逢坂冬馬/同志少女よ、敵を撃て | 弁護士宇都宮隆展の徒然日記

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くにたち法律事務所@吉祥寺 東京大学法学部卒 東京弁護士会所属(35489) レアルマドリー・ボクシング・小説・マンガ・音楽・アート・旅行・猫などが中心のブログです

逢坂冬馬さんの「同志少女よ、敵を撃て」を読みました

 
第11回アガサ・クリスティー賞大賞受賞作であって、直木賞候補にもなっている、最近ちまたで大評判の作品です
 
主人公のセラフィナは、ソ連の小さな村で母と猟をして暮らす16歳の少女でした
 
ある日ドイツ兵たちが村にやってきて村人たちを殺戮していきます
 
セラフィナも殺されそうになるギリギリでソ連兵たちに救われましたが、母は狙撃されて亡くなり、村は焼かれてしまいます
 
という「ファイアパンチ」みたいなオープニング
 
復讐に燃えるセラフィナは、鬼教官イリーナの下で狙撃兵になるべく厳しい訓練を受けて、激戦の地へ送り込まれていきます

「敵」と書いて「かたき」と読ませるところは良かったですね
 
訓練のシーンでは、生き物を撃つことができるようにするために牛を的にするエピソードがありました
 
その場面では「ぬるすぎる!何のために犬のバロンをみながかわいがっているという設定があるのだ!」と思っていたのですが、作者はそんなことはとっくにお見通しでした
 
その伏線回収は印象的でしたが、他方でラスト付近で起こるある出来事は、教科書どおりの展開で個人的にはもう1つでした
 
狙撃手といえば、なんといっても尾形百之助なわけですが、本作でも狙撃手という生き方が巧みに描かれています
 
ただ、物語としては、個人的には盛り上がりどころを見つけられなくて、ちょっと期待をしすぎてしまったかなという感じです
 
アガサクリスティー賞作品というから、もっとミステリ的な要素があると思ってしまったのもよくなかったかもしれません