佐藤究さんの「テスカポリトカ」を読みました
メキシコの麻薬カルテル「ロスカサソラス」を構成する四兄弟が、敵対する組織の「ドゴ・カルテル」の猛攻に敗退し、辛くも生き残った三男のみが命からがら国を脱出します
メキシカンらしい残虐ぶりがまずは見所です
三男のニックネームは「エル・ボルボ(粉)」で、四男のニックネームは「エル・デド(指)」なのですが、その由来は三男は拉致した相手の四肢を生きたまま液体窒素で凍らせてハンマーで粉々にするところから、四男は生きたまま相手の指を豚に食べさせるところからきているというわけですから、その他も推して知るべきです
復讐に燃える三男はアフリカからインドネシアを経て日本に入国
川崎に根城を築きます
三男が復讐の資金稼ぎのために用意した新しいビジネスは、心臓の闇売買
これには日本人の元医師たちがかかわります
虐待にあった無戸籍児の心臓を闇で売買するというのはともかく、保護した被害児童にギリギリまで楽しい思いをさせて、その思い出日記を顧客サービスにするというジャパニーズウェイな非道ぶりがメキシコ流と対比されていて見事でした
乾いた文体で淡々と書き進められるのでとても読みやすく、最後はちょっとグダグダになってしまっていましたが、十分楽しめました
内容的には新堂冬樹さんの「悪の華」を思い出しましたね