ついに開幕した阪急との日本シリーズ
シリーズ前に阪急西本監督は、打倒大リーグボールの
ために、ある選手に花形と同じ特訓を許可したと
不気味な宣言を行う
それを聞いた飛雄馬は、大リーグボール1号
改良のための特訓を開始
ところが、この特訓の話を聞いた川上監督は
X選手には通用しないと言い放った
だが飛雄馬は、父一徹の言葉から何かを感じ
改良大リーグボール1号の特訓を続ける
そして3勝2敗で迎えた第6戦
飛雄馬は9回一死満塁でリリーフ登板した
「長池選手、打席で笑みを浮かべましたがそれも
そのはず、川上監督の予想通りグリップへの
大リーグボールでは、いくら投げてもファール
長池からすれば、甘いコースへ来るのを待つだけで
いいのです」
「へへっ、星くん
いくらでも改悪大リーグボールを投げたらええ
こっちはバットを振る必要もなく、自動的に
ファールや・・・」
「えっ、なんや、、、、、」
飛雄馬の豹変ぶりに長池の方が驚く
投げられたのは、バットのヘッドに当たる
通常の大リーグボールだ
「今の見た限りでは、秘密兵器は長池では
なかったようですね」
「それは私もわかりましたよ」
「もし花形の特訓をした選手なら、グリップに
投げられた時、反射的に手首が返るはずですからね」
飛雄馬もそれを見抜いて、自信をもって
通常の大リーグボールを投げたらしい
「今日2打数2安打のスペンサー
秘密兵器は、このスペンサーか?」
「いやあ、それはないと思いますよ
外人は特攻だの玉砕だのは嫌がりますから」
「特にスペンサーは、野球博士と呼ばれるほどの
理論派ですから、なおさらたった1打席で
上半身をボロボロにしてまで打つような
バカな特訓はしないでしょう」
「そうですね、私はそう睨んでます
矢野は二軍上がりで、今年ようやくクリーンアップに
のし上がった売出し中の選手ですからね」
「ここでもし大リーグボール1号を打てば
クリーンアップとしての地位もグンと上がります」
ちなみにこの矢野清という選手、入団したのは1959年
王さんと同期入団で四番として期待されたが
9年間鳴かず飛ばず、しかし1968年に突如覚醒し
4番に抜擢されるが、活躍したのは68年と69年のみだった
また、2000年にオリックスの球団本部長だった時
内海哲也をドラフトで強行指名し、交渉にあたったが
あえなく拒否されている
打席に入るスペンサー
もしここでスペンサーが凡退したら
巨人のV4が決まる
「こりゃ驚きですな!
あのスペンサーが、まさか花形の玉砕打法を
やるとはねえ・・・・」
『普通ならそんなアホな特訓はやらんやろ・・・
ただ大リーグボールっちゅう名前がやつを刺激した
これはもう合理的とかそんなもん関係あらへん
スペンサーのメジャーリーガーのプライドや』
「川上ぃ~、星はもうアカン!
ここは交代させろー」
スタンドからヤジが飛ぶ
『ふっ、秘密兵器はスペンサーの専売特許ではない
こっちにも秘密兵器はあるのだ』
「今のがファイナル大リーグボールなんですね
どうなんでしょう、見せてもらいました、ハイ」
「星ぃぃぃぃぃぃぃぃっ!
日本一じゃーぶいふぉーじゃあああああ」
「まさに奇跡ですっ!
まさかグリップエンドを狙うとは・・・・・
恐るべき魔球です」
「オーマイガーーーーーッ
ワタシナンノタメニアンナ特訓ヲ、、、、、」
『アカン。。。。。また巨人に負けた・・・・
わし満塁とかアカンねん、、、、』
『僕と同じ特訓をやったスペンサーが負けたという
事は・・・・すなわち花形満の敗北だ、、、、』
『しかし・・・・グリップエンドに当てるとは
もはや完全無欠な魔球だ、、、、、』
V4の歓喜に湧く後楽園
原巨人にこの時はいつ訪れるのか・・・・
ヒロインは勿論胴上げ投手の飛雄馬
グリップエンドを狙った大リーグボールのきっかけを
聞かれ、すかさず「花形です!」と答える
「あの素晴らしいライバルがいてこそ思いついた球です
バットの、どうやっても打ち返せない部分はどこか?
それがグリップエンドという発想でした」
「川上監督、この前大リーグボール改良は
改良ではなく改悪だと酷評されてましたが?」
「あれも作戦です
ああ言えば、西本さんも安心すると思いました
油断させておいて叩く、それが狙いでした」
「西本さんが、また川上監督の石橋を叩いて渡らない
戦法にやられたと言ってましたよ」
「ははっ、そうですか」
「まだ小さいが、偉大な巨人の星
星飛雄馬に、今一度大きな拍手を与えてやってください」
『よくぞ、よくぞここまで大リーグボールを完成させた
もしここに飛雄馬がいれば、わしは容赦なく
抱きしめていただろう・・・』