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  小さな政府と大きな政府

 

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フォード大統領は景気対策のため、160億ドルの減税案を議会に提出しますが、減税の規模が小さいとしてアメリカ議会で拒否されてしまいます。議会下院では199億ドルの減税案、議会上院では306億ドルの減税案が可決されます。そのため上下両院の協議により、1975年3月に228億ドルの減税を実施する妥協案がつくられました。228億ドルの減税案は上下両院で可決されフォード大統領に送られます、フォード大統領は財政赤字の拡大を懸念し、この減税案に難色をしめしました。景気対策主体に政策転換したにもかかわらずフォード大統領が財政支出抑制にまだこだわったのは、アメリカ共和党の「小さな政府」という考え方に従っていたからでした。「小さな政府」とは社会福祉の水準が低くなる代わりに、税や社会保障費などの国民の負担は少ない「低福祉低負担」の国家運営を行い、政府による経済活動への介入を減らすことで市場原理による自由競争を促し、経済成長を図るという考え方です。ちなみに上記のイラストは共和党のシンボルマークです。1860年の大統領選挙においてエイブラハム・リンカーン大統領が党の強さの象徴としてゾウを新聞に掲載したのが起源といわれ、その後風刺画家のトーマス・ナストさんが共和党をゾウになぞらえたことで広まり、1870年代に党にシンボルマークとして採用されました。

 

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対してアメリカ民主党は「大きな政府」という考え方の政党です。「大きな政府」とは社会福祉の水準が高くなる代わりに、税や社会保障費などの国民の負担が多い「高福祉高負担」の国家運営を行い、政府が経済活動に積極的に介入することで、社会資本を整備し、国民の生活を安定させ、所得格差などを是正しようとする考え方です。ちなみに上記は民主党のシンボルマークです。これは民主党の最初の大統領であるアンドリュー・ジャクソンさんが選挙戦中に対立政党の党員に「ジャクソン」という名前から「ジャッカス:Jackass」とバカにされました。「ジャッカス」とは英語でオスのロバのことで、アメリカではのろま、マヌケ、アホ、バカを意味します。これをジャクソンさんは逆手にとって自分の党のシンボルマークをロバにした事が起源だといわれています。

 

 

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  スタグフレーション脱出

 

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フォード大統領にとって財政支出を拡大して景気対策を行うことは、共和党の「小さな政府」の考え方に反することでした。しかしこれ以上減税案の成立を遅らせると、不景気がますます悪化することが懸念されたうえに、2月初めにはワシントンで自動車産業の失業者1万人が「仕事よこせ」と決起集会をする騒ぎまで起きていました。この状況の逼迫によりフォード大統領は泣く泣くこの減税案を受け入れ1975年3月に署名しますアメリカ政府の会計年度は10月1日から翌年の9月30日までで、減税が行わるのは1975年10月1日から1976年9月30日までの1976年度の予算になります。ホワイトハウスの発表によればこの年度の予算は約2980億ドルしか歳入がないのに、支出は約3718億ドルにもなり、赤字は約737億ドルで当時としては過去最高の赤字となりました。
皮肉にも、フォード大統領のインフレ対策や小さな政府へのこだわった政策が議会の反対され、財政出拡大と大型減税の実行に追い込まれたことがことがかえって功を奏し、民間住宅着工戸数が増えはじめ、自動車産業の不景気も底をうち、鉱工業の生産も増えます。物価も1974年10月から落ちつきはじめ、1975年5月が不景気の底となり、6月からアメリカは不景気からようやく回復しはじめました。フォード大統領の経済政策は中途半端で、アメリカの景気回復は偶然性もあったといわれていますが、当初優先していたインフレ対策がまったく無駄ではなく、ハイパーインフレを防ぎ、アメリカをスタグフレーションから脱出される要因の一つなったと評価はされています。

 

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  アラブ・中東・イスラム

 

 

話が少しそれますが、オイルショックの舞台となったのはアラブ諸国ですが、「アラブ」「中東」「イスラム」という言葉はどれも同じような意味に思えますが、実は微妙に違っており、この違いを説明します。

