いじめを予測して、今から準備をしよう! 

 

栃木県内にあるG小学校は、県内でもNO,1の学力レベルを誇る小学校です。それと同時に、イジメも県内NO,1と評判の小学校でした。

 

小学校に入る前に、Y幼稚園、I幼稚園、某保育園では、既に同級生のグループが結成されており、権力闘争があると聞かされていました。その小学校に「アイエルワイ国際幼児園」を卒園をするAちゃんが、将来、一人でクラスに入ることになると分かっていました。

 

もし、一人っ子のわが子がとイジメにあっても、それを乗り越えられるような子に育てることを目的として、その基盤である母子関係をより強固な良い関係にしていくこと目標に、母親は小学校に入るまでの4年間でアドラー心理学を熱心に学び、家庭で実践しました。

 

①一人遊びができる子になること〈自立〉

②課題に対して努力工夫ができる子にすること〈勇気〉

③相手の立場に立ち自分にできることができる子にすること〈共同体感覚〉

 

以上の3点を意識して子どもの教育に関わることがポイントでした。

 

 

具体的にどのような教育をしたのか? 

 

①一人遊びができる子になること〈自立〉

  親は、子どもが小学校に上がった時に友達で困らないようにと地元の幼稚園に入れて「慣れ」させようとします。

 私は、共同の遊びも大切ですが「自分で課題を見つけて、一人でも遊べる子を育てましょう」と伝えました。

  

まずは、家庭の生活習慣からです。

自立を意識して、寝る場所、食事、洗濯、片づけなど自分に関わることは自分でできるように育てていきました。

自分の身の回りの世話が自分でできる子は、行動面では自立をし、心理面では「私には能力がある」と自信を持てる子になります。 

この自立と自信が後々、子どもの人生のブレない軸を作ることに繋がります。

 

Aちゃんは3歳の時には、母親が熱を出して寝込んでいたら、台所に立ちご飯を炊き、卵焼きを焼いて母親の寝室まで持って来るという行動がとれるまでになりました。母親は、涙を浮かべながら娘の成長を語ってくれました。

  

「うちの子にはまだ無理」と決めつけて、親がやってしまいます。

子どもの能力とは、子どもを信じて、体験から学ぶチャンスを与えることからスタートします。「私ならできる!私には能力がある!」そう思える子を育てる必要があるのです。

 

 

 

②課題に対して努力工夫ができる子にすること〈勇気〉

  子どもが家族から離れた場所(幼稚園や小学校、友だちの家など)にいる時には、親は手出し口出しはできません。

子ども自身に降りかかる課題は、子ども自身が乗り越えていかなければならないのです。

 

 Aちゃんの母親は、子ども自身が悩んだ時にアドバイスをするのではなく、子どもの話を最後まで聞きぬき、気持ちに共感し、どんな方法があるのかを共に考え、子ども自身に答えを見つけさせて、それをやってみるよう勇気づけました。

 

子どもの人生に課題がやってきた時に、親が答えを与えたり、指示命令をしてやらせると自頭で考えられない子になってしまいます。ゴールに至る道筋を一緒に考えて、自分で答えを見つけることを援助するのです。

 

Aちゃんは、悩んだ時に「どうすれば解決できるのか?」「解決するために今の私にできることは何か?」を考えられる習慣を幼児期から身に着けていきました。

 

③相手の立場に立ち自分にできることができる子にすること〈共同体感覚〉

 Aちゃんは「あなたが相手ならば、どう言われたり、されたら嬉しいかな?」という教育を受けてきました。

こんな教育を受けてきたAちゃんが、私の園を卒園してG小学校に入学しました。

 

入学して1週間も経たないうちに「その日」がやってきました。

筆入れの消しゴムがなくなったのです。その後、新しいものを買いましたが、何回も盗まれました。

そして、彼女は誰から遊んでもらえず、友だちができませんでした。

 

しかし、Aちゃんの母親は動揺はしたものの、予測通りと腹をくくり、子どもの相談相手になり、味方になりました。

そんにある日のことです…。

 

Aちゃんがトイレから教室に戻ると、同じクラスのCちゃんが自分の筆入れから消しゴムを取ろうとしている場面に直面してしまったのです。ここで、多くの親は「やめて!と言うのよ」と教えますが、この言葉はNGです。

「やだよ!」と言われるからです。

 

Aちゃんは…

「Cちゃん、Cちゃんのことは好きだよ。でも、私の消しゴムを取られると悲しくなっちゃうの」相手を肯定しつつも自分の気持ちを伝えるという自分が身に着けた技術を使って伝えたのです。

 

Cちゃんは申し訳なさそうに手を引っ込め、消しゴムを取らずにどこかに消えました。

その後、消しゴムを取らなかったCちゃんに悲劇が起こりました。実は、Cちゃんは自分が仲良くしているグループのリーダーからAちゃんの消しゴムを取ってくるよう命令されていたのです。

 

取らずに帰ってきたCちゃんは、グループを追放されて仲間外れにされました。

イジメにあい、一人ぼっちになったCちゃん。そのCちゃんにAちゃんが話しかけて「一緒に遊ぼう」と声をかけたのです。

Aちゃんは入学して3か月後に初めての友達ができました。

 

そして、そこから次々と奇跡が起こり始めたのです…。

 

〈続く〉