佐藤究さんの「爆発物処理班の遭遇したスピン」を読みました
傑作長編「テスカポリトカ」以前に執筆された作品からなる短編集です
個人的に特に好みだったのは表題作と「スマイルヘッズ」
「爆発物処理班の遭遇したスピン」は、おなじみの量子力学もの
またシュレディンガーキャットかと思うわけですが、本作は本作でしっかり独自性を出してきています
「スマイルヘッズ」の主人公は、銀座で画廊を経営していますが、裏でミッチ・ジョーディソンというシリアルキラーが制作した美術品であるドルフィンマンシリーズを集めています
そんな彼は、ぜひともコレクションに加えたいとかねがね焦がれていた立体作品のドルフィンヘッドに出会います
所有者はニューヨークに住む富豪の女性で、メールでやりとりした彼は、ついに女性の元を訪ねます
そこからの展開は予想どおりでしたが、ラストの締め方がとてもよかったです
ジョーディソンというのは架空の犯罪者ですが、実際にシリアルキラーの作品が人気になっている例はあるのですね
ジョン・ウェイン・ゲイシーという者の作品は、ジョニー・デップも愛好しているとか
上記二作以外も意欲的な作品ばかりで、とても満足できました