アルモーメン・アブドーラ東海大学教授の2021年11月のNewsWeekの記事にありますが、まず「アラブ」は「アラブ世界」ともいわれ、アラビア語が使われてれている地域を指します。しかし「アラブ=イスラム」ではありません。アラビア語を話す人にも極めて少ないですが、キリスト教徒や仏教徒もいます。地域は西アジアから北アフリカで、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、イラク、エジプト、シリア、リビア、アルジェリア、バーレーン、オマーン、カタール、イエメン、ヨルダン、レバノン、パレスチナ、クウェートなどの国々やその周辺の国々でアラビア語が話されている地域も入ります。また「アラブ人」はアラブ人とは「アラビア語を使い、アラブ文化を持つ人。セム系の民族」と一般にいわれますが、白い肌のアラブ人もいれば、黒い肌のアラブ人もいます。保坂修司日本中東学会会長の2020年7月のNewsWeekの記事によると、サウジアラビアにはアジアからの移民の子孫であるモンゴロイド系のアラブ人もいるといいます。なのでアラブ人といっても多種多様でアラビア語を話すぐらいの共通点しかなく定義が難しいのです。
「中東」とは上記のアラブの国々とイスラエルを含め、東はアフガニスタンやイラン、西は大西洋に面した北アフリカのモーリタニアやモロッコ、北はトルコ、南はスーダンまでの地域で、中央アジア諸国の一部を含める場合もある広大な地域です。地域も広大なのでアラビア語以外の言語も多くペルシア語、トルコ語、ウルド語が使われます。中東もイスラム教徒が多数の国々ばかりですが「中東=イスラム」でもありません、イスラエルは中東にありますが、ユダヤ教徒が多い国ですし、中東にも少数ながらキリスト教徒や仏教徒もいます。
「中東」という言葉はそこに住む人がつくったものではありません。19世紀以前は「中近東」という呼び方が一般的だったようです。「中東」はアメリカ軍のアルフレッド・セイヤー・マハン海軍少佐が1902年に最初に使ったとされていますが、その範囲は曖昧であり、厳密な定義をして使うようになったのはイギリスの政治行政官でした。なので「中東」は欧米で使われる言葉なのです。世界地図をイギリスを中心に見た場合、今では使われなくなった「近東」と言う言葉があります。これはイギリスに近い東の地域という意味でかつてオスマン帝国が支配していた東ヨーロッパのバルカン半島、クレタ島、アナトリア半島、ロードス島、キプロス島、レバノン、シリア、イスラエルなどの東部地中海沿岸地方を指します。近東よりもまだ東にある地域が「中東」です。ちなみに日本は、イギリスから見ると東の果てにありますので「極東」になります。しかし中東の定義も時代やイギリスとの利害関係により、地域が広がったり狭まったり、範囲が何度も変わりました。
「イスラム」とは「イスラム世界」ともいいますが、イスラム教徒がたくさんいる地域を指します。地域も地理や国境に関係なく世界全体になり、世界のイスラム教徒の人口は約20億人といわれます。世界で最もイスラム教徒が多い国は東南アジアのインドネシアです。総人口約2億7577万人(2022年6月時点、インドネシア国家統計局推計)のうち、86.93%の約2億3800万人がイスラム教徒です。(2021年時点、インドネシア宗教省推計)しかしインドネシアは憲法で信仰の自由を認めており、イスラム教も国教とされていません。

インドネシアに次いでイスラム教徒が多いのが、南アジアのパキスタンです。総人口2億4765万人のうち96.5%の約2億3900万人、(2023年時点、CIA:Central intelligence agency:アメリカ中央情報局推計)国民のほぼすべてがイスラム教徒であり、イスラム教はパキスタンの国教になっています。

世界で3番目にイスラム教徒が多い国は、これも南アジアのインドです。インドは総人口14億1717万人(2022年時点、世界銀行推計)ヒンドゥー教徒が多数を占める国ですが、それでも2011年のインドの国勢調査から約2億人以上のイスラム教徒がいるとされています。

世界で4番目に多いのが同じく南アジアのバングラディシュで、総人口1億7119万人(2022年時点、世界銀行推計)のうち、91%の約1億5600万人がイスラム教徒です。(2022年時点、バングラディシュ統計局推計)バングラディシュもイスラム教が国教となっています。イスラム教徒の数はアラブより南アジアと東南アジアの方が多いのです。

イスラムの言語も上記の中東の言語に加えて、英語、フランス語、インドネシア語、マレー語、パシュトー語など大変多くなっています。

 

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