ミシェル・ビュッシさんの「恐るべき太陽(AU SOLEIL REDOUTE)」(平岡敦訳)を読みました
前作「時は殺人者」はかなり面白かったので、事前の期待は高まりました
舞台は、仏領ポリネシアのヒバオア島
現地にある「恐るべき太陽荘」に1週間泊まり込みで、人気作家フランソワの指導を受けられるという文芸創作のためのセミナーが開催されます
出版社の女性社長アスティーヌは、ここから次のベストセラーが生まれるのを狙っています
3万人から選ばれたという5名の参加者はみな女性なのですが、彼女たちが到着する直前にロッジの周りに新しい彫像(ティキ)が5体置かれます
これは見立殺人のフラグなのか!?
セミナーが始まってみると、早々にフランソワが失踪
さらには、参加者の女性も次々と殺害されていきます
探偵役は、ある参加者の義理の娘マイマと別の参加者の夫ヤンが務めます
果たして、犯人は誰なのか?
という魅力的な設定になっているのですが、展開が遅いし、何が起きているのかよくわからないし、とにかく長いしで、読んでいてけっこう辛かったです
ラストのオチは工夫されていることには工夫されているわけですが、それまでの印象がよくなかったこともあって、「策士策におぼれる」という感じを受けました
本書の構造だけをネタバレで簡潔に説明されたら「面白そう!」と感じるでしょうから、作者の狙いは決して悪くありません
その証拠に未読である「黒い睡蓮」は今でも読みたいと思っていますし、次作も楽しみにしています