アントニイ・バークリーさんの「毒入りチョコレート事件(The Poisoned Chocolates Case)」(高橋泰邦訳)を読みました
いわゆる多重解決ものの嚆矢とされている古典中の古典ですが、これまで読まないままで生きてきてしまいました
探偵役を務める作家のロジャー・シェリンガムが立ち上げた犯罪研究会のメンバーが、身近なところで発生した未解決の殺人事件を全員で推理していこうということになります
女性に極めてだらしがないユーステス卿に宛てて試供品のチョコレート(ウイスキーボンボン)が送付されてきましたが、同人はこんなものいらないといって捨てようとします
しかし、そこに居合わせたベンディックス氏が、ちょうど妻と簡単な賭けをして負けたので、チョコレートをプレゼントしなければならないところだったといって、そのチョコレートを引き取ります
自宅でベンディックス氏は2個、その妻が7個食べたところ、ウイスキーボンボンに仕込まれていた毒によって妻のみが死亡します
果たして真相は?
6者6様の推理が繰り広げられ、それぞれが説得的というのは、今でこそ珍しくない展開ですが、本作は1929年に発表されたものですから、さすがというほかありません
解説によると、本作の原型となるような短編「偶然の審判」という作品があるそうです
「世界傑作短編集3」に収録されているというのですから、子どものころに読んでいるはずですが、全く覚えがありません
すぐに確認したいと思います