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  アメリカの石油輸出

 

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アメリカはオイルショックの後の1975年、エネルギー不足と価格を安定させる対策として石油輸出を原則禁止していましたが、シェール革命でシェールオイルの生産が進むとアメリカでは供給過剰となり、在庫がだぶついて国内の石油価格も下落してしましました。エネルギー業界を支持基盤とする野党共和党は与党民主党に石油輸出を解禁する法案の審議を要求、共和党の一部にはヨーロッパなどへの石油輸出が進めば、ロシアや中東へのエネルギー依存低下させて世界にアメリカの力を強めることができるという考えもありました。当時の民主党とバラク・オバマ大統領はアメリカの石油輸出は地球温暖化対策の逆効果にるとして反対し、オバマ大統領は石油輸出解禁の法案が議会で可決されれば、署名をしない拒否権を行使するとしました。
大統領制のアメリカでは、議会多数党と大統領は政党が異なることがあります。むしろ、大統領、上院、下院両院での多数党が全て同じである時期の方が短く、少なくとも上院ないし下院のいずれかの多数党が、大統領の政党と異なることが多いです。アメリカ連邦議会では予算は議会が提出し上院と下院での可決と大統領の署名で成立します。なので予算成立のためには、野党対策が不可欠です。大統領は上下両院で成立した予算に反対する場合は拒否権を行使し予算案に署名をしません。

拒否権が行使されると、上下両院3分の2の多数で再可決しない限り、大統領が拒否した内容の予算は成立しません。アメリカは本予算や後で述べる「つなぎ予算」が成立しないと政府機関が閉鎖されるしくみになっており、そこで働く数十万人の公務員である連邦職員は自宅待機となり閉鎖の間は給料が出ません。必要不可欠ではない文化施設などは真っ先に閉鎖の対象となります。ただ法律で許可されたもの、人命及び財産の保全にか関わり必要不可欠なものとされる軍事活動、航空交通管制、退役軍人の医療、連邦警察、連邦刑務所、徴税などは継続されますが、連邦軍人や職員は閉鎖の間は無給で働くはめになります。必要不可欠ではない文化施設などは真っ先に閉鎖の対象となります。

 

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  アメリカだけの政府機関閉鎖

 

郵政公社とFRBは独自の財源を持つため、ほとんど影響を受けません。あとアメリカでは州が様々なことを行うので、短期の閉鎖なら影響はあまりありません。けれども長期になってくると連邦軍の戦力低下、連邦警察の捜査能力低下、空港で飛行機の大幅な遅延、中小企業庁の新規融資の審査・承認中止による中小企業の資金枯渇、連邦政府の育児支援停止、食品医薬品局の安全検査遅延など様々なところで深刻な影響が出て、経済も打撃を受けます。これを防ぐために共和・民主両党が妥協して成立させる必要最低限の予算が「つなぎ予算」です。

 

 

このつなぎ予算は1回だけではなく、複数回成立する場合もあり、アメリカの2018年度連邦予算の場合2017年10月から2018年2月にかけては5回ものつなぎ予算が成立しています。しかしつなぎ予算は国家の運営に最低限必要な予算しか組まれておらず、つなぎ予算の連発は国家運営や経済を不安定にもします。つなぎ予算は議会上院や下院で否決される場合もあり、否決されればいよいよ政府機関が閉鎖されます。

当時の与党民主党は選挙に大敗しており、上下両院では共和党が過半数を占めていました。このとき議会では少数与党の民主党とオバマ大統領が共和党と予算案の内容を巡っても激しく対立して予算が成立せず、両党が妥協してつなぎ予算を成立させて何とか持ちこたえていました。もしオバマ大統領が石油輸出の法案に署名しなければ、共和党がますます反発し、本予算もつなぎ予算も成立せず、政府機関閉鎖になる可能性が大きかったのです。オバマ大統領は環境対策を予算案に盛り込むことを共和党に要求し、共和党も受け入れたため、なくなく2015年石油輸出の法案に署名し成立し、予算も成立。政府機関の閉鎖は免れました。

 


しかし実際にアメリカでの政府機関閉鎖は1974年以降、小規模、大規模なものを含めて21回もあり、中でも閉鎖が2週間以上を超えたのは、オバマ大統領時代の2013年10月1日から16日までの16日間、カーター大統領時代の1978年10月1日から17日までの17日間、クリントン大統領時代の1995年12月16日から1996年1月5日までの21日間、一番長いのは、ドナルド・トランプ大統領時代の2018年12月22日から2019年1月24日にまでの34日間。このような政府機関閉鎖はアメリカでしか起こりません。

 

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  財政民主主義と予算の空白

 

 

日本では予算案を提出できるのは内閣だけです。与野党が激しく対立して予算が成立しない場合は、期間が1ヶ月から3ヵ月で行政運営上必要最低限の予算である暫定予算を内閣が提出し国会で議決できるようになっています。暫定予算の期間内に本予算が成立しなければ、さらに期間を延ばした暫定補正予算が提出されます。暫定予算や暫定補正予算の期間も終わっても本予算が成立していなかったり、暫定予算や暫定補正予算が議会で否決されたりすると「予算の空白」という期間が発生します政府機関が閉鎖されてしまいます。実際に予算の空白が発生した年は1948年から1990年まで17回あり、いづれも1日から7日以内となっています。予算の空白はそのままだとアメリカ同じように、日本の政府機関も閉鎖しないといけなくなります。そうならないように予算の空白の間の政府機関の経費の支払について、立替払いや前年度予算の残りの使用、あるいは支払延期等の方法により対処しました。予算の空白が国民生活や経済に与える甚大な影響を回避するため、予算の執行とならない形で必要最小限度の資金調達や支出をしたものです。

しかしいくら国民生活や経済を守るためとはいえ、まだ国会の議決で予算の成立がしていないのに、政府が国お金を使うのは財政民主主義に背くものとされ、問題となりました。財政民主主義とは王などの国の最高権力者が好き勝手に課税したり、国のお金を使ったりさせないために、国が支出や課税などの財政活動を行う際は、国民の代表で構成される議会での議決が必要であるという考え方で。日本では日本国憲法第83条が根拠とされいます。こうして1991年に与野党それぞれの政調会長と政審会長が「予算の空白をつくるべきでない」旨に合意して以降、予算の空白は発生していません。なので日本ではアメリカのように政府機関の閉鎖が起こらないのです。日本の暫定補正予算もアメリカのつなぎ予算と同じで必要最低限の予算しか組まれていないため連発すると、国家運営や経済が不安定になります。暫定補正予算は1948年の4月から5月にかけて3回成立したことがありますが、それ以来連発で成立したことは一度もありません。
また他の国では、予算が成立しなくても政府機関を停止させないように対立してる与野党が限定的に協力できたりするなど、何らかの仕組みがあります。あと日本では予算がなかなか成立しないということはありますが、衆議院で否決されるということはありません。日本はアメリカと違い、衆議院選挙で多数の議席をとった政党が内閣を組織します。内閣が提出した予算は市解散もあり、任期も短く民意が反映されやすい衆議院で先に審議され、与党の賛成多数で議決されますし、参議院が否決しても両院協議会で意見が一致しなかったり、30日間議決しないときは、そのまま衆議院の議決が国会の議決になります。これは「衆議院の優越」といいます。なので衆議院で予算が否決されることは想定されてもいないのです。

 

Y.H X(旧Twitter)

 

 

 

 

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