人間は弱い存在である。

人間は弱い存在である…。

人間はゼロの状態より前のマイナスの状態で生まれてくる。

自分で食べられない、歩けない、話せない。何もできないどころか、母親に母乳をもらい何から何まで世話をしてもらわなければ生きることができない。

 

まだ、草原住む哺乳類の方がましだ。

生まれてすぐに立てるようになるし、親と一緒に歩けるようになる。

自力で母の乳を飲みに行くが、人間の赤ちゃんはそれすらもできない。

 

しかし、人間はその「劣等性」を克服する能力を身に着けたのだ。

弱いだがゆえに、周りの大人がやることを良く観察し、真似をし、学習する。

どうすれば生きて行けるのか?を物凄い勢いで家庭環境の中から身に着けてゆくのだ。

まさに人間の「生存能力」の発揮だ。

 

そして、人間はその弱さゆえに一人〈孤独〉では生きては行けない。

孤独の反対は〈所属〉である。最初は母親と所属し、次に誰かと「所属」することで生きて行くことができる。カウンセリングをしていて思うのだが、「孤独感」や「劣等感」の極致は人を自殺に追いやることもできるのだ。

 

どうすれば生きて行けるのか?

どうすれば幸せになれるのか?

それを、母親、きょうだい、父親や家族から学ぶのだ…。

 

「人格の原型は4歳~5歳にはすでに出来上がっている。幼少期に間違った扱いを受けた子供は、その後の人生で大きな苦労をすることになる。それなのに、その子が何らかの治療や指導を受けられることはめったにない。両親は子どもの問題に気づいていないし、問題を子供に伝えることもないので、その子は性格の原型で決まった方向に従って生きなければならない。」A・Adler

 

  3歳までに気をつけることとは?

先にも述べたように、人間にとって0~3歳は脳の発達も含めて急激に伸びる黄金時期である。

ここをベースとして4~5歳までに自分の基礎となる性格〈物の見方や考え方〉を身に着けていく。

 

そういった意味では、小学校ではもう遅いと私は思う。

それを毎日「幼児期の子ども達」と関わってきて嫌と言うほど実感させられている。

 

「幼少期に間違った扱いを受けた子ども」とはどんな扱いだろう?

①愛されなかった子

②甘やかされた子である。

 

①愛されなかった子とは?

 0~3歳までは母親との信頼関係を築く一番大切な時期である。ところが、母親が自分のことばかりで子どもに関心を示さない。※手塩にかけて育てるという言葉があるが、「自分一人で頑張らない」「みんなで子育てしよう」という言葉の真の意味をはき違えて、手塩にかけない親もいる。

精神的に未熟な母親の場合は、子どもを放っておいて自分の興味を優先し、子育てを放棄してしまったり、子どもが言うことを聞かないと大声を出したり、叩いたり、中には殺してしまうという親も見かける。母子関係が基礎となる中、信頼関係が築けなかった子は後々問題が起こるだろう。

 

※「手塩にかける」とは、自分でいろいろ世話をすること、また世話をして大切に育てることを言う。 手塩は自分で味加減を調えるためにありますから、自ら面倒を見ることを「手塩にかける」というようになったといわれる。

 

②甘やかされた子とは?

子どもは生まれた瞬間から、成長と共に物凄いスピードで発達してゆく。

その過程で、子どもの自立〈自分のことは自分でできる〉を支援するのではなく、何でも「してあげる」という行為を繰り返してしまい、子どもの正常な成長を歪めてしまう親がいる。

 

子どもを過度に保護したり、干渉したり、指示命令したり、何でも許してしまう親である。

この関係性の中で育った子供は、臆病や引っ込み思案、反抗的な態度、わがまま、言われないと動かない子、自由奔放で人の迷惑より自分の興味が優先する子になってゆく。

 

生まれ持っての性格ではなく、生まれてからの親の対応によって身に着けた「習性」なのである。

ほとんどの親は自分の間違いに気づいていないし、その間違いを注意されたり修正することもされないまま子育てを続けている。

 

だから、当たり前のことだが、子どもの「行動や習性」を見れば母親が今までどのように育ててきたかが分かる。一般の幼稚園や保育園、こども園では、親の間違った育児を伝えることをしない。

