Leadership Project @ ISAK | UWC ISAK 生活日記

UWC ISAK 生活日記

UWC ISAK Japanの生徒による非公式ブログです。
「一度しかない人生。自分の個性を生かして思い切り生き、自らの立つ場所から世界を変える。(UWC ISAK Japan Webより)」

みなさん、こんにちは。赤柴です。3月になった今日も、ISAKのキャンパスは真っ白です雪の結晶

 

今日は金曜日で、私は最後の授業がフリー。なんと午後2時30分から私の週末がスタートしました!とっても気持ちが良いです。しかし、最近はとても忙しいことが普通になってしまったため、リラックスをしても良い状況なのに、「何かをしないと!」と手が勝手にパソコンを開いてしまいました。よって忙しくてずっと書けていなかったこのブログを、今日中に完成させることにしました。

 

私が最近なぜ忙しいのか。原因は私のリーダーシップのプロジェクトにあります。G10ではリーダーシップの授業で、必ずプロジェクトを立ち上げなければなりません。私がISAKに入学したときはプロジェクトを立ち上げた経験がなく、リーダーシップの授業を少し不安に思っていました。ただし、私は今プロジェクトに夢中になっているのです。インターネットで「夢中」の意味を調べてみたところ、「一つのことに心を奪われ、他のことを忘れる様子」と書いてありました。私の今の様子を、そのまま表現しています。私のプロジェクト、そしてプロジェクトを立ち上げる中で学んだことをこの記事を通して紹介しようと思いますので、どうぞ最後までお楽しみください。

 

*記事はとても長いです。書き終わるまでに3時間以上かかりましたアセアセ

 

自分が何にパッションを持っているのかを見つける

 

リーダーシップの授業が始まった頃に何度も強調されたことは、自分が本気になって取り組めるようなプロジェクトを立ち上げることでした。高校一年生の私たちは人生経験がまだ浅く、自分がどのような人物なのかを見つけ出している段階にあります。そんな時に、「あなたは何にパッションを持っているの?」と聞かれると、困惑したり、時にはパニックにもなったりするのです。

 

私がプロジェクトを立ち上げる上で意識したことは、自分が今まで生きてきた中で、どのようなものが喜びや幸せをもたらしてくれたのか、そして私という人間の土台となっているものは何か、を突き詰めることでした。もちろん答えは複数出てきましたが、ISAKをより良くするプロジェクトの軸となれるものは何かを考えた時、最終的な答えが見つかりました。それは、私の「食」に対するパッションでした。

 

私は生まれた時から近くの農家さんから直接買った新鮮な野菜と卵を食べて育ちました。父は料理が上手く、食材の鮮度を活かしたシンプルな料理を毎日出してくれていました。成長するにつれて、私は彼の横で料理をするようになり、新鮮な食材のありがたみも理解するようになったのです。新鮮な食材を使うことには大きなメリットが二つ。一つ目は、もちろん味。新鮮なものは味がイキイキとしていて、上手く調理をすれば見た目も食感も抜群です。二つ目のメリットは、食べるものを通じて自然、そして食材を造って下さる方々との絆ができること。私は幼い頃から野菜と卵を提供して下さる農家さん一家と共に田植えをしたり、餅をついたり、子供たちと山の中を冒険したりと、農業の大変さを実感すると同時に自然の美しさとありがたみを知ることもできました。よって、私が父の料理を口にする度に、父、農家さん、そして自然に深く感謝をしていました。それが私の日常の「当たり前」であり、「幸せ」でもあったのです。

 

自分のパッションをISAKのためにどう使うか

 

世界に18校存在するUnited World Colleges(UWC)は全てこう宣言しています:“United World Colleges (UWC) is a global movement that makes education a force to unite people, nations and cultures for peace and a sustainable future.” 素敵な宣言ではありますが、それが授業内でだけでなく、学校のあらゆる面において反映されていなければなりません。私がUWC ISAK Japanに入学して真っ先に気づいたことは、生徒が一日に三度も訪れるISAKの食堂では、UWCのミッションに書いてある、「持続可能な未来のため、教育が人、国、文化を結び付ける力となるようにする」というヴィションが達成されていないことでした。生徒はせっかくの食べ物に文句を振りかけ、軽々と食べ物を残す。これによって生まれるフードロスは持続可能な未来には繋がらなく、彼らが料理を貶すことから明らかなように、生徒は食材そのもの、料理をしてくださる食堂の方々、そして食材を造ってくださる方々と絆を築いておらず、食べ物が自分たちに届くまでの過程について一切教育をされていないのです。

 

