山田風太郎さんの「明治断頭台」を読みました
つい先日米澤穂信さんがツイッターで推薦されていたからです
山田さんの作品は「妖異金瓶梅」がずば抜けた傑作だったので、本作についても期待が大きく膨らみました
舞台は明治時代に入って間もない東京で、世の中は「革命」直後の極めて不安定な空気に覆われています
政府は相変わらず攘夷思想を持つ者たちの処遇先として、弾正台という律令時代の名を冠する監察機関を復活させますが、主人公はそこに配属された元佐賀藩の香月経四郎です
経四郎は、正義の政府の確立を目指し、元薩摩藩の川路利良と共に役人の犯罪を追いますが、その解決方法がすこぶる変わっています
フランスに派遣されていた彼を日本まで追いかけてきた碧眼金髪の美女エスメラルダが、巫女のいでたちでイタコのように被害者の魂を口寄せして、事件関係者の前で事件の真相を語るのです
しかも、犯人の処刑は、フランスで用いられていたギロチンを使います
最初の事件のトリックが非常に素晴らしく、個人的にかつて大きな感銘を受けたある作品に影響を与えているのではないかと感じました
本作の発表が1979年、その作品が1984年ということですから、ありうるのではないでしょうか
もちろん「探偵」の設定も極めて独創的で、この点も後世の作品に強い影響を与えているでしょう
ラストも工夫が凝らされていましたし、実在の人物や事件を巧みに織り交ぜているところも読み応えがありました
山田さんはとても多作なため、全部を追いかけることが難しいので、今回のように推薦があると助かりますね
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