北山猛邦さんの「神の光」を読みました
「紙魚の手帖」2022年4月号に掲載されていた短編で、第76回日本推理作家協会賞短編部門にノミネートされたことがきっかけです
ニューヨークにあるバーにおける雑談で、語り手の祖父がかつて遭遇したという不思議な話が明かされます
驚異的な記憶力を持っていた祖父は、カジノでの一獲千金を求めてラスベガスに出向きます
そこで、ものすごい高額レートの裏カジノの噂を聞きつけた祖父は、会場行きのバスの荷物室に紛れ込み、何とかカジノに潜り込みます
たぐいまれなる記憶力を利用して、予定通りブラックジャックでドデカイ儲けを仕留めた祖父は、トラブルになることをおそれて、すぐにバイクを盗んで会場を立ち去ります
どこにいたのかはわかっていなかったものの、だだっ広い砂漠を走って、遠くにカジノのあった街がみえるところまで離れた祖父は、いったん無人の小屋で一泊しました
一夜明けて目が覚めた祖父は驚愕します
昨晩あった街が忽然とまるごとなくなっていたのです
祖父がニューメキシコ州ロズウェルの出身だったということで、UFOの話とも絡めてくるところもうまいのですが、「真相」が誠に見事
まさに「物理の北山」の面目躍如で、思わず「物理最高!物理最高!お前も物理最高と叫びなさい!」と喝采したくなりました