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  世界一の産油国アメリカ

 

 

アメリカがなぜワシントン・リヤド密約を破り、機密であったサウジアラビアのアメリカ国債保有額を公表に踏み切ったのでしょうか。2015年12月オバマ大統領が政府機関閉鎖を避けるため、議会で可決された石油輸出を40年ぶりに解禁する措置を含むエネルギー改革法案に署名し、成立したアメリカでは石油輸出が急増します。

 

 

フォーブスの2024年3月の記事によると、2015年に日量約50万バレルに満たなかったアメリカの原油輸出は、2017年に100万バレル、2018年に約200万バレル、2020年に300万バレル(1バレル=約159リットル)まで増えて、コロナ禍もあったもののアメリカエネルギー情報局によれば2023年には過去最高の400万バレルに達します。ちなみに世界一の石油輸出国であるサウジアラビアの輸出量はJODI(共同石油統計イニシアティブ:Joint Organizations Data Initiative )の 2024年2月の発表によると、2023年12月のサウジアラビア原油輸出量は日量630万8000バレルで、アメリカもこの量に近くなってきています。またアメリカの石油生産量も2017年にはサウジアラビアに変わって世界1位となり、ロンドンに拠点をおく世界的なエネルギー研究機関であるEnergy Instituteによれば、2022年の石油生産量もアメリカが1位で7億5946万トン、2位がサウジアラビアの5億7309万トンです。これがサウジアラビアにはおもしろくありませんでした。

ちなみにシェールオイルは世界各地に眠っており、2013年のアメリカエネルギー情報局の調べによると、埋蔵量世界4位はアルゼンチンの261億バレル、3位は中国の332億バレル、2位はロシアの758億バレル、1位はアメリカの782億バレルです。シェール層への採掘には大量の水が必要で、その水源が確保できなかたり、アメリカよりシェール層が深く地質条件が複雑で、開発費用が高すぎたり、地元住民や環境保護団体の反対などでアメリカ以外の国は開発があまり進んでいません。

 

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  テロ支援者制裁法

 

 

こんなことも起こります。歴史学者の山内昌之東京大学名誉教授の話ですが、2001年の9月11日の同時多発テロ事件で19人の実行犯のうち、15人はサウジアラビアの国籍を有していたため。遺族の求めに応じてテロに関与した外国の政府をアメリカ人が提訴できる「テロ支援者制裁法」をアメリカ議会が承認するのではないかという話が持ち上がります。

これに反発したサウジアラビアのアーデル・ジュバイル外相は2016年3月にワシントンを訪問した際にアメリカにあるサウジアラビアの約75兆ドル(約113兆8223億円)資産をすべて引き上げると、アメリカ政府に警告します。

これはやりすぎだと怒ったオバマ大統領は密約を破り、2016年5月にサウジアラビアのアメリカ国債保有額を公表しました。前のブログでも述べたようにサウジアラビアのアメリカの約1168億ドルで保有額は莫大に見えますが、当時の世界1位の中国の保有額は約1兆2440億ドル:188兆8874億円、2位の日本の約1兆1371億ドル:約172兆7153億円に比べれば、比較にならないものです。

これでサウジアラビアが主張するような7500億ドルも資産はアメリカにはないことがわかりました。アメリカの密約が密約を破ったのは資産を引き上げられても影響はほとんどないことを世界に暴露して、サウジアラビアにこれ以上調子に乗るなと牽制するためだったというのです。

2016年9月にテロに関与した外国の政府をアメリカ人が提訴できる法が議会で成立します。この法案に対してオバマ大統領はアメリカの企業や軍関係者を巻き込む訴訟につながる恐れがあり、同盟国との関係を悪化させる可能性がある懸念し、拒否権を行使。法案に署名しませんでした。オバマ大統領は密約を破ってサウジアラビアを牽制したものの、テロ支援者制裁法を通せば関係が悪化しすぎて、サウジアラビアはアメリカと対立するロシアや中国の側に完全に回ってしまう可能性があり、そこまでは避けたかったのです。しかし議会は拒否権を覆せる3分の2以上の賛成多数で再可決し、法案が成立してしまいます。これでサウジアラビアはアメリカへの態度を変えていきます。

 

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  中露に近づくサウジアラビア

 

 

“Xi Jinping, General Secretary of the Chinese Communist Party since 201””

©Dati Bendo.2023.4.6(Licensed under CC BY 4.0)

 

