日本:EUとEPA予備交渉で合意 - 毎日jp(毎日新聞) http://mainichi.jp/life/money/news/20110529k0000m020104000c.html

 日本は上記予備交渉の場で、EUとの共同声明を発表した。その中で気になることがある。

 「中東や北アフリカ諸国の民主化について協力する」、と言うのだ。当該国家の民主革命を支援し、民主的体制への移行を後押しするそうだ。
 その他の声明が今後の原発についての方針や協力といったタイムリーな内容であったため、この件についてはさほどマスコミに取り上げられることは無いと思う。

 しかし、待ってほしい。

 それはまがいも無く内政干渉と言えなくはないか。そもそも「民主的体制への移行」なるものを、外部からのテコ入れによって達成したい国が、果たしていくつあるというのか。また、この議論には該当する中東や北アフリカの国々が参加しているのか。

 現実には中東などの国で、現体制を打破したいと考えている人々は多いかもしれない。しかしそうであるのならば、体制の移行はあくまで彼らの望む方法、望む結末を実現させるためにするべきであって、それが何も日本やEUの想定している「民主的体制」なるものであるとは限らない。

 一貫して述べていることであるが、民主主義とはそこまで希求されうるものであるのか。単に現在の自由主義国家がそうでない国家を自由主義経済に体よく組み込むことによって、よりコントロールしやすい、果ては利益を回収できる国際政治体制に持って行きたいだけではないのか。それを実行するための内政干渉を正当化したいがために、「民主的体制」というマジックワードを用いているだけではないのか。日本はロシアや中国からの内政干渉に対して批判的立場をとる割には、こういったことを平然と言ってのける。奇妙で釈然としない感覚を覚える。

 それが政治だ、と言われればそれまでである。なにもこうした政治的欺瞞やテクニックをすべからく排除し、美辞麗句を高々と掲げて己の正義を全うしろ、などと主張するほど偽善者にはなれない。しかし何度も述べるが、民主主義というものをこれほどまでに妄信できるこの空気は何だ。まるで殺し文句の如く、民主主義といってしまえば誰も逆らうことが出来ないこの暗黙知は何だ。

 話題は変わるが、G8では原発における既存機や新設機の安全性や運用の再検討が国際的に明言された。既に原発を多く所持している米や仏、日本は今後いくつかの課題を抱えることになる。しかし最も痛手を被っているのは、中国やインドなどの新興国であろう。新興国は今まさに原発の設置を促進し、効率的なエネルギー確保と更なる経済的発展を目論んでいたはずだ。福島第一原発の事故はこれに水を指した形となった。表向きにそれを表明することはないだろうが、中国などは苦虫を噛む思いだろう。
 そうであるならば、これを奇貨と捉えるものもいるはずだ。当然、欧米の現先進諸国がそれにあたる。図らずも新興国家の躍進を妨げるための主導権を天から授かった結果となった。

 そうした意味においても、この度の東日本大震災が国際社会に与える影響力は凄まじい。現地で被害にあわれた方々を尻目に、政治は無機質にうねり続けている。