貫井徳郎さんの「紙の梟・ハーシュソサエティ」を読みました
国民の厳罰志向がどんどん進み、「一人殺したら何があっても死刑にする」というルールが根付いてしまった日本を舞台にした連作短編集です
オープニングは、あえて殺さないギリギリを見極めた残虐非道な犯罪が行われ、その結果国民はさらなる厳罰を求めるようになるという話
ホワイダニットが印象的でした
二番目は、クローズドサークルで起きた連続殺人
かなり強引とはいえ、ホワイダニットの狂い方がいいですね
三番目は、一人殺しただけで確実に死刑になれるということが、最後に一花咲かせたい自殺志願者たちを焚き付けてしまうという話
ある工夫がされていますが、これはいくら何でもわかりやすすぎました
四番目は、「死刑制度といえばこれ」という話
まあ、猫を殺めた時点で、犯人には余裕で極刑しかないわけですが
五番目は、唯一の中編
ここまでの短編とは少し趣を変えて、「許し」に焦点を当てた話
トータルとしては十分満足しました