伴のトレード問題は解決したかと思われたが、中日
星コーチは諦めておらず、飛雄馬の不安はつのる
もし大リーグボール2号が打たれたら、戦力としての価値を
認めていない巨人から伴が放出される恐れが残るからだ
実際花形左門は、打倒消える魔球の秘策を編み出しつつあった
飛雄馬は伴を打者として鍛えるため、鬼の特訓を開始
しかし二代目一徹と新聞に書きたてられたのを見て
一徹コーチは「わしのために伴をわざわざ鍛えてくれておるわ」
とほくそ笑む
そんな中、中日はオズマからの手紙をきっかけに
新外国人選手をアメリカに探しに行くと一徹コーチに伝えた
記者連中を集めた中日球団代表は
水原監督と一徹コーチに届いたオズマからの手紙を
得意げに見せた
「へぇー、オズマからの手紙ねえ・・・・
でもこんなの見せられても英語わかんねーし、、、」
「ふふっ、それならノープロブレムだ
中身はカタカナで書いてある
とにかく読んでみてください」
『おれハ、オカゲデあめりかニ帰ッテ各段ニ腕ヲアゲ
今しーずんハ3番ノ座ヲ約束サレタ』
『スルト、ちーむめいとノやつラカラ
日本ニ行ケバ、おれノヨウニ腕ガ上ガルト思イコミヤガッタノデ
おれハ言ッテヤッタ』
『日本ニ行クダケデハだめダ!
中日どらごんずニ入リ、イッテツ・ホシこーちカラ指導ヲ
受ケナケレバだめダト』
『シカモイッテツ・ホシハえきせんとりっくナ男ダ
生半可ナ気持チデハ、相手ニモサレナイダロウト
ソレデモ日本ノ中日ニ行キタイト言ウヤツガ続出シテ
トテモ困ッテルゼ(ワラ)』
『ソレカラ、コッチニ戻ッテカラモひゅーま・ほしノ
消エル魔球ノ打倒策ハチャント考エテ研究シテルヨ
今度ひゅーま・ほしト顔ヲ合ワセタラ
必ズ勝ッテ見セルゼ』
「そうヒューマ・ホシに伝えてくれ、グッドバイ・・・・
へぇ・・・・・」
「か・・・感想はって言われましても、オズマは
感謝してるんだな・・・ってくらいっスかねえ・・・」
「おいおい、何年記者やってるんだ君は?
我が中日に来たいって選手が大勢いるって言ってるんだよ
しかも有望な選手が」
「その通りだ!
実績だけのロートルじゃなく、前途有望な若手選手が
うちに来ることを希望してるって事だよ!
それをただ黙って見逃す手はあるまい
そこで水原君を渡米させてだね・・・・」
「だ・・・・代表!
私はまだ渡米するとは、、、、」
「ん?」
「水原君、何を言っとるのかね君は?
変な選手獲るよりは全然良い話じゃないか」
「変な選手獲るよりは・・・・って・・・・
じゃあ伴捕手のトレードは完全になくなったって事
ですか!?」
「代表と内密の話があるんでな・・・・
マスコミ諸君は出て行ってもらおう」
退室させられるマスコミ
「チッ、なんだよあのおっさん」
「まあいつもの事だけどよ。。。」
「わかった!
じゃあ伴捕手を獲って、新外国人も獲るって事で
どうかね?」
「それは構いませんが、わしは伴以外に興味はありませんので
新外人の面倒は見る気もありませんよ」
「でもね星君・・・・伴選手のトレードは
思いっきり巨人さんに断られとるんだよ、、、、」
「だからそれはわしに任せてくれと言っとるではありませんか
わしが獲れると言ったら獲れるんですっ」
「いや、そうは言うが君ぃ・・・・万が一伴選手
獲れなかったら、うちの補強は完全に失敗じゃないか。。。
そうなったら私の責任にも・・・・」
「星君、ここは代表の気持ちも汲んでやってはくれんか?
実際伴も新外国人も獲れなかったじゃあ、わしも困る・・・」
「わかりました・・・・それでは期限を決めましょう!
その期限の間にわしが伴を獲りなければ、新外人でも
なんでも獲ってください!
勿論わしがそやつの面倒も見ましょう」
「男に二言はないっ!
とにかく三日しかありませんでな、すぐに行動開始せねば
失礼しますぞ」
「・・・・・・・・・」
「あ・・・・あの・・・・なんスか、、、、」
「聞きたいことがあるなら代表に聞いてくれ」
「・・・・・・・・」
「まあ探偵みたいなマネをさせて恐縮だが
君自身にも興味深いネタが取れると思うぞ」
「ふっふっふっふ、あの二人の秘密特訓を掴み
それを川上監督に教えてやれば、いいのだ」
「あとは自動的に伴はわしの手中に落ちるわい
ふはははははは」
巨人の星(栄光の星編)第139話 「花形・左門の執念」②-1
につづく