石持浅海さんの「あなたには殺せません」を読みました
紙魚の手帖に掲載されていた5つの作品を収録した連作短編集です
石持さんのこれまでの作品には、中小企業相手のコンサルタントをしながら、副業で殺し屋をしているというキャラクターを主人公にしたシリーズがあります
依頼者及び窓口はどのような人物が殺し屋かを知らないし、殺し屋はどのような人物が依頼者及び窓口かを知らないという設定でした
これに対して、本作では、犯罪を実行しようか止めようかと悩んでいる者の相談をするNPO法人が舞台です
殺人を考えている相談者に対して、相談員は、様々な具体的シチュエーションをあげて必ず失敗すると丁寧な説明をします
相談者はいったんは深く納得してその場を去るのですが、なかなか考え直してくれないというところが面白い
いわばゼロ時間への倒叙記録
「これは絶対あのパターンがあるはず」と思いながら読み進めたところ、2編目にそれっぽいのが来ました
しかし、実際にはそうではなく3編目に来たので「2編目はフェイクだったけど、やっぱり来たか」とニンマリしながら読み進めたら、作者の罠にすっぽりはまっていました
当然ですが、さすがですね
4編目も皮肉なラストが素晴らしかった
全体的にレベルが高く、今年発刊のミステリでは現時点のナンバーワンだと思います!
ところで、相談の際には必ず自分の飲み物を用意してきてくださいと告知される設定は、何のためなのでしょうか
これからの続編で使われるのかな?
↓スレッズの方もよろしくお願いします