2022年3月、ロシアがウクライナ戦争を始めてから、アメリカはロシアに対し金融制裁を行います。アメリカが強い影響力を持つ銀行間の国際的な取引を仲介する非営利組織である国際銀行間通信協会(Swift:Society for worldwide interbank financial telecommunication)から一部のロシアの銀行を締め出し、世界でドルを自由に使えないようにしてしまいました。サウジアラビアはアメリカとの関係が断たれれば同じようなことが将来に起こり得るのではないかと危惧し、中国など主要な貿易相手国との関係強化に動きます。2022年12月に中国の習近平国家主席がサウジアラビアを訪問した際、両国はエネルギー政策・探査を巡る協力で合意。中国はサウジアラビアの石油の購入を増やす取り組みを進め、その取引の決済を中国の通貨である人民元で行いたいと習主席は表明します。2023年1月のブルームバーグのインタビューではサウジアラビアのジャドアーン財務大臣が、ドル以外の通貨を使った貿易に関する話し合いには応じると明らかにしました。これは今まで石油の代金をドルでしか受け取らなかったサウジアラビアがドル以外の通貨も受け取る余地があるということになります。

2023年3月にはサウジアラビアは中国の仲介で、アメリカと敵対しているイランとの国交正常化を行います。アメリカからの安全保障上の関係強化、民生用の原子力開発支援を条件に、強く要請されていたイスラエルとの国境正常化とパレスチナ政策への妥協もサウジアラビアはしぶしぶ検討していましたが、2023年10月に反イスラエルの組織でパレスチナのガザ地区を支配するハマス(イスラム抵抗運動)と大規模な武力衝突が勃発すると、サウジアラビアは2024年2月アメリカにイスラエルとの国交正常化を拒否すると通告しました。

石油価格は国際的な原油取引の指標となる先物価格でWTI先物というものがありますWTIはWest Texas Intermediatの略でアメリカ南部のテキサス州とニューメキシコ州を中心に産出される原油の総称です。2024年4月は1バレル=83ドルから87ドルの間を推移していますが、2023年3月と12月にはこのWTI先物価格が1バレル=70ドル割れになります。IMFの試算では、サウジアラビアが財政の均衡を保つには、WTI先物は80ドル前後が必要だと言われています。石油価格が低迷すればサウジアラビアの財政状況を悪化するのです。サウジアラビアは、石油価格少しでも上げようと、2023年4月、石油生産量を大幅に減らします。しかしなかなかサウジアラビアの思い通りには価格は安定しませんでした。ちなみに油田からから採掘されたままの油は原油と呼びます。 原油も含めた各種燃料油、潤滑油、ワックス、アスファルト等の石油製品をまとめて、広義には「石油」と総称します。

 

 

“Президент России Владимир Путин обращается к участникам II Международного форума по сохранению тигра, 5 сентября 2022 года.“©Пресс-служба Президента Российской Федерации.2022.9.25
(Licensed under CC BY 4.0)

 

だからと言って石油生産を増やそうとすると価格が下がってしまいます。少しでも収入を増やしたいサウジアラビアはロシアの石油に注目します。ウクライナ戦争で欧米の経済制裁を受けているロシアの石油は市場で1バレル=60ドルでしか売れません。欧米の対ロシア経済制裁に加わっていないサウジアラビアは世界大2位の産油国でありながら、ロシアから割安の石油を大量に輸入します。ほとんどゼロだったロシアからの石油輸入量は2023年になると日量約8万バレルにまで急増します。輸入したロシアの石油は国内消費にまわされ、自国の石油はほとんど輸出にまわします。

2024年4月26日のWTI先物価格は1バレル=約84ドル。単純に考えると、価格差

84ドル-60ドル=24ドルがロシアの石油によってサウジアラビアの利益になったのです。また経済制裁では、ロシアの石油を輸入する量の制限はありませんので、アメリカにとやかく言わせません。2023年12月6日にはロシアのウラジミール・プーチン大統領がサウジアラビアを訪問。ムハンマド皇太子と会談します。あと経済制裁でヨーロッパなどがロシア産石油製品の輸入を止めたことで、ヨーロッパ市場も開かれました。サウジアラビアはヨーロッパへの石油輸出も増やしていきます。サウジアラビアはアメリカとの関係を完全に断とうとしてるわけではありませんが、徐々にアメリカとドルへの依存から脱却しようとしています。

 

 

Y.H X(旧Twitter)

 

 

 

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