米澤穂信さんの「供米」を読みました
直木賞受賞記念の書き下ろし短編です
詩を諦めて銀行員になった主人公が、かつての盟友が病で早逝したことを知り、葬儀に出席します
そこで、詩人の妻から、一編の詩をみせられて意味を問われた主人公が解釈を述べると、他にもたくさんの詩を遺していたというのです
是非みせてほしいと主人公が希望したのに対して、これを断ったはずの妻が、ほどなくして遺作を詩集として発売します
以前に比べて明らかに劣るような作品ばかりであったため、なぜ自分にすらみせないといっていたのに、あえて詩人を辱めるようなことをするのかといぶかしんだ主人公ですが、そこには意外な秘密がありました
「愛する者が失われた時、遺された者が一番に望むのは何か」
生前詩人が主人公に語っていたことが、ラストに見事に回収されます
本日読んだ「さよなら絵梨」にも通じるような、創作と愛の物語が、格調高い文体で描かれており、非常に満足しました