「大リーグボールは必ずオズマに打ち砕かれる」
花形にそう忠告されたが、その根拠は何か
すっかり聞き逃し、その内容が書かれた手紙さえ花形に
送り返してしまった飛雄馬
今頃になってそれを後悔してしまう
オズマの見えないスイングが何故打倒大リーグボール
なのか
そんな事を悩みつつ、巨人中日戦を観戦
オズマのツーランで2点リードされたが4回裏
二死一二塁から一徹コーチは王の敬遠を指示
満塁で対する長嶋には何故か初球からど真ん中の
真直ぐが投じられた
ホ――――――ムランっっっ」
「う~ん、力んでしまいました、、、、ええ・・・
いわゆるひとつの打ち損ないですぅ。。。。
監督から冷静に行けと言われてたんですがねえ・・・」
「いやぁ、今の絶好のホームランボールで
私思わずホームランと言ってしまいましたが
打球は意外に詰まってましたね、、、」
「力み過ぎですわ・・・
まあ誰だってこの場面でど真ん中を投げて来るなんて
思いませんからねえ・・・いきなり絶好球来たんで
長嶋もつい手を出してしまった・・・・
驚いた分タイミングズレてしまったんですな。。。」
「うーん監督、アイム失礼しましたっっっ
花火散る対戦で、ついエキサイトしてしまいましたぁ、ええ
しかし失敗は成功のマザーですよ、、、」
「それを言うなら火花だよ長嶋・・・・・
毎度同じく何を言っとるのかサッパリわからんが
今のは仕方ないな」
「うーーーーーん、どういう事でしょう?」
「相手が悪すぎたんだよ!」
『これは今日はダメかもしれん・・・・・
星君、見事な作戦だったよ』
「星ぃ、お前の親父さんはツイとるのう!
あんなド下手な指示しといて運よく長嶋さんが
打ち損ねた・・・ヘボコーチでも結果次第じゃわい」
「だいたい星野の投げ損ねでもない限り、普通
あの場面でど真ん中なんて、気が狂っちょるわ」
「お前人の親父をそこまで言うか・・・・・
父ちゃんは決してマグレに頼らないし、狂ってもいないと
思うぜ・・・」
「なんで初球からど真ん中なのかはわからんが・・・
俺をここまで育ててくれた父ちゃんだぜ
そんな変な作戦指示するとは思えない」
「何か根拠があるはずなんだ・・・打ち取れる根拠が
しかし今の俺にはもはや、父ちゃんが何を考えて
いるのかだんだんわからなくなってきたのも
事実だが、、、、」
巨人、結局4回裏のチャンスを逃し無得点
5回表、今度は中日先頭の江藤がいきなり
ツーベース
「青田さん、ここは一塁開いてますんで
オズマは歩かしですかね?」
「まあそうなるでしょうな・・・・
今のところあの見えないスイングへの対抗策が
見つかりませんからね」
と、その時川上監督の前にひとりの選手が
「監督っ、わしに投げさせてくれんかの!」と
名乗り出る
400勝目前のカネヤンだ
「わしゃああのオズマっちゅうやつが気に入らんのだわ
見えないスイングか何か知らんが、日本の野球
舐めとるだぎゃ」
「金田・・・・・・座ってろ!
誰が投げてもおそらくは打たれる・・・・」
「いや、勝負だ!」
「ええっ!?
今誰が投げても打たれるって言ったのに、、、、」
「男は負けるとわかっていても行かねばならん時があるっ!
ここはジョーに思いっきり投げさせ、オズマの
見えないスイングをじっくり研究しようじゃないか」
ビシュン、ビシュン、ビシュン
オズマはこれ見よがしに見えないスイングを見せ付ける
城之内、オズマに打たれて以降は中日打線をゼロに抑え
三塁を踏ませないピッチングをしていたが・・・
「おいふざけんなよ、今のは入ってただろっ」
審判に文句を言う森捕手
「いやぁ、際どい球でしたがオズマ
一瞬のうちにボールと見抜いたのか背を向けましたねえ」
「ええ、恐るべき選球眼ですよ・・・」
そしてバットは踏みつぶされたポッキーのように
粉々に、、、、