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  フランスの不満

 

アメリカが個人消費が徐々に伸び始めるたこと、オイルショック直後の膨大な在庫の積み上がりに対し、生産も急激に落ち込んだ結果、時間がたって在庫調整が進展したこと、アメリカをはじめとする世界の主要国で 物価上昇が鈍化し、景気対策のために金融緩和や減税などをを実施し1975年後半から不景気となっていた世界経済も回復し始めました。しかしその回復力は弱く、アメリカもインフレを完全に克服していませんでしたし、世界中にオイルショックによって石油が安定的に供給されなくなるのではなという不安もありました。

 

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これでは西側諸国の経済が崩壊すると危機感を強めたフランスのヴァレリ・ジスカールデスタン大統領は、1975年7月EC(ヨーロッパ共同体:European Community)首脳会議でアメリカ、イギリス、フランス、西ドイツ、日本の五大国首脳を集めた通貨会議の開催を主張。EU首脳会議で年内の開催を各国に働き掛けること決めさせます。これがサミットの(先進国首脳会議)開催のはじまりとなりました。ジスカールデスタン大統領は現在のG7財務大臣・中央銀行総裁会議や前身となった「ライブラリーグループ」に財務大臣として参加していた1人です。

フランスでは1930年代から、国際通貨体制安定の責任はそれぞれの国家が負うもので、そのためには固定相場制が最良であるという考え方が伝統的に根強かったのです。変動相場制はフランスのインフレをひどくするとも考えられ、金の保有量に縛られなくなったドルが基軸通貨となり続ければ、ニクソンショックのように、これからもアメリカの一存で国際通貨体制が左右され、フランス経済が大きな打撃を被ることにもなるという強い不満もありました。それにフランスはこの頃金を大量に保有しており、ドル・金本位制の固定相場に復帰することは、フランスに大きな利点がありました。ジスカールデスタン大統領もこれらの考えにのっとり世界の経済不安はオイルショックだけではなく変動相場制のせいだとして、アメリカに固定相場制を復帰させることを早急に認めさせようしていました。

 

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  アメリカの反発

 

 

“A view of the North entrance of the U.S. Treasury Building in Washington D.C.“

©Sealy j.2017.9.18(Licensed under CC BY 4.0)

 

元共同通信記者である松尾好治さんの2015年1月の日本記者クラブの記事に書いてあるのですが、アメリカはオイルショック以降の経済混乱の中では、ドルの適正な相場を求めて固定することは困難であり、固定してもすぐに大きく変動して、各国が為替介入しても効果がなく長続きしないと考え、金・ドル本位制に戻るつもりはなく、変動相場制を続けたいと考えていました。アメリカはEC首脳会議直後、ウィリアム・サイモン財務長官に議会で「現在の状況で固定相場制に復帰する企ては重大な誤り」と主張させ、ジスカールデスタン大統領の考えに強硬に反対。

フランスが西側諸国の中で主導権を握ろうとしているのではと警戒もして、通貨会議の構想にも乗りません。日本では三木武夫首相が通貨会議に乗り気でしたが、アメリカは日本に参加しないよう説得に乗り出し、8月の日米首脳会談の後で、日本は通貨会議への参加を慎重に判断すると表明します。

これでフランスはアメリカを屈服させるのは困難であると考え、8月のEC財務大臣級会議で固定相場制への復帰については9月のIMF総会後の継続審議とするして態度が軟化させます。対するアメリカもフランスとの関係をあまりに悪化させるとソビエトをはじめとする東側諸国との対決に不利になるため、8月の日米財務大臣級会談でサイモン財務長官が国際通貨体制の問題を議題にする首脳会議には反対だが、政治、経済に関する問題を議題とするなら賛成するとフランスに譲歩することを表明し、大平正芳大蔵大臣も同意します。

 

 

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  為替相場への投機

 