 

アドラー先生が言う「両親は子どもの問題に気づいていないし、問題を子供に伝えることもないので、その子は性格の原型で決まった方向に従って生きなければならない」という言葉を日々実感している。

 

私たちが「共育」を大きく掲げて、親のセミナーや教育相談、カウンセリングに力を入れているのはそのためである。歪んだまま大きくなった人間は、その歪みゆえに苦しみ続けなければならないという事実を長年の経験から体感している。

 

教育とは予防である。

「診断や分析よりも治療や教育が大切」というアドラー心理学の実践的考え方が私は好きだ。

 

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  子育てのポイントは母親の「勇気」である。

私たちは完璧な子育てができる母親などどこにもいない。

みんなそれぞれの癖があり、歪みがあり、間違いを犯してしまう。

 

人間はもともと不完全な存在であり、ほとんどの女性は、子どもに関する正しい知識や方法、実習や経験を積んで子育てをしているわけではない。だがゆえに、間違えたり歪んだりするのは当然だと思っている。問題はそこではなく、子どもに出ているのに、自分の間違いや歪みに気づかないでやり続けてしまうこと。気づいても修正せずに、やり続けてしまうことであると思う。

 

「人格形成は3歳まで~最新凶悪犯罪分析に基づく子育ての参考書~」の中でこのようなことが書かれているので紹介したい。

 

子育てマニュアル①「家庭は、子どもが社会に出る準備の場である」

子育てマニュアル②「親はもう一度自分自身の性格や行動を見つめなおそう」

子育てマニュアル③「子どもが自立して生きて行ける力をつけてやる」

 

これらのメッセージに頷くばかりである。

しかし、これらのメッセージを受け入れて実行に移すには母親自身の「勇気」が問われる。

 

臆病な母親は、子どもの行動や言葉から発せられるメッセージを受け取れない。

自分の間違いを正さずに、子どもの間違いを正そうとコントロールしようとするか、子どもだから仕方がない、個性だと意味づけて、その間違いを正そうとしない。

 

「私は正しい、間違っていない」と思い、せっかくのメッセージやチャンスを取り逃がすのだ。

勇気のある親は「これは子供からのメッセージだ!ありがたい」と受け取り、自分を変える努力をする。

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子どもが3歳の場合、親も3歳である。

会社でも、経験の少ない新人が失敗なしに仕事をこなせるとは思わない。

大切なのは、素直さや勇気である。

 

私たちの園でも、素直に学び続けている親とそうでない親では、子どもの「能力」に差が出ている。吸収率のきわめて高い幼児期に「素晴らしい環境」を与えるのは大切である。

 

そして、子どもに一番影響を与えている「素晴らしい環境」とは母親の存在であることを忘れてはならない。

たくさん笑う子どもには力強い人生が待っている。「親の笑顔」が子どもの脳に与える影響

 

私は、アイエルワイ国際幼児園・アドラーインターナショナル幼児園の代表であり園長である。

子どもを預けているだけでヨシとしている人もいるが、子どもの幼児園生活を通して一番学び成長しなければならないのは「母親」であることを忘れてはならない。

 

なぜならば、子どもの成長の最高責任者は「親」であるからだ。

私たちは、子どもや保護者の為にできるだけの「支援」をしたいと思っている。

 

全ては子ども達の未来の為に!

 

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小山市・宇都宮市・足利市では毎月「ワンコイン子育てセミナー」を開催しています。

そのほか、足利ではアドラー・インターナショナル幼児園〈AIKA〉PTA主催の「アドラー心理学子育て講座を開催しています。

 

また、希望がある方はアドラー心理学に基づくカウンセリングや深く学びたい方向けに「アドラー心理学講座やセミナーを開催しています。

特に「※AIKA・IIKA幼児園関係者」は、かなりの低価格で専門的な知識やスキルが身につくよう設定していますので、 この機会に自ら学び取っていただければ幸いです。

 

※AIKAとは「Adler International Kindergarten &  After school」

 IIKAとは「iLy International Kindergarten & After school」の略です。

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