに打たれるかもしれん
しかしそれでも今の俺はこの魔球に磨きをかけるしか
ないのだ・・・』
その新たなるライバル伴は、打倒消える魔球の
最終段階に再び取り組んでいた
「くそぅ・・・意味は分からんがこのバカげた
練習が消える魔球の最終段階・・・・」
「星のやつは今頃消える魔球に磨きをかけておるの
じゃろうが、それもただの無駄な足掻きというわけか・・・・」
「星の努力をぶっ壊すのは忍びないっっっっ、じゃが
わしはこれを止めるわけにはいかんのじゃ
星ぃぃぃぃぃぃぃっっっっっ」
「何をひとりで喚いとる・・・・もういい
今日の練習はここまでじゃ」
「ええっ!?
ま・・・まさか見込みがないから、、、、」
「バカか、今日は夜から明日行われる
最後のオープン戦のミーティングがある!
それにお前も行くんじゃ」
「お前が特訓でヘロヘロになって遅刻なんかしたら
わしの立場もないからの」
「最後のオープン戦?
わしがそのミーティングに・・・・・という事は」
「これが今年の最後のオープン戦となる
みんな勝つために全力を尽くしてもらいたい
何か質問があるか?」
「お前まさか、優遇措置でいきなりスタメンとか思って
おったのではあるまいな?
高額年俸のFA選手にでもなったつもりか
100万年早いわ、フハハハハハハハ」
「うぐぐぐぐ・・・スタメンどころか
ベンチ入りメンバーにも入っておらんとはっっっっ」
「期待したわしがバカじゃったぁぁぁぁぁぁ
自分の甘さ加減に涙がチョチョ切れるわいっっっっっ」
「くそぉ~何が日本のベーブルースじゃい
あんなのただのおだてに過ぎんかったんじゃあああ
なんとか2世と呼ばれて勘違いして、全然ダメなルーキーと
同じじゃないかぁぁぁぁ」
その伴の前に明子ねーちゃんの幻出現
『伴さん、青春とは決して安全な株を買っては
いけないのよ』
「明子さんっっっっ、あんたの言う通り危険な株を買うて
わしはこのザマじゃっっっ
そもそもわしには株を買う素質もなかったんじゃ
なのにイキがって危険な株に手ぇ出してしもうた、、、、」
「花形左門のような扱いを期待しちょったが、よく考えたら
あいつらドラフト組、わしは星のオマケのドラフト外じゃった
現にオープン戦好調のやつらに比べわしは・・・わしは・・・」
「チクショーーーーーッ
今頃気付くなんて、わしは大バカじゃっ痛すぎるやつじゃ
わしに和製ベーブルースの才能なんてないんじゃあーーー」
「中日での活躍を期待して送り出してくれた星にも
合わせる顔がないわいっっっ
すまん星ぃぃぃぃぃぃ、許してくれええええ」