潮谷験さんの「時空犯」を読みました
主人公の探偵姫崎は、2018年6月1日に北上博士から呼び出しを受け、7名の男女といっしょに奇妙な依頼をされます
博士は、子どもの時に遭遇したある出来事によって、時間の巻き戻しを認識する能力を有するに至っていたところ、なんと2018年6月1日が現時点で978回も巻き戻されては繰り返されているというのです
姫崎を含む8名は、博士の用意した薬品を飲み、博士と同じく時間の巻き戻しを認識する能力を得たうえで調査に入ります
確かに、翌日の午前1時20分になると、従前の記憶を保持したままで6月1日の午前5時35分に戻っています
博士を含めた他のメンバーも同じ状況です
そんな主人公には、さらなる驚愕の展開が待っていました
上記のような特殊設定の下で発生する連続殺人事件!
同じ日が繰り返されるのですから被害者も同じでループするのかと思えば、そうではないというところが面白い
記憶は従前のままなのですから、一度殺された者が巻き戻しによって生き返った後には、当然殺されないように対策を取るわけです
他方で、延々と巻き戻しが発生しないようにして、事件を一時点でピン止めする工夫もよく考えられていました
犯人を絞り込む過程やその動機についても工夫はされていると思いましたが、個人的にはそれらの点はもうひとつでした
そういう意味では、ちょっと出オチ的な印象も受けましたが、十分満足しました