似鳥鶏さんの「推理大戦」を読みました
雪に閉ざされた北海道のリゾート施設を舞台に聖遺物争奪ゲームが開催されることになり、世界各国のカトリック教会から挑戦者が集います
実際にはどの国も「代打ち」を依頼しており、特別な能力を持つ選りすぐりの名探偵が参上しているという設定です
アメリカからは、AIマシンを駆使するシャーロット
ウクライナからは、脳のクロックアップ能力を有するボクダン
日本からは、嗅覚をはじめとした五感が動物並みに発達している高崎
ブラジルからは、カルト宗教団体で「神の子」を演じており、嘘を100%見抜くことができるマテウス
彼らに加えて謎のシスターリンを加えた5人が参加者です
シスターリン以外の探偵については、それぞれが地元で解決した不思議な事件が紹介されており、本編の前に短編が4つ挿入されているような構成になっています
シスターリンの能力は本編で紹介されますが、これも極めて個性的なものでした
まずは、ゲームの開始を告げるように主催者側の人間である山川弁護士がコテージで殺害されます
聖遺物を所有していた人物の孫である「僕」をそれぞれがワトソン役にして、卓越した推理を披露していく名探偵たち
果たして犯人は誰なのか
各国から名探偵が送り込まれてくる設定が、「チェンソーマン」の殺し屋編みたいでとにかく楽しいですね
地元での事件が切れ味鋭いものになりすぎていて、やや強引な解決となった本編よりも面白いという感じを受けましたが、各探偵が1回ずつドンピシャの推理で追い詰められては推理の穴が見つかって次へ行くという流れはよくできていました
特に、ボクダンが犯人と指摘される理由には素晴らしい工夫が施されていて、とても好みでした
設定の妙を見事にまとめあげた作品です