そんなISAKの食堂を変えようと、私はプロジェクトを立ち上げました。現在の大きな目標は二つ。食堂の料理を変える。そして、食を通じてISAK生を自然環境、食材を造る方々、そして食材を調理する人々と繋げること。

 

食堂の料理を変える

 

私がここで強調したいのは、ISAKで出される料理が決してまずい訳ではなく、料理の種類が豊富であることです。ISAKでは毎日様々な文化の味に触れることができ、食堂の方々は私たちのために全力を注いで下さっています。ただし、ISAKでは食を通じて自然、農家さん、そして料理人と絆を築くことができていません。生徒がただ食べ物を口に入れ、何も考えずに文句を言ったり料理を残したり…

 

また、出されている料理から素材の新鮮さを感じることができないのも事実です。私は食堂でどのような食材が使われているのかを知るためにスタッフの方にインタビューを行った結果、驚くことに使われる野菜の多くは地元産の新鮮なものでした。しかし、最終的な料理は油が多かったり、調味料をたくさん使っていたりと、新鮮な食材を活かすような調理がされていません。ISAKの食堂では様々な国から集まった300人以上に料理を提供しているため、素材や調理にこだわっている時間がなく、現在の料理が限界だと思われるかもしれません。確かに、食堂の方々もとても忙しく、たくさん食べる生徒たちに次々と料理を出さなければなりません。ただし、私は父から新鮮な食材を用いている場合はかえってシンプルな調理が必要とされることを学びました。食べる人にも、食堂の方々にもプラスになるような新しいISAK料理を提案することを、私は一つの目標としています。

 

味だけではない

 

食べ物の価値は味だけにあると思っている方はいませんか?食材の裏にある物語や思いをどう消費者に伝えるかによっても、消費者が感じる「美味しい」が変わってくると、私は強く思います。ISAKではせっかく新鮮な野菜を使っているのに、生徒たちはそれを知らずに三食食べている。自分が食べているものがどこから来ているのかを知るのと知らないのとでは大きな違いがあることを知っている私は、食堂の料理に使われている主な材料がどこから来ているのかを生徒に明らかにしなければならなりません。そうすれば新鮮である食材への感謝が生まれ、同時に食材の何割が輸入されていて何割が国産または地元産なのか、輸入品がどれだけ環境に負荷を与えているのかなど、UWCが誇る持続可能な未来を目指す教育を食を通しても行うことができます。また、私はもう一歩深く踏み込んで、ISAKと農家さんを直接繋げることも考えています。軽井沢や周辺の地域との繋がりが薄いことを課題としているISAKにいるからこそ、私は素材の味だけではなく、その素材が育てられた地域の特徴や生産者の思いも生徒に届けなければなりません。

 

行動を起こす

 

では、私がこのプロジェクトを通してどのような行動を起こし、これからどのような行動を起こすのか。

ちょうど昨日、食堂で使われている主材料が全て表記された巨大な世界地図が完成しました!これを食堂の壁に貼ることで、生徒たちは自分が食べているものがどこから来ているのかを一目で知ることができ、自分たちが食事をすることで環境にどのような負荷がかかっているのかや世界のどの地域にISAKが頼っているのかを考えることが可能になります。世界のどこかで、自分が食べているものを育てたり箱に詰めたりして下さっている方々がいることを、私はISAK生に忘れて欲しくないのです。

 

三月の上旬に私は徳島にある「日本一、地産地食な給食」を目指す学校を訪問する予定です。どうすればより多くの地元の素材をISAKの食堂の料理に組み込むことができるのか、素材の鮮度を活かした調理法をどう学校の食堂に導入すれば良いのかを学ぶだけではなく、農家や地域の「思い」や「エネルギー」をどう生徒に伝えることができるのかのヒントを見つけられることも期待しています。

 

最後に

 

  • ISAKの食堂でより国産または地元の素材が使われる
  • 素材を活かす調理が当たり前になる
  • ISAK生が食べ物を口にした時、それがどこから来たのかに興味を持つ
  • ISAKで食を通じて生徒たちが自然、食材を造る方々、そして料理をする方々と絆を築くことができる

ISAKの食堂でこのようなことが実現されることを、私は目指しています。

 

プロジェクトについてまだまだ書きたいことがありますので、これからもこのような記事を書いていこうと思います。とても長い記事を最後まで読んで下さった方々、そして途中で疲れてしまってページの下の方へスキップした方々、今日は本当にありがとうございました。良い週末をお過ごし下さい。そして、何かを食べるときに、自然や農家さん、料理をして下さった方々に、感謝をしてお召し上がりになってください。

 

赤柴