オイルショックでの石油価格の暴騰で産油国に大量のドルなどのオイルマネーが流れ込みました。オイルマネーとは産油国が石油の輸出で得た資金のうち、投資や投機に充てる資金のことです。とくに中東のOPEC加盟国の資金を指すことが多いです。多くのオイルマネーはヨーロッパやアメリカの銀行に預けられました。もし固定相場制に戻って、ドルと他国の通貨の固定相場が乖離すると、為替市場が巨額のオイルマネーの投機の対象となります。
為替市場や株式市場の短期的な値動きの変化から利益を獲得する投機を行う投資家や組織は「投機筋」と呼ばれます。FX(Foreign Exchange:外国為替証拠金取引)をする個人や買った株をその日のうちに売る、あるいは、売った株をその日のうちに買い戻すデイトレーラーも投機筋といえます。ちなみに輸入代金を支払うために円を外貨に換えたり、輸出で得た外貨を円に換えたりするために為替市場で取引を行う企業や、海外旅行のための両替商や両替をする旅行者などは「実需筋」といいます。実需筋は短期的な利益を為替市場で得るのが目的ではないため頻繁に売買を繰り返すのではなく、買ったら買いっぱなし、売ったら売りっぱなしで取引が淡々としています。

 

 

極端で簡単な例をあげますが、国際通貨体制で固定相場制に復帰したとして1ドル=300円だったとします。それが何かのきっかけで1ドル=315円の円安ドル高になったとします。これでアメリカと日本は円買いドル売りの為替介入で1ドル=300円に戻さないといけません。この時に投機筋は介入を見越して、あらかじめ1億ドル売って315億円買います。この介入で1ドル=300円に戻ると投機筋は300億円を売って1億ドルを買えば差額の15億円=500万ドル儲けたことになります。介入前に少ない証拠金の何倍、何十倍もの資金を動かすことのできる「レバレッジ」という仕組みを使い315億円を借りて、介入後に300億円を返し15億円儲ける、通貨を株のように空売りする投機もあります。

 

 

もし中東の多数の投機筋が一斉に膨大なオイルマネーでこの投機を繰り返せば、介入して固定相場にもどしても円が大量に売られてすぐに円安ドル高に戻ってしまい、いくら介入しても効果が出ず、きりがなくなります。日本も介入のために使えるドルには限りがありますし、アメリカも円買いの介入のためだけに無制限に資金を使うわけにもいきませんので結局相場の固定はできなくなるのです。スミソニアン体制が崩壊したものも、投機が原因の1つでした。

変動為替相場制でも政府の為替介入は行われますが、自国通貨が過度に高すぎると輸出が振るいませんし、あるいは安すぎると輸入品が高くなり、政治・経済・家計に悪影響が出ます。変動相場制での為替介入は、他国への配慮、協力が必要です。介入で自国の通貨を売って、自国の製品を輸出で他国に安く売れるようにするのでから、配慮がないと介入に対して他国から反発され関係が悪化してしまいます。それに介入は自国だけ行っていてもあまり効果がない場合が多く、他国との協力も必要になります。介入は十分な資金を投じないといけません。

介入の資金には限りが何度もできません。日本円であれば、急激な円安に対しては、ドル売り円買いの介入するために、財務省所管の外国為替資金特別会計で保有するドルを売って円を買います。他方、急激な円高に対しては、国庫短期証券を発行して調達した円を売ってドルを買うことが一般的です。国庫短期証券とは国に属する現金や有価証券などを経理する国庫金制度を指す国庫の資金不足を補うため、額面金額より安い金額で発行され、額面額で償還される割引債のことです。国庫短期証券は公募入札方式で発行されますが、入札に参加できるのは銀行、証券会社、保険会社などの金融機関のみです。

オイルマネーが膨大になっているうえに、世界経済がインフレなどで不安定な状況では、固定相場制になど戻せないという認識が9月末のIMF総会の参加者たちの間でなされていました。フランスも現状を受け入れ、国際通貨制度をめぐり対立してきたアメリカとの妥協に向けて動き始めました。

 

Y.H X(旧Twitter)

 

 

 

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