小林泰三さんの「未来からの脱出」を読みました
主人公は、もう100歳近いらしい男性のサブロウ
サブロウは老人が大勢暮らしている施設で何不自由なく生活していますが、ふと気がつくとなぜここにいるのかについての記憶だけが全くありません
何者かが残してくれた手掛かりをきっかけに、自分は記憶を消されてここに閉じ込められているのではないかと疑い始めて、建物の外に広がっている森に出てみるサブロウ
しかし、トラップのようなものに引っかかると、次に気がついたときには脱出に関する記憶を失った状態で施設に戻っているのです
それでも、サブロウは施設の中で仲間を作って、本能的に何度も脱出を試みます
果たして施設の外には何があるのか?
サブロウはなぜ施設に閉じ込められて、脱出のループを繰り返しているのか?
施設からの脱出にチャレンジしていくところは、「約束のネバーランド」の最初のころのように不穏でエキサイティングです
さらに、本作は脱出に成功した後もちゃんと面白い!
SFにおける極めて有名な古典的テーゼを用いた設定が、うまくはまっていました
また、「記憶は消せても恋心は消せない」なんて書いておいて、しっかりスーパーサディスティックな展開に持ち込んでいくところが最高でした
小林さんらしいグロセンスをまとわせたラストもナイスな締め方で、とても満足の一冊となりました